2次方程式の図式解法                        戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
                                        (令和5年10月1日付け)

  2次方程式 ax2+bx+c=0 (a、b、c は実数) の図式解法の一つとして次の方法がある。

 直交座標軸を定め、座標がそれぞれ (−b/(2a),(c+a)/(2a)) および (0,1) である2点
C、Aをとり、Cを中心としてAを通る円を描く。

 もし、この円が横軸と2点P、Qで交われば、P、Qの横座標は、与えられた方程式の2つの
実根を表わす。(P、Qが一致するときは、実の等根)

また、もし、この円が横軸と交わらないならば、与えられた方程式は二つの虚根をもつ。この
場合には、円の中心Cから横軸に下した垂線の足Kの横座標をαとし、Kから円に引いた接
線KTの長さをβとすれば、2根は、α±βi で与えられる。

 この解法の正しいことを証明せよ。

(出典) 京都大学(1954年)

補足:i は虚数単位、等根は重解、実根は実数解、虚根は虚数解のこと。
































(答) Cを中心としてAを通る円の方程式は、

 (x+b/(2a))2+(y−(c+a)/(2a))2=(b2+(c−a)2)/(4a2)

ここで、y=0 とおくと、 (x+b/(2a))2=(b2−4ac)/(4a2)

 展開して整理すると、2次方程式 x2+(b/a)x=−c/a すなわち、ax2+bx+c=0 が得
られる。

この円が横軸と2点P、Qで交われば、b2−4ac>0 で、ax2+bx+c=0 の根は、

 x+b/(2a)=±√(b2−4ac)/(2a) すなわち、x=(−b±√(b2−4ac))/(2a)

これは、与えられた方程式の2つの実根を表わす。

 特に、b2−4ac=0 のときは、P、Qが一致し、実の等根 −b/(2a) を得る。

この円が横軸と交わらないときは、b2−4ac<0 で、ax2+bx+c=0 の虚根は、

 x=(−b±i・√(4ac−b2))/(2a)=(−b/(2a) )±i・(√(4ac−b2))/(2a))

で与えられる。

 円の中心Cから横軸に下した垂線の足Kの横座標は、α=−b/(2a) で、Kから円に引い
た接線KTの長さをβとすれば、方べきの定理より、

β2=((c+a)/(2a)−√(b2+(c−a)2)/(2a))((c+a)/(2a)+√(b2+(c−a)2)/(2a))

=(c+a)2/(4a2)−(b2+(c−a)2)/(4a2)=(4ac−b2))/(2a)

から、 β=√(4ac−b2))/(2a) となる。

 以上から、2虚根は、α±βi で与えられる。