間違いはどれか
当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
(平成24年4月21日付け)
複素数についての問題です。(新課程高校数学Vレベル)
次の5つのことがらのうち、誤っているのはどれか?
1. 整数、分数、無理数、虚数は複素数である。
2. z=−1+i・ とする。複素平面上で点 =−1−i・ は点 z と実軸に関して対称
の位置にある。
3. 複素数 z の絶対値は、|z|=z・
4. n を任意の整数とするとき、(cosθ+i・sinθ)n=cos nθ+i・sin nθ
5. z は任意の複素数、α=cosθ+i・sinθ のとき、arg(z/α)=arg z−θ
(答) 間違いは、3.と5.
3. |z|=z・ は誤りで、正しくは、 |z|2=z・
5. arg(z/α)=arg z−θは誤りで、正しくは、 arg(z/α)=arg z−arg
α
α=cosθ+i・sinθ だからといって、arg α=θ とは言えない。
正しくは、 arg α=θ+2nπ (nは整数)
空舟さんからのコメントです。(平成24年4月21日付け)
代数体の分野では、2次体だと z=a+b√q に対して、共役の積、即ち、z・=a2-qb2 に
よって「イデアルのノルム」が定義されています。これは、2次体上の整数環でzを法とする
剰余類の個数という意味を持ちます。「剰余類の個数」と「複素数の絶対値」は一見別物に
思えるので面白いです。
例 複素整数環上で、z=1+2i を法とする剰余群は、0、±1、±i の5個とまとめられる。
ちなみに、線形代数の分野で「ベクトルのノルム」というと、「√」がつくようです。(「√」をつ
けるのは、スカラーaに対して、|aX|=|a||X| にする意味のようです。)
調べてみると、行列ノルムとかいうものも存在して、行列式とは別物らしいです。
ノルムとか絶対値とか行列式とか、似たイメージなのでなんかややこしいです...。
DD++さんからのコメントです。(平成28年10月8日付け)
これは、1.も誤りではないかと思います。「分数」は「括線の上下の数の比として1つの数
を表したもの」のことですが、比を作るのに用いる数の種類は「分母は0ではいけない」以外
何も限定していません。
つまり、(1+2i+3j+4k)/2(四元数)なども分数に該当しますが、これはもちろん複素数では
ないので、分数は必ずしも複素数とはいえないと思います。
よおすけさんからのコメントです。(平成28年10月8日付け)
4.も、任意の整数nを、ガウスの整数 a+bi (a、bは有理整数、iは虚数単位)と見なした場
合、例えば、n=1+iのとき、
(cosθ+isinθ)^(1+i)=(cos(1+i)θ+isin(1+i)θ)
とやりそうだが、成り立たない。