入出力=0                                戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「K.S.」さんからの出題です。
                                     (平成25年11月18日付け)

 「入出力=0」という問題を考えます。1〜n までの数を使って、サイクリックな図形に埋め
ていく問題です。

 簡単な例として、(各頂点の入出の数の和が0になる)

        

 同じく、1〜6ですが、単線の図(四面体)
                      

1〜8の場合と、1〜10の場合の一つとして

          

1〜12の場合、 例 2通り

         

<疑問>
(1)複数の解が、ある場合、本質的に,幾通りあるか?
(2)矢印の向きが、異なる場合も可能か?
(3)他の正多面体の場合は、可能か?
(4)中の数は、4,10,14,18は、必然か?
(5)一般的な解法はあるのか?

        1〜9の場合                 1〜11の場合

          

<分かったこと>
 必要条件になるかも知れませんが、各頂点の入る矢印が多く、出る矢印が少ない点を+点、
逆を−点、等しいとき0点とすると、全体として、+点の個数と−点の個数は一致する。

 矢印の向きを全て逆にしても成り立つ。


(追記) 平成25年11月29日付け

 正六面体の場合(1〜12まで)

 八個の頂点の値=0(+A、−A)のプラス部分(入)の総和は、1〜12までの総計78に等
しい。1本矢印の入出に注目すると、隣どうしは同じ値でなければならないので、4本の数の
和が39にならなければならない。

 よって、4つの数の和が39になる(8,9,10,12),(7,9,11,12),(6,10,11,12)のうち解をもつのは、一
つで(7,9,11,12)のときだけであり、12は一本の入力で、以下の二つの解があり、矢印を逆向
きに変えると、この矢印の図では、総計4通り(回転、反転を除く)の解が存在する。

      


 上記の問題について、当HPがいつもお世話になっているHN「攻略法」さんが考察されまし
た。(平成25年12月6日付け)

<状況証拠と仮説> 辺(枝)の数について、
 ・全体では、n本
 ・1つの辺に対して、入出力あわせて3本以上である。─○ や ─○─、=○ は存在しない。

 頂点(節)の値(入力側または出力側の和)

 ・値の範囲
  =○─なら、最小:1+2=3、最大:n
  =○=なら、最小:1+4=2+3=5、最大:n+(n-3)=(n-1)+(n-2)=2n-3
  ≡○─なら、最小:1+2+3=6、最大:n    など・・・。

 ・全体の和は、Σk=1〜n k=n(n+1)/2 (以下、Σと記す)である。

 提示されたものより、

    n=6の場合、Σ=21     n=9の場合、Σ=45
     E
    /E\
   C───D
   G─E
   │H│
   │H│
   G─D

 辺(枝)と頂点(節)の値:分割数となる。

 図形を固定して考えて、数え上げてみる。

● k角錐のとき

 nが柱にある場合、1≦a かつ 2a<n=2k とする。

  ○
  n↓  … │  … │
 ←○→   ○─   ○←
 a  n-a         a


 nが底面にある場合、1≦a<b<n=2k とする。

   ○
 n-a↓ b↑  … │  … │
  →○→○→   ○─   ○→
  a n n-b         a
     ○
 n-a↓n-b↑  … │  … │
  →○→ ○→   ○─   ○→
  a n  b          a
 
   ○
  a↓ b↑  … │  … │
  →○→○→   ○─   ○→
 n-a n n-b         n-a
   ○
  a↓n-b↑  … │  … │
  →○→ ○→   ○─   ○→
 n-a n  b          n-a

のように、はしご状に展開する。

 3角錐(正4面体)の場合  n=6のとき

  E
  6↓ 2↑ 4↑
 ←E→D→C←
  1  5  3  1


 3角錐系の平面図形

      E
     /6↑ \
   1 /  E  \ 5
   ↓ 4/ \2 ↓
   C←────D
      3
       C
    1/↑\4
  ┌E 3│ E┐
  │ 5\│/2 │
  │  D  │
  └─  ←  ─┘
     6

 4角錐の場合  n=8のとき

  I
  8↓ 4↑ 2↓ 6↑
 ←G→F→D→E←
  1  7  3  5  1
    J
  8↓ 5↑ 6↑ 3↓
 ←G→F→E←C←
  1  7  2  4  1
    H
  8↓ 1↓ 4↑ 5↑
 ←G→F→F→D←
  2  6  7  3  2
 
  K
  8↓ 7↑ 4↓ 5↑
 ←G→F←C→D←
  2  6  1  3  2
  J
  8↓ 7↑ 4↑ 3↓
 ←G→F←D←D←
  2  6  1  5  2
  H
  8↓ 1↓ 2↑ 7↑
 ←G→E→E→F←
  3  5  6  4  3
 
  I
  8↓ 2↓ 6↑ 4↑
 ←G→F→F→C←
  3  5  7  1  3
  I
  7↓ 6↑ 3↓ 4↑
 →G→G→D→D→
  1  8  2  5  1
  J
  7↓ 6↑ 5↑ 4↓
 →G→G→D←C→
  1  8  2  3  1
 
  E
  2↓ 5↑ 4↓ 1↑
 →G→G→F→F→
  6  8  3  7  6
  H
  2↓ 5↑ 4↑ 7↓
 →G→G→C←F→
  6  8  3  1  6

● k角柱のとき  1≦a<b<n=3k とする。

 nが柱にある場合

 a  n-a         a
 →○←   ○─   ○→
  n↓  … │  … │
 ←○→   ○─   ○←
 b  n-b         b
   a  n-a         a
 →○←   ○─   ○→
  n↓  … │  … │
 ←○→   ○─   ○←
 n-b  b        n-b

 nが上面(または底面)にある場合

  a  n  b          a
  →○→ ○→   ○─   ○→
 n-a↑n-b↓  … │  … │
  ─○─ ○─   ○─   ○─
    a  n  n-b         a
  →○→ ○→   ○─   ○→
 n-a↑ b↓  … │  … │
  ─○─ ○─   ○─   ○─
 
 n-a  n  b         n-a
  →○→ ○→   ○─   ○→
  a↑n-b↓  … │  … │
  ─○─ ○─   ○─   ○─
 n-a  n  n-b        n-a
  →○→ ○→   ○─   ○→
  a↑ b↓  … │  … │
  ─○─ ○─   ○─   ○─

のように、はしご状に展開する。

 3角柱の場合  n=9のとき

  1  8  5  1    1  8  6  1    2  7  6  2
 →H←G←E→   →H←G←F→   →H←F←G→
  9↓ 3↑ 6↑     9↓ 2↑ 7↑     9↓ 1↑ 8↑
 ←H→F→E←   ←H→D→F←   ←H→C→G←
  2  7  4  2    4  5  3  4     5  4  3  5

  8  9  6  8    2  9  6  2     3  9  4  3
 →H→H→G→   →H→H→E→   →H→H→C→
  1↑ 3↓ 2↑     7↑ 3↓ 4↓     6↑ 5↓ 1↓
 →D→F→F→   ←G←G←D←   →G→F→G→
  5  4  7  5    1  8  5  1     8  2  7  8



 3角柱系の平面図形

      C
     /↓1\
    / F  \
   3/ 6/\7  \4
  /  G─→H   \
  ↓8/  2  \9 ↑
  G←──────H
      5
      6
  G──→F
  ↑2\/7↑
  │ H │
  8│ 9↓ │1
  │ H │
  │5/\4│
  G←──C
    3

 4角柱の場合(正6面体)

  1 11  5  8  1
 →K←J←G←H→
 12↓ 6↑ 3↓ 9↑
 ←K→I→F→H←
  2 10  4  7  2
    1 11  4  6  1
 →K←J←I→E→
 12↓ 7↑10↑ 5↓
 ←K→H→I←G←
  3  9  2  8  3
    2 10 11  5  2
 →K←J←J←F→
 12↓ 1↓ 6↑ 7↑
 ←K→H→H→F←
  4  8  9  3  4
 
  2 10  1  7  2
 →K←J→F→F→
 12↓11↑ 6↑ 5↓
 ←K→J←H←H←
  4  8  3  9  4
  3  9 10  8  3
 →K←I←I←J→
 12↓ 1↓ 2↑11↑
 ←K→E→E→J←
  7  5  6  4  7
  4  8 11  2  4
 →K←J←J←E→
 12↓ 3↓ 9↑ 6↑
 ←K→I→I→E←
  5  7 10  1  5

(追記) 平成25年12月7日付け

● 正k角形のとき  等差数列の性質を利用して、正多角形の辺上に数字を配置する。

n=2kのとき

その1
  1  2  3  4    k  1
  →○→○→○→○ … →○→
  ← ← ← ←   ← ←
  k+1 k+2 k+3 k+4   2k k+1

  1  2  1
  →D→D→
  ← ← ←
  3  4  3

 すなわち、

   2,3
  D→D
   ←
   1,4
    1  2  3  1
  →E→G→F→
  ← ← ← ←
  4  5  6  4

 すなわち、

     E
   1,4// \\2,5
    F = G
     3,6
    1  2  3  4  1
  →F→H→J→H→
  ← ← ← ← ←
  5  6  7  8  5

 すなわち、

    2,6
    F=H
  1,5|| ||3,7
    H=J
     4,8

その2
  1  2  3  4    k  1
  ⇒○⇒○⇒○⇒○ … ⇒○⇒
  2k 2k-1 2k-2 2k-3  k+1 2k


 Σがkで割り切れるので、頂点の値(=2k+1)がすべて同じとなる。

  1  2  1
  ⇒D⇒D⇒
  4  3  4

 すなわち、

   1,4
  D→D
   ←
   2,3
    1  2  3  1
  ⇒F⇒F⇒F⇒
  6  5  4  6

 すなわち、

     F
   1,6// \\2,5
    F = F
     3,4
    1  2  3  4  1
  ⇒H⇒H⇒H⇒H⇒
  8  7  6  5  8

 すなわち、

    2,7
    H=H
  1,8|| ||3,6
    H=H
     4,5

n=2k+1のとき

 2k+1 1  2  3   k 2k+1
  →○⇒○⇒○⇒○ … ⇒○→
    2k 2k-1 2k-2  k+1


 Σが(k+1)で割り切れるので、頂点の値(=2k+1)がすべて同じとなる。

 3  1   3
 →B⇒B→
   2

 すなわち、

  1,2
 B≡B
  3
   5  1  2   5
 →D⇒D⇒D→
   4  3

 すなわち、

     D
   1,4//  \5
    D = D
     2,3
   7  1  2  3   7
 →F⇒F⇒F⇒F→
   6  5  4

 すなわち、

    2,5
    F=F
  1,6|| ||3,4
    F─F
     7

 K.S.さんからのコメントです。(平成25年12月7日付け)

 正六面体で新たな解が見つかり、攻略法さんに、感謝です。ました。 重複する部分とそう
でない部分があり、総計14通り、それ以上あるのかまだわかり ません。 正八面体につい
て、8通り見つかりましたが、それ以上あるかもしれません。

 正八面体の場合(1〜12)
             

 この図の場合、対称な形であり、どの同一平面上の4本の和も、26でなければならないこ
とがわかり、どの一組も4数の和が26になる場合が全部で5通りあります。

 (A) (5,6,7,8),(2,3,10,11),(1,4,9,12)   (B) (4,6,7,9),(2,5,8,11),(1,3,10,12)
 (C) (4,5,8,9),(3,6,7,10),(1,2,11,12)   (D) (3,5,8,10),(2,4,9,11),(1,6,7,12)
 (E) (3,4,9,10),(2,6,7,11),(1,5,812)

 この中で、(E)以外は可能で、逆向きも含め8通りあります。結果どの場合も向かい合う頂
点の値の和が26になっている。これが一般の他の図の場合も必要条件になっているでしょ
うか?