整除問題                                   戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「ぽっぽ」さんからの出題です。
                                      (平成23年3月12日付け)

 9より大きく、3の倍数でない自然数 n について、m 桁の全ての位が 0 と 1 で構成
される数(たとえば、100011・・・のような形で、m<n/2 とする。)が、n で割り切れ
るような m 桁の数が存在することを示せ。


 問題の趣旨を理解するために、いくつか実験してみた。

例 n=10 のとき、2桁の数 10 は、10で割り切れる。
  n=11 のとき、4桁の数 1111 は、11で割り切れる。
  n=13 のとき、4桁の数 1001 や5桁の数 11011 は、13で割り切れる。
































(答え) 当HPがいつもお世話になっているHN「DD++」さんが考察されました。5年以上放置
    されていた問題で、DD++さんに感謝します。(平成28年9月19日付け)

 先に補題を1つ。

 kを5以上の自然数とする。1、2、3、……、k というk個の絶対値それぞれに「+」また
は「-」の符号をつけるとき、どのように符号をつけても、k個の数のうちいくつかの和で
2k+1 の倍数であるものが存在する


例 +1、+2、+3、−4、+5 に対して、+1+2+3+5=+11は11の倍数

  −1、+2、+3、−4、+5 に対して、−1+2+3−4=0 は11の倍数

(証明) 1は、「+」として一般性は失わない。

(1) 2が、「+」の場合

 3以上の中に「-」があるならば、初めて「-」がついた絶対値を j として、+1,+(j-1),-j の和が
条件を満たす。実際に、+1+(j-1)-j=0 は、2k+1 の倍数。

 3以上が全て「+」であれば、+2,+(k-1),+k の和が条件を満たす。実際に、+2+(k-1)+k=2k+1
は、2k+1 の倍数。

(2) 2が、「-」、3が、「+」の場合

 4以上の中に「-」があるならば、初めて「-」がついた絶対値を j として、+1,+(j-1),-j の和が
条件を満たす。実際に、+1+(j-1)-j=0 は、2k+1 の倍数。

 4以上が全て「+」であれば、+1,-2,+3,+(k-1),+k の和が条件を満たす。
実際に、+1-2+3+(k-1)+k=2k+1 は、2k+1 の倍数。

(3) 2が、「-」、3が、「-」の場合

 4以上の中に「+」があるならば、初めて「+」がついた絶対値を j として、+1,-2,-(j-1),+j の和
が条件を満たす。実際に、+1-2-(j-1)+j =0 は、2k+1 の倍数。

 4以上が全て「-」であれば、-2,-(k-1),-k の和が条件を満たす。
実際に、-2-(k-1)-k=−(2k+1) は、2k+1 の倍数。

 以上により示された。  (証終)

 これを用いて証明します。

(証明) nが、9より大きく3で割り切れない奇数の場合。

 1,10,100,1000,……,10^{(n-3)/2} という(n-1)/2 個の数をそれぞれnで割り、余りを求めます。
ただし、最小非負剰余ではなく絶対値最小剰余で計算します。
(例えば8÷3は商が3で余り-1、のように余りは正でなくてもよいのでその絶対値が最も小さ
くなるようにする)

(1) その中で余りが0になったものがあれば、その数が条件を満たします。

例 n=25 のとき、100÷25=4あまり0なので、100が条件を満たす。

(2) その中で同じ剰余になった2つがあれば、その差を9で割った数が条件を満たします。
 (nが9と互いに素であるのがポイント)

例 n=37のとき、1÷37=0 あまり 1、1000÷37=27 あまり 1 なので、(1000-1)/9=111が条件
  を満たす。

(3) その中で符号は逆で絶対値が等しい剰余になった2つがあれば、その和が条件を満た
  します。

例 n=13のとき、1÷13=0 あまり 1、1000÷13=77 あまり -1 なので、1000+1=1001が条件を
  満たす。

(4) 上記3つのいずれにも当てはまらない場合、剰余の絶対値は、1から(n-1)/2まで全て1
  つずつ存在するので、補題よりいくつかの数の剰余の和でnの倍数になるものが存在し
  ます。その和をもとの10の累乗で表現した数が条件を満たします。

例 n=17のとき、1÷17=0 あまり 1、10÷17=1 あまり -7、100÷17=6 あまり -2、
        1000÷17=59 あまり -3、10000÷17=588 あまり 4、100000÷17=5882 あまり 6、
      1000000÷17=58824 あまり -8、10000000÷17=588235 あまり 5
 なので、補題より、あまりが +1,-2,-3,+4 になるものを選んで、1+100+1000+10000=11101が
 条件を満たす。

 以上4つのいずれかの方法で、nが9より大きく3で割り切れない奇数の場合については条
件を満たす数を作れることが示されました。

 次に、n=10,14,16の場合。

 10は10の約数、14は10010の約数、16は10000の約数で、いずれも桁数はn/2より小さく、
条件を満たします。

最後に、nが18より大きく3の倍数でない偶数の場合。

 n=2^p×a(aは9より大きい3の倍数でない奇数もしくは10,14,16)と書ける。

 n=aのとき条件を満たす数をAとすると、10^p×Aは明らかに桁数が2^(p-1)×aより小さい
0と1で構成された2^p×aの倍数なので、条件を満たします。

以上により、全ての9より大きく3の倍数でない自然数について命題は示されました。 (証終)


#証明はできた(たぶん)ものの、あまりに美しくない。もっと綺麗な方法がありそうですが……。



   以下、工事中