整数解の組                                 戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
                                         (平成26年5月1日付け)

 x、y、z は自然数とする。このとき、x2+y2+z2=3xyz (ただし、x≦y≦z )を満たす(x,y,z)を
30組以上見つけて下さい。






































(答) S(H)さんが考察されました。(平成26年5月1日付け)

{{1, 1, 1}, {1, 1, 2}, {1, 2, 5}, {1, 5, 13}, {1, 13, 34}, {1, 34, 89},{1, 89, 233}, {1, 233, 610}, {1, 610, 1597},
{1, 1597, 4181}, {1, 4181, 10946},{1, 10946, 28657}, {2, 5, 29}, {2, 29, 169}, {2, 169, 985}, {2, 985, 5741},
{2, 5741, 33461}, {5, 13,  194}, {5, 29, 433}, {5, 194, 2897}, {5, 433, 6466},{5, 2897, 43261},
{13, 34, 1325}, {13, 194, 7561}, {29, 169, 14701}, {29, 433, 37666}, {34, 89, 9077}}

と、とりあえず、30個未満。30個以上でなきゃ、ダメなんですか?


 DD++さんが考察されました。(平成26年5月1日付け)

 ある(x,y,z)について、x2+y2+z2=3xyz が成り立っているとする。このとき、

  (3yz-x)2+y2+z2 = 9y22-6xyz+x2+3xyz-x2 = 3(3yz-x)yz

より、(3yz-x,y,z)についても、この等式が成り立つ。

 よって、「ある数を、他の2数の積の3倍からそれを引いた数に置き換える」変換で無数に解
が得られる。

 (1,1,1)は明らかに条件を満たすので、これに変換を繰り返し適用すればよい。

 (1,1,1)、(1,1,2)、(1,2,5)、(2,5,29)、(1,5,13)、(5,29,433)、(2,29,169)、(5,13,194)、
(1,13,34)、・・・
(以下手計算が面倒なので省略)

 気になる点としては、「この方法で生成できる解以外に解はない」が真なのかどうかという
ことですね。x2+y2+z2=3xyz かつ x≦y≦z≦3xy/2 を満たす解が (1,1,1) しかないことを
証明できれば、あとは無限降下法で証明できそうですが...。


 YI さんからのコメントです。(平成26年5月1日付け)

 無限降下法での証明とは、こういうことでしょうか。

 x2+y2+z2=3xyz かつ x≦y≦z≦3xy/2 を満たす解が (1,1,1) しかない。・・・(*)

 x2+y2+z2=3xyz を満たし、<例の方法>で求めることができない解が存在すると仮定する。
当然、 (1,1,1) ではないので、(*)から、一般性を失うことなく、x>3yz/2であるとできる。
すると、3yz-x は、x より小さくなり、新しい解(3yz-x,y,z)は元の解より小さい。新しい解が
(1,1,1)だとすると、元の解は、(1,1,1)から導けることになる。(矛盾)

 新しい解が(1,1,1)でなければ、(*)が成り立ち、さらに新しく小さい解を構成できる。よって、
無限に小さくなる整数解の列ができる。(自然数とは限らない)

 数は一つずつ変化するので、どこかの段階で、x、y、z のどれか一つが負になる状況が生じ
る。しかし、x、y、z のどれか一つが負だとすると、x2+y2+z2は正だが、3xyz は負であるため、
解ではありえない。(矛盾)


 DD++さんからのコメントです。(平成26年5月1日付け)

 数字3つの組なので、「小さい」をきちんと定義しなければなりませんが、あとはその通りで
す。ところが、そのスタート地点の証明方法が簡単そうで意外と難しい...。


 らすかるさんからのコメントです。(平成26年5月2日付け)

 x2+y2+z2=3xyz かつ z≦3xy/2 とすると、 x2+y2≧z2

 x≦y から、y2≧z2/2 なので、 y≧z より、3xyz≧(3/)xz2

 よって、 x2+y2+z2≧(3/)xz2 … (1)

 ここでもし、x≧2 とすると、 x2+y2+z2≦3z2<(3)z2≦(3/)xz2 となり、(1)が成り立
たないから、条件を満たすためには、x=1 でなければならない。

 x=1 のとき、 y≦z かつ x2+y2≧z2 が成り立つためには、 y=z

 このとき、 x2+y2+z2=3xyz は、 1+2z2=3z2 となるので、 z=1

 よって、 x2+y2+z2=3xyz かつ x≦y≦z≦3xy/2 を満たす解は、 (1,1,1) のみ。


 GAI さんからのコメントです。(平成26年5月2日付け)

 (3yz-x)2+y2+z2 = 9y22-6xyz+x2+3xyz-x2 = 3(3yz-x)yz より、(3yz-x,y,z)についても、
この等式が成り立つ。


という式変形によく気づかれましたね。感心します。

 リチャード・K・ガイ著 数論<未解決問題>の事典 (朝倉書店)のp253に、

 超がつく難問は、すべてのマルコフ数(このディオファンタス方程式の解に現れる数)zが
ただ一つの解(x,y,z)を定義するか、である。この意味でマルコフ数は一意的であることを証
明したという論文が折々現れるが、これまでのところすべて誤りであった。


の記事を読む。私には、なにがどう誤りが起こるのかわかりません。ご検討のほどお願いし
ます。

 なお、これらの数(マルコフ数{1,2,5,13,29,34,89,169,194,233,433,610,985,・・・・})が、

 a=[1,1;1,0] (2次の正方行列) 、b=[2,1;1,0]

とおいて置くと、 a2=A=[2,1;1,1] 、b2=B=[5,2;2,1] となり、マルコフ数の2,5が第1行第一列に
出現する。以下

 13→bAb 、29→bBb 、34→bAAb 、89→bAAAb 、169→bBBb 、194→bABAb
233→bAAAAb 、433→bBABb 、610→bAAAAAb 、985→bBBBb 、・・・・・・・・・・

とすべてのマルコフ数が元の行列 a、b で生成されていく様が興味を引きました。


 攻略法さんが考察されました。(平成26年5月2日付け)

 フィボナッチ数列 F1=F2=1、Fn+2=Fn+1+Fn (nは自然数):1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,…

において、フィボナッチ数列の奇数番目の対 ( 1,F2n-1,F2n+1 )を考える。すなわち、

 ( 1,F2n-1,F2n+1 ) = (1,1,2) 、( 1,F2n+1,F2n+3 ) = (1,2,5) 、
            ( 1,F2n+3,F2n+5 ) = (1,5,13) 、( 1,F2n+5,F2n+7 ) = (1,13,34) 、・・・

(考察) 補題1 F2n+3=3F2n+1-F2n-1 が成り立つ。

補題2 F2n-12+F2n+12=3F2n-1F2n+1-1 が成り立つ。

 補題1より、

  ( 1,F2n-1,F2n+1 ) → ( 1,F2n+1,F2n+3 ) = ( 1,F2n+1,3F2n+1-F2n-1 )

すなわち、 (x,y,z) → (x,z,3xz-y) を満たす。

補題2より、 x2+y2+z2=3xyz を満たす。  (終)


 DD++さんからのコメントです。(平成26年5月2日付け)

 なるほど、マルコフ数というのですか。Wikipediaを見てみましたが、私の思いつきがかなり
本質をついていたことにびっくり。

 あの変形に気づいたのはそんなに難しい発想ではなくて、yとzを固定して、x の二次方程
式と見ると、整数係数かつ最高次係数が1なので、片方が整数解なら、もう片方も整数解で
その和は解と係数の関係より、3yz。だから、3yz-x という形が出てきたのです。

 誤りについては各々の論文を見てみないとなんとも言えませんが、どの数を変換するかの
パターンが複雑に絡み合った場合、その扱いはかなり慎重にしないといけない印象です。

 ところで、これもただの思いつきなのですが、「マルコフ数に4N+3型素因数は存在しない」
は証明できるので、フェルマーの二平方定理より、全てのマルコフ数は平方数の和で表すこ
とができます。

 奇数番目のフィボナッチ数は、隣接フィボナッチ数の平方和、奇数番目のペル数は、隣接
ペル数の平方和なのは明らかとして、さて、残りのマルコフ数も平方和に書いたとき、何か
法則はあるでしょうか?


 GAI さんからのコメントです。(平成26年5月2日付け)

 マルコス数をマルコス数での平方和で表してみました。

 5=2^2+1^2=3*2*1-1 、13=(5^2+1^2)/2=3*5*1-2 、29=5^2+2^2=3*5*2-1
34=(13^2+1^2)/5=3*13*1-5 、89=(34^2+1^2)/13=3*34*1-13 、169=(29^2+2^2)/5=3*29*2-5
194=13^2+5^2=3*13*5-1 、233=(89^2+1^2)/34=3*89*1-34 、433=(29^2+5^2)/2=3*29*5-2
610=(233^2+1^2)/89=3*233*1-89 、985=(169^2+2^2)/29=3*169*2-29
1325=(34^2+1^2)/13=3*34*1-13 、1597=(610^2+1^2)/233=3*610*1-233
2897=(194^2+5^2)/13=3*194*5-13 、4181=(1597^2+1^2)/610=3*1597*1-610
5741=(985^2+2^2)/169=3*985*2-169 、6466=(433^2+5^2)/29=3*433*5-29
7561=(194^2+13^2)/5=3*194*13-5 、9077=89^2+34^2=3*89*34-1 、・・・・・