整式の余り
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
(平成26年3月9日付け)
x の整式 P(x)=x11+x10+x9+x8+x7+x6+x5+x4+x3+x2+x+1 に対して、
P(x2)、P(x3)、P(x4)、P(x5)、P(x6)、P(x7)、P(x8)、P(x9)、P(x10)、P(x11)、P(x12)
を、それぞれ P(x)で割った余りについて調査したとき、ある法則が成立していくことを見つけ
出しました。
そこで、質問です。上記の11個の余りのうち、同じ余りとなるものがあります。それはどれ
とどれでしょう?
また、余りが定数となるものはどれで、その定数はなんでしょう?
(計算ソフトを頼らぬ論理の展開をできたら示して欲しい)
(答) ABCDEFさんが考察されました。(平成26年3月9日付け)
R=Z[x] :整式全体、S=R/(x12−1) :x12−1で割った余りの整式全体、
T=R/P(x) :P(x)で割った余りの整式全体 とおく。ここで、x12−1=(x−1)P(x) である。
RからS、RからT、SからTへの自然な全射がある。これらの写像で同一視して、Rの元を、
SあるいはTの元ともみなす。
問題は、P(x2)、P(x3)、P(x4)、P(x5)、P(x6)、P(x7)、P(x8)、P(x9)、P(x10)、P(x11)、P(x12)
をTの元とみたとき、どれが同じであるかを問うていることになる。
Sにおいて、x12=1 であるから、Sにおいて、例えば、
P(x5)=x55+x50+x45+x40+x35+x30+x25+x20+x15+x10+x5+1
=x7+x2+x9+x4+x11+x6+x+x8+x3+x10+x5+1=P(x)
同様にして、 P(x)=P(x5)=P(x7)=P(x11) が成り立つ。
また、P(x2)=P(x10)=2(1+x2+x4+x6+x8+x10) 、P(x3)=P(x9)=3(1+x3+x6+x9)
P(x4)=P(x8)=4(1+x4+x8) 、P(x6)=6(1+x6) 、P(x12)=12
以上から、Tにおいて、P(x)=P(x5)=P(x7)=P(x11)=0 である。
P(x)は11次式であり、上のP(x2)、P(x3)、P(x4)、P(x6)、P(x12)は、10次以下であるから、
これらはすべて異なる。
したがって、 P(x2)、P(x3)、・・・、P(x9)、P(x10)、P(x11)、P(x12) をP(x)で割った余りは、
P(x5)、P(x7)、P(x11)は、0 、P(x2)、P(x10)は、2(1+x2+x4+x6+x8+x10)
P(x3)、P(x9)は、3(1+x3+x6+x9) 、P(x4)、P(x8)は、4(1+x4+x8)
P(x6)は、6(1+x6) 、P(x12)は、12
(コメント) 直ぐに、P(x)で割るのではなくて、まず、x12−1で割った余りを考えるところがポ
イントですね。その後、x12−1=(x−1)P(x) という考え方でP(x)による割り算の
余りが求められます。ABCDEFさんに感謝します。
「WolframAlpha」に計算させてみたら、P(x5)、P(x7)、P(x11)は、綺麗にP(x)で割り切れてい
ました!例えば、
P(x5)/P(x)=(x4−x3+x2−x+1)(x8−x6+x4−x2+1)(x8−x7+x5−x4+x3−x+1)
(x8+x7−x5−x4−x3+x+1)(x16+x14−x10−x8−x6+x2+1)