不定方程式
当HP読者のHN「V」さんからの出題です。(平成25年5月3日付け)
(X+Y−1)(Y+Z−1)(Z+X−1)=6XYZ
を満たす1より大きい自然数 X、Y、Z(ただし、X<Y<Z)を多様な発想で求めよ。
これを解いてもらえませんか?
(答) 当HPがいつもお世話になっているHN「S(H)」さんが考察されました。
(平成25年5月3日付け)
不定方程式を解いてみました。(→ 参考)
{{1, 1, 6}, {1, 2, 5}, {1, 3, 4}, {1, 4, 3}, {1, 5, 2}, {1, 6, 1}, {2, 1, 5}, {2, 4, 5}, {2, 5, 1}, {2, 5, 4},
{3, 1, 4}, {3, 4, 1}, {3, 4, 6}, {3, 6, 4}, {4, 1, 3}, {4, 2, 5},
{4, 3, 1}, {4, 3, 6}, {4, 5, 2}, {4, 5, 6},
{4, 6, 3}, {4, 6, 5}, {5, 1, 2}, {5, 2, 1}, {5, 2, 4}, {5, 4, 2}, {5, 4, 6}, {5, 5, 6}, {5, 6, 4}, {5, 6, 5},
{6, 1, 1}, {6, 3, 4}, {6, 4, 3}, {6, 4, 5}, {6, 5, 4}, {6, 5, 5}}
から、条件を満たす自然数 X、Y、Z(ただし、1<X<Y<Z)の組は、
{2, 4, 5} 、 {3, 4, 6} 、 {4, 5, 6}
の3組。
Vさんからのコメントです。(平成25年5月3日付け)
さっそくの回答(解答)ありがとうございます。
当HPがいつもお世話になっているHN「攻略法」さんが考察されました。
(平成25年5月4日付け)
・y、z の上限について
1<x<y<z より、1+(y-1)<x+(y-1) なので、 y<x+y-1
1+(z-1)<y+(z-1) なので、 z<y+z-1
このとき、yz(z+x-1)<(x+y-1)(y+z-1)(z+x-1)=6xyz となり、(z+x-1)<6x より、z<5x+1
このことから、 1<x<y<z≦5x
・x の上限について・・・y、zに上記の範囲を適用して具体的に調べてみる。
f(x,y,z)=(x+y-1)(y+z-1)(z+x-1)-6xyz
とおく。
x=2のとき、
x y z f(x,y,z) 2 3 4 -24 2 3 5 -12 2 3 6 8 2 3 7 36 2 3 8 72 2 3 9 116 2 3 10 168 2 4 5 0 2 4 6 27 2 4 7 64 2 4 8 111 2 4 9 168 2 4 10 235 |
x y z f(x,y,z) 2 5 6 60 2 5 7 108 2 5 8 168 2 5 9 240 2 5 10 324 2 6 7 168 2 6 8 243 2 6 9 332 2 6 10 435 |
x y z f(x,y,z) 2 7 8 336 2 7 9 444 2 7 10 568 2 8 9 576 2 8 10 723 2 9 10 900 |
赤字の各数字列に着目すると、それぞれzが増加すれば、fも増加する。
また、赤字の数字列に着目すると、yが増加すれば、fも増加する。
x y z f(x,y,z) 2 3 4 -24 2 3 5 -12 2 3 6 8 2 3 7 36 2 3 8 72 2 3 9 116 2 3 10 168 2 4 5 0 2 4 6 27 2 4 7 64 2 4 8 111 2 4 9 168 2 4 10 235 |
x y z f(x,y,z) 2 5 6 60 2 5 7 108 2 5 8 168 2 5 9 240 2 5 10 324 2 6 7 168 2 6 8 243 2 6 9 332 2 6 10 435 |
x y z f(x,y,z) 2 7 8 336 2 7 9 444 2 7 10 568 2 8 9 576 2 8 10 723 2 9 10 900 |
x=3のとき、上記と同じことが言える。
x y z f(x,y,z) 3 4 5 -24 3 4 6 0 3 4 7 36 3 4 8 84 3 4 9 144 3 4 10 216 3 4 11 300 3 4 12 396 3 4 13 504 3 4 14 624 3 4 15 756 3 5 6 20 3 5 7 63 3 5 8 120 3 5 9 191 3 5 10 276 3 5 11 375 3 5 12 488 3 5 13 615 3 5 14 756 3 5 15 911 3 6 7 108 3 6 8 176 3 6 9 260 3 6 10 360 3 6 11 476 3 6 12 608 3 6 13 756 3 6 14 920 3 6 15 1100 |
x y z f(x,y,z) 3 7 8 252 3 7 9 351 3 7 10 468 3 7 11 603 3 7 12 756 3 7 13 927 3 7 14 1116 3 7 15 1323 3 8 9 464 3 8 10 600 3 8 11 756 3 8 12 932 3 8 13 1128 3 8 14 1344 3 8 15 1580 3 9 10 756 3 9 11 935 3 9 12 1136 3 9 13 1359 3 9 14 1604 3 9 15 1871 |
x y z f(x,y,z) 3 10 11 1140 3 10 12 1368 3 10 13 1620 3 10 14 1896 3 10 15 2196 3 11 12 1628 3 11 13 1911 3 11 14 2220 3 11 15 2555 3 12 13 2232 3 12 14 2576 3 12 15 2948 3 13 14 2964 3 13 15 3375 3 14 15 3836 |
同様に、x=4、5、6、…
以上から、 f(x,x+1,x+2)≦f(x,y,z) (が推定される。)
よって、f(x,y,z)=0 とすると、f(x,x+1,x+2)≦0 でなければならない。
したがって、f(x,x+1,x+2)=2x(x+1)(x-4) なので、x=2、3、4 でなければならない。
(まとめ) 手順:x=2、3、4 について、f(x,y,z)≧0になるまで、y、z を昇順に調べる。
具体的には、
x y z f(x,y,z) 2 3 4 -24 2 3 5 -12 2 3 6 8 |
x y z f(x,y,z) 2 4 5 0 3 4 5 -24 3 4 6 0 |
x y z f(x,y,z) 3 5 6 20 4 5 6 0 |
となる。
Vさんからのコメントです。(平成25年5月4日付け)
攻略法さんありがとうございます。上記の推定は合っていると思います。厳密には、差分
か微分で証明できると思います。
この問題は数セミの4月号の「エレガントな解答をもとむ」の問題で、5月12日発売の6月
号で解答が載りますので、そのときは概要を投稿します。
(不思議なことに数セミ発売より前に質問サイトに載っていました。出題者の安田亨氏はそ
のサイトを見て出題したんでしょうかね?)
あるブログに、「相加平均≧相乗平均」を使った解法が載っていました。(さっき見つけました)
(x+y-1)(y+z-1)(z+x-1)=6xyz …(1)
相加相乗平均の関係より、
x+y-1≧ 2√{(x(y-1)}、y+z-1≧ 2√{(y(z-1)}、z+x-1> 2√{x(z-1)}
よって、6xyz > 8x√{y(y-1)}(z-1) の両辺を 8xyz で割って、
3/4 > √{1-(1/y)}{1-(1/z)}
両辺を2乗して、 9/16 > (1-1/y)(1-1/z)2 > (1-1/y)3
よって、 y < 1/{1-(9/16)1/3} < 6 より、 y≦5
1<x<y なので、(x,y)の可能な組は、(2,3)、(2,4)、(2,5)、(3,4)、(3,5)、(4,5) のみ。
これらの組について、等式(1)を満たす自然数解 z (>y)があるか確認すると、
(x,y,z)=(2,4,5)、(3,4,6)、(4,5,6) の3通りのみ。
以下、工事中