階段を登ろう
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
(平成27年6月2日付け)
A={1,2,3,4,5,6} とする。写像 f :A → A のうちで、f をn回合成した写像を fn で表す
とき、f3、f6、f12 が恒等写像になるような f はそれぞれ何個あるか?
(答) at さんが考察されました。(平成27年6月3日付け)
f3 が恒等写像になるような f は、6!・[x6](e^(x + x3/3))=81個
f6 が恒等写像になるような f は、6!*[x6](e^(x + x2/2 + x3/3 + x6/6))=396個
f12 が恒等写像になるような f は、6!*[x6](e^(x + x2/2 + x3/3 + x4/4 +x6/6 + x12/12))=576個
となると考えますが、どうでしょうか?
GAI さんからのコメントです。(平成27年6月3日付け)
すべて正解です。f3 は、2*6C3*2!+1=81
f6 は、(81-1)+5!+6C3*3C2*2!+6C2*4C2*2C2/3!+6C2*4C2/2!+6C2+1=396
f12 は、(396-1)+2*6C4*3!+1=576
の意味での階段を登ろうの題目にしていました。こんな方法があるんですね。いや〜出題し
ておくもんですね。まったく予想外の解法に出会えます。
(階段どころかエレベーターで一気に登れます。)
最初、何の意味かが分からず、ポカンとしました。テイラー展開してみると、なんとx6の係数
にピタリといるではありませんか!自然対数の底eは、素晴らしい働きをする奴なんですね。
でも、未だになぜこれでいいのかが理解しきれていない。
atさんはどうしてこれに気づかれたんですか?
これなら写像fが他の集合A={1,2,3,4,5,6,7,8,9,10}に対するものであっても fn の任
意の合成写像が恒等写像になる f の個数でもお茶の子さいさいですね。いろいろ実験してみ
ようっと。
らすかるさんからのコメントです。(平成27年6月3日付け)
f6、f12 は多分階段を下った方が楽ですね。f12は、6!-6・4!=576、f6は、576-6C2・3!・2=396
GAI さんからのコメントです。(平成27年6月4日付け)
すべての写像の総数から条件を満たさないものは5サイクルのみなので、6C5*(5-1)!=6*4!
なんですね。
イヤー階段は登るものばかりだと思い込んでいました。ものは考えよう。この自由な発想が
ホントに数学の面白い点です。目から鱗でした。
at さんからのコメントです。(平成27年6月3日付け)
実をいうと、これらは私が自分で考えたものでは無いのです。これらの式の本質は、或る本
に書かれていることなのです。これらの式の意味を、私がGAIさんに説明できればよいのです
が、うまく説明する能力が私にはありません。ですので、その本「Analytic Combinatorics」を
ここで紹介するにとどめておくことにします。申し訳ありません。現在、この本の全てのページ
がダウンロード可能です。