初等幾何学
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
(平成27年7月9日付け)
△ABCの辺BCの中点をMとする。∠MAC=15°であるときの∠Bの最大値は?
また、∠Bの最大値が鈍角になるのは、∠MACが何度以下であるときか?
ただし∠MACは、0度以上90度以内での整数値とする。
(答) DD++さんが考察されました。(平成27年7月11日付け)
タイトル通りに初等幾何だけで頑張ってみようとしたんですが……三角比って初等幾何の
範疇でいいんでしたっけ?なんにせよ、何かもっと楽な方法があるだろうという気がします。
大きさは角度に影響しないので、適当に拡大・縮小して、BC=4 として考えます。線分MCの
中点をNとすると、BM=2、MN=NC=1 です。また、△MAC の外心をOとします。
∠Bが鈍角になる可能性があるのは、△MACの外接円の半径がBN=3より長いときなので、
正弦定理より、 sin∠MAC<1/3 が条件です。(三角比表より、整数値であれば最大19°)
以下は、∠MAC=15°のときを考えます。
外接円の半径は、正弦定理より、+、さらに、三平方の定理より、 ON=2+ です。
∠Bが最大になるのは、∠BAO=90°になるとき(ABが円Oの接線!)で、このとき、方べき
の定理から、AB2=2×4 より、AB=2 となります。
よって、四角形ABNOの面積Sを対角線BOで分けて考えると、
S=1/2×3×(2+)+1/2×2×(+)=(10+7)/2
一方、対角線ANで分けると、
S=1/2×3×2×sinB+1/2×(+)×(2+)×sinB=(11+3)sinB/2
(∵∠OAB=∠ONB=90°より、4点 A、B、N、O は同一円周上に存在する!)
したがって、sinB=(10+7)/(11+3)=(+)/4
また、sin15°<1/3 より、∠Bは鈍角になることがあるので、∠Bの最大値は105°
GAI さんからのコメントです。(平成27年7月11日付け)
実は、初等幾何に見せかけた難問だと思います。最初簡単な問題文だったのでとり組んで
いたら、全く手懸かりが出てこず図を何度も書き直していたら(正確に分度儀も使った。また、
この図が描きにくかった。)、Bの角度が最大になる条件が、3点A、C、Mを通る外接円が浮
かんできて、この円にBからの接線がAで接するときが、その条件であることが漸く掴めた。
円に対する接線から、∠BAM=∠ACM が起こることから、△ABC∽△MBA が相似比
の関係にあることが出てきます。(方べきの定理)
よって、AC=*AM なので、ACを斜辺とする直角2等辺三角形AOCをB点と反対側に作
ると(Oは△ACMの外心)、AC=*OA で、AM=OA=OM から、△OAMは正三角形となり、
2∠ACM=∠AOM=60°(中心角と円周角の関係) から、∠ACM=30°が導ける。
以上から、最後に△ABCを考えて、 ∠B=180°-(30°+15°+30°)=105°(ふゥ〜)
推論の微妙な組合せで進みますが、平面幾何で教科書に紹介されている基本事項を洩
れなく使い回す良問だと感心しました。
そこで、この一定角∠MAC=θ を固定して、Bの角度の最大値が求めたくなった。先ほど
の議論を辿っていくと、今度はACを斜辺とする他辺の長さAMの直角2等辺三角形の直角
を担う第3点Pは、今度は、△ACMの外心のOとはずれる位置にしか来られなくなる。途方
に暮れていたが、1時間後、一辺の長さがAM=aの正方形APCQを作ってみることに思い
至った。こうすると、∠ACM=ψ とθがベクトルAC、MC の組合せで関係ができることにな
る。
A(0,0)、P(a,0)、C(a,a)、Q(0,a)、M(a・cos(θ+45°),a・sin(θ+45°)) と座標を設ける
と、
cosψ=(AC・MC)/|AC|*|MC|
={a2(1-cos(θ+45°))+a2(1-sin(θ+45°))}/a2・√{(1-cos(θ+45°))2+(1-sin(θ+45°))2}
=(2-cosθ)/√(6-4cosθ)
これから、各θに対応するcosψからψをコンピュータ利用で求め、これよりBの最大角∠B
が、
∠B=180°-θ°-2ψ° で繋がる。 (→ 計算結果一覧)
正に、19°以下で、Bの最大角が鈍角に入ります。DD++さんの結果と一致したので安心し
ました。
DD++さんからのコメントです。(平成27年7月11日付け)
ACを斜辺とする直角2等辺三角形AOCをB点と反対側に作ると(Oは△ACMの外心)
このOが外心になる保証ってどこから来てるんですかね?私の場合は、外心を取ると直角
二等辺三角形が出来そうという逆順を辿ったのですが、証明し切れずに別の道へ逃げてし
まいました。
また、これが証明できたら、AB//OC(どちらもOAに垂直)から錯角で45°を持ってきた方
が解答がすっきりしそうです。
DD++さんからの続報です。(平成27年7月27日付け)
以下の手順でいけるようです。
△ACMの外心をOとします。OCと垂直な直径の点Mに近い側の端をA’とすると、
∠A’OC=90° と ∠A’OM=60° から、 A’M : A’C=1 :
ここで、XM : XC=1 : となる点Xは、線分MCを、1 : に分けるアポロニウスの円上
にあり、同時に、△ACMの外接円上にもある点は2円の交点であるため平面上に高々2個
しかありません。しかも、点Mはアポロニウスの円内に、点Cはアポロニウスの円外にあるの
で、XM : XC=1 : かつ、弧MC(長い方)上にある点は高々1つです。
したがって、この条件を満たす点Aと点A’は同一の点であるとわかります。
よって、∠AOC=∠A’OC=90°
(コメント) なるほど!△ACMの外接円以外に、線分MCを、1 : に分けるアポロニウス
の円を考えればいいんですね。何となく上記の下線部のモヤモヤがすっきりしまし
た。DD++さんに感謝します。