整数問題2
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
(平成24年11月16日付け)
問題1 10!=7!・6!=7!・5!・3!(=3628800) という式に出会いました。
これを、一般化して、
n!=a1!・a2!・a3!・…・ar! (r≧2 、a1≧a2≧a3≧…≧ar≧2)
となるものが他に存在するだろうか?
問題2 ディオファンタス方程式 xx・yy=zz の自明解 x=1、y=z または y=1、x=z
以外のすべての解を求めよ。(from エルデーシュ)
(答) らすかるさんが考察されました。(平成24年11月16日付け)
(問題1) 24!=23!・4! 、120!=119!・5! 、720!=719!・6! 、・・・
(問題2) すべてではないですが、x=y=-1、z=1 も解ですね。
S(H)さんが(問題2)を模倣して作問されました。(平成24年11月16日付け)
xx・yy・zz=ww の自明解 x=1、y=1、z=w 以外のすべての解を求めよ。
GAI さんからのコメントです。(平成24年11月17日付け)
x=312・26 、y=313・25 、z=314・24 、w=314・25 など・・・
ただし、確かめに困難を伴うと思われる。
S(H)さんからのコメントです。(平成24年11月17日付け)
(参考) → 計算結果
攻略法さんからのコメントです。(平成24年11月17日付け)
(問題1)について、 n=m! のとき、n!=n*(n-1)!=m!(n-1)!型(→ らすかるさんの解)
例 2!=2!*1! 、6!=3!*5! 、24!=4!*23! 、120!=5!*119! 、720!=6!*719! 、・・・
一般的に、連続するk個の自然数の積とすると、
n(n-1)(n-2)…(n-k+1)=m! のとき、n!=m!(n-k)!型 (ただし、k=1は上記の場合)
例 10!=10*9*8*7!=720*7!=6!7! ←←←
└3個┘
よって、問題文の例の場合、上記の結果を組み合わせて、10!=6!*7!=(3!*5!)*7!
となる。
UBASICのプログラムで確認しました。
list
110 for N=2 to 1000
'n!
120 S=1
130 for K=1 to N-2
's=n(n-1)…(n-k+1)
140 S=S*(N-K+1)/K
'連続するk個の整数の積は、k!で割り切れる ※comb(n,k)
160 W=S
170 for M=K+1 to
N-K-1 'm!≦(n-k-1)!で、s=m!かどうか確認する
180 if W=M then cancel for:goto
220 '等しい
190 if W-int(W/M)*M<>0 then cancel for:goto
220
200 W=W/M
210 next M
220 if W=M then
print N;"! =";M;"! *";N-K;"!" '結果を表示する
230 next K
240 next
N
OK
run
6 ! = 3 ! * 5 !
10 ! = 6 ! * 7 !
24 ! = 4 ! * 23 !
120 ! = 5 ! * 119 !
720 ! = 6 ! * 719 !
OK
GAI さんからのコメントです。(平成24年11月17日付け)
9!=7!*3!*3!*2! などのタイプも探せますか?
また、3!=1*2*3、4!=2*3*4、5!=4*5*6、6!=8*9*10 と3つの連続数で構成できるのは、これ
以外には存在するのでしょうか?
攻略法さんからのコメントです。(平成24年11月17日付け)
不定方程式 (2!)a(3!)b(4!)c…((n-1)!)d=n! (nは3以上の整数、a、b、c、…、dは非負整数)
別のプログラムで、nを3から25まで検索しました。
4!=2!2!3! 、6!=3!5! 、8!=2!2!2!7! 、9!=2!3!3!7! 、10!=6!7! 、 10!=3!5!7! 、12!=2!3!11!
16!=2!5!14! 、16!=2!2!2!2!15! 、24!=4!23! 、24!=2!2!3!23!
GAI さんからのコメントです。(平成24年11月18日付け)
これが求めていけるなら、
2!=2! 、3!=3! 、4!=(2!)2・3! 、5!=5! 、6!=3!・5! 、7!=7! 、8!=(2!)3・7! 、9!=2!・(3!)2・7!
10!=3!・5!・7! 、11!=11! 、12!=2!・3!・11! 、13!=13! 、14!=14! 、15!=15! 、16!=(2!)4・15!
・・・・・・ 、24!=(2!)2・3!・23!
:
という風に、すべての階乗数n!は、あたかも素数の積に一意に分解できるように、素階数
2!、3!、5!、7!、11!、13!、14!、15!、 ・・・ で表されていけることになる。
はて、この素階数は無数に存在し(せめて100個は知りたい。)、リーマン予想に対応す
るような構造や、素数で成立していた諸々の性質に対応する法則が見つかるのだろうか?
また一つ疑問が湧いてしまった。何かしらの情報をお持ちの方は、どうかお知らせ下さい。
らすかるさんからのコメントです。(平成24年11月18日付け)
n!=a1!・a2!・a3!・…・ar! (r≧2、a1≧a2≧a3≧…≧ar≧2)
このように分解出来るのであれば、 a1≧(n以下の最大素数) ですから、100個ぐらいは手
計算で何とかなるでしょう。
nが素数のとき、n!は素階数なので飛ばしてよく、nが素数でないとき、
n=4→4が階乗数の積で表されなければならない→(2!)2・3!
n=6→6が階乗数の積で表されなければならない→3!・5!
n=8→8が階乗数の積で表されなければならない→(2!)3・7!
n=9→9または9・8が階乗数の積で表されなければならない→2!・(3!)2・7!
n=10→10または10・9または10・9・8が階乗数の積で表されなければならない
→少なくとも5!か6!が必要→6!・7!=3!・5!・7!
n=12→12が階乗数の積で表されなければならない→2!・3!・11!
n=14→14が階乗数の積で表されなければならないが14<7!なので不可能
n=15→15または15・14→15<5!, 15*14<7!なので不可能
n=16→16または16・15または16・15・14
→16=(2!)4、16・15=2!・5!、16・15・14<7!→(2!)4・15!、2!・5!・14!
※ここで「一意に分解」できなくなっているのですが、これは無視でしょうか。
n=18→18→18<9!、18<(3!)2なので不可能
n=20→20→20<5!で不可能
n=21→21または21・20→21<7!、21・20<7!なので不可能
n=22→22または22・21または22・21・20→いずれも11!より小さいので不可能
n=24→24→4!=(2!)2・3!
n=25→25または25・24→いずれも(5!)2より小さいので不可能
n=26→26、26・25、26・25・24はいずれも13!より小さいので不可能
n=27→27、27・26、27・26・25、27・26・25・24→27は3の奇倍数なので不可能、
他は13!より小さいので不可能
n=28→28、28・27、28・27・26、28・27・26・25、28・27・26・25・24
→28、28・27は7!より小さいので不可能、他は13!より小さいので不可能
n=30→30<5!で不可能
n=32→(2!)5・31!
n=33→33、33・32は11!より小さいので不可能
n=34→34、34・33、34・33・32は17!より小さいので不可能
n=35→35<7!、35・34、35・34・33、35・34・33・32は17!より小さいので不可能
n=36→36・35<7!、36・35・34・33・32<17!で不可能、(3!)2・35!のみ
n=38→38<19!で不可能
n=40→40<5!で不可能
n=42→42<7!で不可能
n=44→44<11!で不可能
n=45→45は3の奇倍数で不可能、45・44<11!で不可能
n=46→46・45・44<23!で不可能
n=48→(2!)3・3!・47!
n=49→49・48<7!で不可能
n=50→50<5!、50・49・48は7!で割り切れないので不可能
飽きたのでここでやめますが、ここまでで「素階数」は、
2!、3!、5!、7!、11!、13!〜15!、17!〜23!、25!〜31!、33!〜35!、37!〜47!、49!、50!
なんか大半が「素階数」になってしまって面白味がないですね。
攻略法さんからのコメントです。(平成24年11月18日付け)
GAIさんからの問いかけ「3つの連続数で構成できるのは、他に存在するのでしょうか?」
について考えてみました。
連続する3個の整数を n-1、n、n+1 とする。その積は、 (n-1)n(n+1)=n3-n
これが、m!と表されるとすると、 n3-n=m!
よって、「3次方程式の整数解を求める」ことになる。
UBASICのプログラムで確認してみました。(少し発展したものになるが、センター試験向きのもの)
list
110
N=2
120 M=2
130 S=N^3-N '(N-1)N(N+1)=N^3-N
140 F=M
'M!
150 while N<=10000000 '検証範囲
160 if S<>F then 230
'一致する
170 print M;"! =";N-1;"*";N;"*";N+1
180 N=N+1
'Nを更新
190 S=N^3-N
200 M=M+1 'Nを更新
210
F=F*M
220 goto 290
230 if S<F then 270
'S>Fなら
240 M=M+1
250 F=F*M
260 goto
290
270 N=N+1
280 S=N^3-N
290
wend
OK
run
3 ! = 1 * 2 * 3
4 ! = 2 * 3 * 4
5 ! = 4 * 5 * 6
6 ! = 8 * 9 * 10
OK
GAI さんからのコメントです。(平成24年11月18日付け)
思い込んでいたので、一意性が崩れていることに気づかなかった。大半が「素階数」になっ
てしまったということで、想像だけが膨らんでしまいました。
話題を変え、群論の本を読んでいたときに、「12+22+32+・・・+242=702 は、1から連続する
平方和が再び平方数になれるのはこれに限る。」 リーチ格子と深く関係しており、24次元
のユークリッド空間には興味ある性質が発生する。
3次元ユークリッド幾何学をアインシュタインの理論に対する数学的背景としてミンコフスキ
ーが提唱していたミンコフスキー幾何学で、時空間の距離を、x2+y2+z2-t2(光速を1とした。)が
一定であるというローレンツ空間の光錐(「時空」の長さが0である道)を利用したという構造
と同様に、26次元で、(0,1,2,3,・・・・・・,24,70)の座標があり、この点は原点を通る光錐
上にあるとみなす。実際、原点からこの点までの距離(時間を含む)は、
02+12+22+32+・・・+242-702=0
を満たす。この光錐がリーチ格子を与えるという。
(中の詳しい理解は解らない部分も多いが、想像だけは膨らむ。)
これの構造を調べ上げる副産物として、それまで未発見であった散在単純群(モンスター群
を含む)の発掘に繋がっていったという歴史があるという。
そこで、連続する平方和が平方数を作る(ピタゴラスでおなじみの 32+42=52 もその一つ)
パターンに興味がわいたので調べてみました。
a2+(a+1)2+(a+2)2+・・・・+(a+n)2=N2
始めの数(a) | 終わりの数(a+n) | 合計値(N) | 始めの数(a) | 終わりの数(a+n) | 合計値(N) | |
1 3 7 7 7 7 9 13 15 17 18 20 20 21 22 25 |
24 4 29 39 56 190 32 108 111 39 28 21 43 116 80 48 |
70 5 92 143 245 1518 106 652 679 138 77 29 158 724 413 182 |
25 25 27 28 28 30 38 38 44 44 50 52 60 67 73 76 87 |
50 73 59 77 123 198 48 96 67 93 171 147 92 116 194 99 136 |
195 357 253 385 788 1612 143 531 274 495 1281 1012 440 655 1525 430 795 |
意外と同じ数からスタートするパターンが多く存在していることが面白かったです。
<探査範囲:1≦a≦100,1≦n≦200,1≦N≦2000>(もちろん探索範囲を無制限に広げると
均等化するのかもしれない。)これらはユークリッド的に距離が等価であることから、何か面
白い物語が生まれませんかね?
攻略法さんからのコメントです。(平成24年11月20日付け)
(a+1)2+(a+2)2+・・・・+(a+k)2=N2
「連続するk個の数の平方和が平方数になる」としたとき、このkがとる値は、小さい順に
2、11、23、24、26、33、47、49、50、59、73、74、88、96、97、… (→ 参考:「A001032」)
また、1432は、連続する平方数の和として2通りに表せる最小の平方数である。
72 + 82 + … + 392 = 382 + 392 + … + 482 = 1432 (→ 参考:「A097812」)
GAI さんからのコメントです。(平成24年11月20日付け)
平方数について、私も図書館で可能な限り書籍を借り出し、またネットでも何か情報が拾
えないかといろいろ探す中で、次のような面白いものに出会いました。
3つの元からなる S={1936,13689,57600} から任意の異なる2つの和をとると、すべて平方
数となる。(元の集合の元も平方数である。)
5つの元からなる S={784,4096,67081,153664,462400} から任意の異なる4つの和をとると、
すべて平方数となる。(元の集合の元も平方数である。)
8つの元からなる S={792,1122,4042,6322,8962,9162,18282,20922} から任意の異なる7つの
和をとると、すべて平方数となる。
と本に記述されていたので確かめたところ、その通り成立しました。
(HN「りらひい」さんに一部修正して頂きました。(平成24年11月21日付け))
また、平方数からではないが、5つの元からなる集合
S={26072323311568661931,43744839742282591947,118132654413675138222,
186378732807587076747,519650114814905002347}
から任意の3つの和(10通り可能)はいずれも平方数となる。
平方数には尽きせぬ不思議さが内在しているみたいです。
GAI さんからのコメントです。(平成24年11月21日付け)
攻略法さんから紹介されたオンライン整数列大辞典「A097812」で、リンクで張られた
Table of n a(n) for n=1..5077 の構成可能な数値を見ていたら次の整数を作りたくなった。
77,2222,171171,411411,550550,704704,778800,1515151
forである程度範囲を絞りながら探っていくと、
772=182+192+202+・・・+282 、22222=1922+1932+1942+・・・+2792
は発見できました。しかし残りは探索範囲になかなかひっかからなく未だ見つけていません。
どなたか効率よいプログラムで探し出してくれませんか?
攻略法さんからのコメントです。(平成24年11月21日付け)
問題 連続するk個の整数の平方和が平方数になるもの:
n2+(n+1)2+(n+3)2+ … +(n+k-1)2=m2
(答) 左辺=n2+(n+1)2+(n+3)2+ … +(n+k-1)2
=kn2 +2n(1+2+3+ … +(k-1)) +12+22+32+ … +(k-1)2
=kn2 +(k-1)kn +(k-1)k(2k-1)/6
よって、 kn2 +(k-1)kn +(k-1)k(2k-1)/6-m2=0 をnの2次方程式とみて、
解の公式より、n=(-(k-1)k±√D)/(2k)
整数解は判別式D=2k{12m2-(k-1)k(k+1)}が平方数で、2kで割り切れるときである。(終)
list
110
M=171171
120 for K=2 to M-1
130 D=2*K*(12*M^2-(K-1)*K*(K+1))//6
'判別式
140 if D<0 then cancel for:goto 210
150
W=isqrt(D)
160 if W^2<>D then 200 '平方数なら
170
N=(-(K-1)*K+W)//(2*K)
180 if N<=0 or N<>int(N) then 200
'整数なら
190 print M;": ";N;"^ 2 + … +";N+K-1;"^
2";" 長さ=";K
200 next K
210 end
OK
run
171171 : 13412 + … + 44862 長さ= 3146
411411 : 57062 + … + 88512 長さ= 3146
550550 : 66402 + … + 106322 長さ= 3993
704704 : 46692 + … + 116752 長さ= 7007
778800 : 302462 + … + 308942 長さ= 649
1515151 : 794542 + … + 798152 長さ= 362
OK