幾何学                                   戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
                                      (平成24年3月21日付け)

  x=cosα+i・sinα、y=cosβ+i・sinβ、z=cosγ+i・sinγ が、x+y+z=xyz であれば

cos(β−γ)+cos(γ−α)+cos(α−β)=−1 であることを証明せよ。

(出典: モノグラフ 複素数(初版) より 問題14(その3)の6番)



































(答) モノグラフには、「△xyzの3頂点および垂心が単位円の周上にあるので、この三角
   形は直角三角形」というヒントが書いてあります。このヒントをどう使うかも思案のしど
   ころですね!(モノグラフは私の高校時代の教科書だったので懐かしいです...(^^;)


 △xyzは、単位円に内接する三角形なので、x+y+z は、△xyzの垂心である。

 x+y+z=xyz より、|x+y+z|=1 が成り立ち、垂心 x+y+z も単位円周上の点で

ある。よって、△xyzは、直角三角形となる。

 このとき、 x+y+z=x または x+y+z=y または x+y+z=z

 以下で、題意より、x+y+z=x としても一般性は失われない。

 このとき、 y+z=0 かつ yz=1 から、 y、z は、2次方程式 t2+1=0 の解。

 t=±i なので、 y=i 、z=−i としても一般性は失われない。

   このとき、題意を考えれば、x、y、z の配置図として

  左図のようであるものとしてよい。

   このとき、 cos(β−γ)=cosπ=−1

   また、余弦定理より、

  cos(γ−α)=−(2−(x、y を結ぶ線分の長さ)2)/2

 同様にして、

  cos(α−β)=(2−(x、y を結ぶ線分の長さ)2)/2


  以上から、 cos(β−γ)+cos(γ−α)+cos(α−β)=−1


 空舟さんが考察されました。(平成24年3月21日付け)

 題意より、 |x|=|y|=|z|=1 で、|x+y+z|=1 が成り立つ。

<複素共役を使う方法> 1/x、1/y、1/z がそれぞれ x、y、z の複素共役であることに注目
                する。

 A=x/y+y/z+z/x を考えると、Aの実部が、cos(β-γ)+cos(γ-α)+cos(α-β) となる。

 2・(Aの実部)=A+A~=(x/y+y/z+z/x)+(y/x+z/y+x/z)

        =(x+y+z)(1/x+1/y+1/z)-3=|x+y+z|2-3=1-3=-2

 よって、 Aの実部=cos(β-γ)+cos(γ-α)+cos(α-β)=-1

<ベクトルを使う方法> |OX+OY+OZ|=1 の両辺を2乗して、|OX|=|OY|=|OZ|=1とすれば、

 OX・OY+OY・OZ+OZ・OX=-1 を得る。

 このとき、 cosα・cosβ+sinα・sinβ
         +cosβ・cosγ+sinβ・sinγ
          +cosγ・cosα+sinγ・sinα=-1

 すなわち、 cos(β-γ)+cos(γ-α)+cos(α-β)=-1

(※) (x+y+z)(1/x+1/y+1/z) を展開するのと本質的に同じです。

 この問題では、上のように |x+y+z|=1 で十分です。ちょっと考察すれば、以下のより強い主
張ができます。

 |x+y+z|=1 ⇔ (x+y)(y+z)(z+x)=0  (xyzが三角形をなすなら、直角三角形!)

 実際に、|x+y|≠0 ならば、|x+y+z|=1 かつ |z|=1を満たすzは2つしかない。
(円と円の交点で求まるから。|x+y|≠0 ならば、2つの円は中心が異なる。)
 z=-x、z=-y が満たしてしまうので、他には存在しないと理解できます。

 この考察をすれば、問題の等式については、2つのcosが打ち消し合い、「もう1つ=-1」と
いう風になります。

 ちなみに、x+y+z=xyz となるのは、斜辺が虚軸に重なる時、すなわち、
  「x、y、z のうちどれかが i、どれかが -i、もう1つは任意」
の場合に限られることもわかりますね!


(コメント) 空舟さんの解はすっきりして美しいですね!最初、三平方の定理を使おうとして
      計算を始めたのですが、なかなか所要の結果は得られませんでした。