複素数のn乗                              戻る

 当HP読者のよおすけさんより、「複素数のn乗」問題を頂きました。
                                     (平成23年12月31日付け)

 座標平面上の点(,−1)に対応する複素数を、9回かけ合わせた複素数を求めよ。





































(答)  座標平面上の点(,−1)に対応する複素数は、−i (i は虚数単位)と書ける。

   このn乗を計算する場合、通常極形式で表すのが定石である。何故ならば、複素数の
   n乗の計算には、次のド・モアブルの公式が有効だからである。

      (cosθ+i・sinθ)=cos(nθ)+i・sin(nθ)

    ここで、 −i =2(cos(π/6)−i・sin(π/6)) なので、

     (−i )9=29(cos(3π/2)−i・sin(3π/2))=512・i

   となる。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年1月2日付け)

 xy 平面上の点(a,b)と複素数 a+b・i は、1対1に対応する。

  A∈Hom[R2,R2] A:(a,b) -----> a+b・i

 MatrixPower[{{Sqrt[3], 1}, {-1, Sqrt[3]}}, 9]  を、「Wolfram|Alpha」に挿入して、「512i」を

得る。


 よおすけさんが、行列を用いた方法を考察されました。(平成24年1月20日付け)

 座標平面上の点(,-1)に対応する複素数は、+(-1)i から、-i

 これに対応する行列は、単位行列Eと、(1,2)成分が-1、(2,1)成分が1、他は0 の行列J

を用いて、 E-J となる。原点の周りの角θの回転を表す行列をR(θ)とすると、

  E-J = 2R(-π/6)

 この行列を、9回掛けると、 (E-J)9 = 29R(-9π/6) = 512R(-3π/2) = 512J

 単位行列Jは、複素数の世界では虚数単位 i に対応するので、求める値は、512・i


 よおすけさんからの続報です。(平成25年1月8日付け)

 −i の9乗を計算するだけなら以下でもできます。

   (−i)9=((−i)3)3 と考えると、3乗の展開公式を用いて、

      (−i)3=−8i iより、  (−i)9=(−8i)3=512i


 攻略法さんから別解をいただきました。(平成25年5月15日付け)

(別解) -i=2(cos(-30°)+i・sin(-30°)) より、

      29(cos(-270°)+i・sin(-270°))=512i  (終)