素朴な長さの計算14                         戻る

 下図のように、頂角45°の△ABCがあり、頂点Aより、底辺BCに垂線AHを下ろす。

  

 BH=6、HC=4 のとき、線分AHの長さを求めよ。
































(答) AH=12

 実際に、AH=x とおくと、 AB=√(x2+36) 、AC=√(x2+16)

△ABCにおいて、余弦定理より、

 100=(x2+36)+(x2+16)−2√(x2+36)・√(x2+16)・cos45°

すなわち、 √(x2+36)・√(x2+16)=2x2−48

両辺を平方して、 2(x2+36)(x2+16)=4x4−192x2+2304 から、

 x4−148x2+576=0 すなわち、 (x2−4)(x2−144)=0

よって、 x2=4 、144 より、 x=2 、12

x=2 とすると、 A=135°となるので、不適

したがって、求める線分AHの長さは、 12  (終)


 この問題について、次のように考えれば、もっと平易に解くことができる。

(別解) △ABH≡△ABE 、△ACH≡△ACF となるように点E、Fをとる。

  

 このとき、四角形AEGFが正方形となるように、点Gをとることができる。

 AH=x とおくと、 BG=x−6 、GC=x−4 なので、三平方の定理より、

 (x−6)2+(x−4)2=100

すなわち、 x2−10x−24=0 より、 (x+2)(x−12)=0

 よって、 x=12 となり、求める線分AHの長さは、 12  (終)


(コメント) AH=12 のとき、下図は、どのような幾何的性質を有するか、よおすけさんに
    触発されて考えてみた。(令和6年9月17日付け)

  

 AH=12 のとき、AB=6、AC=4 である。そこで、辺AB上に、AD=DC となる
ように点Dをとる。

 このとき、AC=4 で、△ADCは直角2等辺三角形から、AD=DC=4 となる。

このとき、 BD=2 である。

 線分DCと線分AHの交点をEとし、点Dより、辺BCに垂線DFを引く。

  

△DBF∽△ABH で相似比は、1 : 3 なので、AH=12 から、DF=4 となり、したがって、

BF2=(22−42=20−16=4 から、BF=2 すなわち、 FH=4 となる。

△CDFにおいて、DFとEHは平行で、Hは辺FCの中点なので、中点連結定理より、

Eは辺DCの中点となり、EH=2 である。

したがって、△EDFは、ED=EF の2等辺三角形で、Eから辺DFに下ろした垂線の足Gは

線分DFの中点となる。

以上から、AH=12 すると、AB=6、AC=4 で、

 BF=EH=2、FH=FD=HC=4、BD=DE=EC=EF=2

という美しい性質を持つことが分かった。


 kuiperbelt さんから別解をいただきました。(令和6年9月17日付け)

  

 ∠ABC=θとして、AH=x=6tanθ=4tan(3π/4−θ)

 tanθ=x/6 、tan(3π/4−θ)=x/4 なので、

tan(3π/4−θ)=(tan(3π/4)−tanθ)/(1+tan(3π/4)tanθ) より、

 x/4=(−1−x/6)/(1−x/6) であり、これより、

 x/4−x2/24=−1−x/6 から、x2−10x−24=0 すなわち、 (x+2)(x−12)=0

よって、x=−2、12 から、x>0 なので、 AH=x=12


(コメント) kuiperbelt さん、別解をありがとうございます。現在、平面幾何的に「AH=12」
     が導けないか、思案中です。そのような解を得られた方、是非、ご教示ください。


 tan を使う場合、次のような別解も考えられる。

(別解) 題意より、∠BAH=θ とおくと、 AH・tanθ=6 、AH・tan(45°−θ)=4

よって、 2tanθ=3tan(45°−θ)=3・(1−tanθ)/(1+tanθ) から、

 2tan2θ+2tanθ=3−3tanθ すなわち、 2tan2θ+5tanθ−3=0

 (2tanθ−1)(tanθ+3)=0 から、 tanθ=1/2 、−3

0°<θ<45°なので、 tanθ=−3 は不適。

 したがって、tanθ=1/2 となり、 AH=6÷(1/2)=12  (終)


 DD++ さんから別解をいただきました。(令和6年9月19日付け)

 平面幾何的解法です。

  

 この三角形の外心を O とすると、△OBC は OB=OC の直角二等辺三角形である。

中心Oより、辺BCに垂線ODを下ろし、線分AHに垂線OEを下ろすと、

 BD=5、OD=EH=5 より、外接円の半径は、OB=OA=5 なので、

 OE=DH=1 から、直角三角形OAEにおいて、三平方の定理より、

 AE2=(52−1=49 なので、 AE=7 となる。

以上から、 AH=AE+EH=7+5=12

と求まりますね。


(コメント) DD++ さん、別解をありがとうございます。これまでとは違った視点による解法で
    すね!



  以下、工事中!