トランプ版丁半ゲーム
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
(平成27年2月11日付け)
2つのさいころにおいては、丁(2つの目の和が偶数)半(2つの目の和が奇数)の勝負が
公平に設定できる。
そこで、52枚のトランプを用いてこれからお互い r 枚のカードをランダムに選び、選んだ
カードの数の合計で丁半ゲームをする場合に果たして公平なものにするためには何枚のカ
ードをお互い選んだらよいか?
また、公平でないなら何枚の時が最も2人の勝負は公平に近づくか?
(微妙に違うなら丁、半いずれが有利か?)
(答) トランプ52枚には、偶数が24枚、奇数が28枚含まれる。トランプの数の総和は364
なので、2人とも26枚選ぶ場合は、選んだカードの合計は偶数で、必ず丁となり、ゲー
ムにならない。
25枚選んだ場合、(偶,奇)の可能性は、(0,25)、(1,24)、(2,23)、・・・、(24,1)
の25通りあるが、2を法として考えると、(0,1)、(1,0)、(0,1)、(1,0)、・・・、(0,1)
このとき、丁半の判定は、半、丁、・・・、丁、半で、丁の出現確率は12/25、半の出現確
率は、13/25となる。
例えば、一人が(0,25)と選んだ場合、残りは、偶数が24枚、奇数が3枚なので、
可能性は、(24,1)、(23,2)、(22,3)の3通りで、選んだカードの合計の丁半の判定は、
丁、半、丁で、丁の出現確率は2/3、半の出現確率は、1/3で、公平とは言えない。
24枚選んだ場合、(偶,奇)の可能性は、(0,24)、(1,23)、(2,22)、・・・、(24,0)
の25通りあるが、2を法として考えると、(0,0)、(1,1)、(0,0)、(1,1)、・・・、(0,0)
このとき、丁半の判定は、丁、半・・・、丁で、丁の出現確率は13/25、半の出現確率は、
12/25となる。
例えば、一人が(0,24)と選んだ場合、残りは、偶数が24枚、奇数が4枚なので、
可能性は、(24,0)、(23,1)、(22,2)、(21,3)、(20,4)の5通りで、選んだカードの
合計の丁半の判定は、丁、半、丁、半、丁で、丁の出現確率は3/5、半の出現確率は、2/5
で、公平とは言えない。
...と考えると、公平になるような場合は存在しないような予感!
DD++さんからのコメントです。(平成27年2月18日付け)
数日悩んでようやく解けました。
例えば、枚数を減らして、偶数2枚、奇数3枚の計5枚からカードを引くとき、
(1+x)2(1-x)3 = -x5+x4+2x3-2x2-x+1
という展開式の係数から、この5枚から何枚か引いて合計すると、
・5枚引く場合は、偶数になる組み合わせの方が1つ少ない
・4枚引く場合は、偶数になる組み合わせの方が1つ多い
・3枚引く場合は、偶数になる組み合わせの方が2つ多い
・2枚引く場合は、偶数になる組み合わせの方が2つ少ない
・1枚引く場合は、偶数になる組み合わせの方が1つ少ない
・0枚引く場合は、偶数になる組み合わせの方が1つ多い
ことがわかります。同じように、今回の問題では、(1+x)24(1-x)28の偶数次係数を考えれば
いいことになります。r=0、26 のときは必ず偶数なので、これらは除いて考えます。
偶数次だけ取り出すには、xを-xに変えたものと足して2で割ればいいので、
{ (1+x)24 (1-x)28 + (1-x)24 (1+x)28 } /2
= (1-x2)24 { (1-x)4 + (1+x)4 } /2= (1-x2)24(1+6x2+x4)= (1-x2)26 + 8x2(1-x2)24
と考えて、x2r の係数は、 C(26,r) (-1)r + 8 C(24,r-1) (-1)r-1 、つまり、公平になるために
は、 C(26,r) = 8 C(24,r-1) ですが、r≠12、13 のときは、左辺は13の倍数であるのに対し右
辺は13の倍数でなく、r=12、13 は個別に代入すれば成り立たないことがわかり、よって、こ
のゲームは絶対に公平になりません。最も公平に近いのは、
f(r)= {C(26,r) (-1)^r + 8 C(24,r-1) (-1)^(r-1)} / C(52,2r)
が最も0に近いものを考えればよく、
|f(r+1)/f(r)| = | (4r^2-96r+225)(2r+1) / (4r^2-104r+325)(51-2r)
| < 1
を解くと、
r<(25-5√13)/2, (25-√298)/2<r<25/2, (25+√298)/2<r<(25+5√13)/2
なので、rを自然数に限って考えると、
|f(1)| > |f(2)| > …… > |f(12)| > |f(13)| < |f(14)| <
…… < |f(24)| < |f(25)|
であるとわかり、f(13)=437/19293438101 が最も0に近い数とわかります。
つまり、13枚ずつ取るときが最も公平に近く、そのとき確率は、偶数の方が
437/19293438101 だけ大きい、すなわち、
偶数の確率が9646719269/19293438101 、奇数の確率が9646718832/19293438101
で、丁が有利、が答えです。
それにしても、r=13から下がっていくと途中不思議な現象が起こるのが興味深いですね。
13枚ずつだと丁が有利
12枚ずつだと半が有利
11枚ずつだと丁が有利
10枚ずつだと半が有利
9枚ずつだと丁が有利
8枚ずつだと半が有利
7枚ずつだと丁が有利
6枚ずつだと半が有利
5枚ずつだと丁が有利
4枚ずつだと半が有利 ←!?
3枚ずつだと半が有利 ←!?
2枚ずつだと丁が有利
1枚ずつだと半が有利
もちろん、22枚ずつ取る(8枚残す)と23枚ずつ取る(6枚残す)の間でも同じ現象が起きま
す。
GAI さんからのコメントです。(平成27年2月18日付け)
よくこの母関数の利用を思い付きましたね。私もカードの枚数を変化させながら、丁半の
場合の総数を調べていきましたら、微妙に丁半揃うことがなく、サイコロ丁半が古来採用さ
れていることが認識できました。
そこで、何枚なら最も接近するだろうと思って、ここはプログラムを組んで全パターンでの
強制的確率の計算一覧を作って、最も確率が接近する枚数として手に入れていました。
DD++さんの理論的攻め方は凄いです。