面積の最大値
開成高校の木部先生より伺った問題です。(平成24年2月11日付け)
平面上に下図のように相異なる4点A、B、P、Qがある。ただし、A、Bは固定された点で、
AB=a とし、P、Qは動きうる点で線分ABの同じ側にあり、PA=QB=a
とする。
また、∠PAB<π、∠QBA<π とする。
このとき、四角形PABQの面積の最大値を求めよ。
(答) 3a2/4
三角関数を用いて解いてみた。
等積変形により、ABとPQは平行であるとしても一般性は失われない。このとき、四角形
PABQは線分ABの垂直2等分線に関して対称な図形となる。
そこで、∠PAB=θとおくとき、面積が最大になるのは、π/2≦θ<πのときである。
このとき、四角形PABQの面積をSとおくと、
S=(a+a−acosθ−acosθ)・asinθ/2=a2(1−cosθ)sinθ
なので、
S’=a2(sin2θ−cos2θ+cosθ)=a2(cosθ−cos2θ)=a2sin(3/2)θsin(1/2)θ
π/2≦θ<π より、 3π/4≦(3/2)θ<(3/2)π 、π/4≦(1/2)θ<(1/2)π
このことから、sin(1/2)θ>0 で、 (3/2)θ=π すなわち、 θ=2π/3 のとき、
Sは、極大かつ最大となる。このときの最大値は、
S=a2(1−cos(2π/3))sin(2π/3)=a2・3/2・/2=3
a2/4
(※) 木部先生のお話では、上記の問題は中学1年レベルの知識で解けるとのことである。
どう解くんだろう?
興味がある方は是非挑戦してみてください。
最大値を与える場合は、下図のように、正三角形が3個並ぶ場合である。正方形の場合
でないところが面白い。
空舟さんが、上記の問題を考察されました。(平成24年2月12日付け)
PABQを180度回転させてPQの反対(図の上)側にくっつけて、六角形ABQCDPを作る。各
辺は等しく、対辺を結ぶ四角形は平行四辺形。
AB、BQ、QC、CD の中点をそれぞれ E、M、N、H とする。Qを通って、ABに平行な線を引
いて、Qから六角形の外側(図で右)の向きに長さAEの点を I とする。
このとき、
四角形ABQPの面積=六角形ABQCDPの面積/2=五角形EBQCHの面積
ここで、四角形EBIQ、QICHは平行四辺形なので、
五角形EBQCHの面積=三角形EHIの面積=三角形MNIの面積×4
QM=QN=QI=a/2 であるから、半径一定の円に内接する三角形の面積の最大を考えるこ
とに帰着された。
もちろん、正三角形の時が最大で、求める面積は、
{3・(1/2)(a/2)2sin(2π/3)}×4=3a2/4
(*) 正三角形の時に最大であることを示す良い手が思い浮かばない。正三角形以外の
時は等しくない2辺を等しくすることで、高さが増してより面積を大きくできることは分か
るから、「正三角形の時以外は最大ではない」ことなら言えるが...。
(コメント) なるほど、上記のように考えると、三角関数やら、微分を使わずに済みそうです
ね!円に内接する三角形で面積最大のものが正三角形であることは、中学受験
をする小学生は当然知っていますよね...。
空舟さんの解答が、「中学1年レベルの知識」での解答の...雰囲気。
らすかるさんからのコメントです。(平成24年2月12日付け)
円に正三角形でない△ABCが内接しているとします。また、円周の長さの1/3を
t とし、
弧AB=c、弧BC=a、弧CA=bとします。
a、b、c のうち t より小さいものは1個または2個です。
1個のとき、例えば、a<t、b>t、c≧t とします。このとき、a=c となるように頂点Bを移動
すれば、△ABCの面積は大きくなり、かつ、a、b、c のうち t より小さいものは2個になりま
す。
2個のとき、例えば、a<t、b<t、c>t として、まず、a=t となるように頂点Bを移動し、aを
増やし、cを減らすと、△ABCの面積は大きくなり、その後、b=c となるように頂点Aを移動し、
bを増やし、cを減らすと、再び△ABCの面積は大きくなりますので、正三角形でない任意の
三角形は、正三角形より面積が小さいことが言えます。
空舟さんからのコメントです。(平成24年2月14日付け)
成程、上手いです...!四角形ABCDを考えてみたら、より簡単でした。ACを固定すれば、
BDがACに直交する直径の時に最大。そのBCを固定すれば、正方形にすると最大。
ということは、楕円に内接する四角形についても、面積は伸縮変換に対応するので、伸縮
した円に内接する正方形を元の伸縮率にした四角形が最大面積を与えるということになりま
すね。
S(H)さんが上記の問題を考察されました。(平成24年2月12日付け)
面積は、適当に座標をもうけ、四角形を2つに分け足すと、
S[t1,t2]=1/2*Det[{{0, 0, 1}, {a, 0, 1}, {a*Cos[t2], a*Sin[t2], 1}}]
+ 1/2*Det[{{a, 0, 1}, {a + a*Cos[t1], 0 + a*Sin[t1], 1},
{a*Cos[t2], a*Sin[t2], 1}}]
{D[ S[t1,t2],t1], D[ S[t1,t2],t2]}={0,0} を解いて、要らない解は捨てて、
S[t1, t2] /. {t1 -> Pi/3, t2 -> (2*Pi)/3}=(3*Sqrt[3]*a^2)/4 が最大値の筈。
その形は、対称性から、想定の範囲内の通りの帰結で、これ以外考えられない。
(別解) f[x, y]=(1/4*I*a^2)/E^(I*x) - 1/4*I*a^2*E^(I*x) + 1/4*I*a^2*E^(I*x - I*y)
- 1/4*I*a^2*E^(-I*x + I*y) + (1/4*I*a^2)/E^(I*y)
- 1/4*I*a^2*E^(I*y)
として、 {D[f[x, y], x], D[f[x, y], y]}={0,0} からも得られる。
また、上記の問題で、AB=a、BQ=b、AP=c 例えば、a=5、b=7、c=3 としたらどうだろうか?
(コメント) S(H)さん、解答ありがとうございます。四角形を三角形分割し三角形の面積は
公式から、即でますね!
(追記) 当HP読者のJ.Y.さんより、中学校3年レベルでの解答をメールで頂いた。
(平成24年2月20日付け)
![]() |
左図において、3点A,B,Qを固定して考 えると、 四角形PABQ=△PAQ+△QAB で、△PAQの面積は、AQを底辺として考え れば、∠PAQ=90°の時に高さが一番高く なり、最大になります。 |
同様に、3点P,A,Bを固定して考えれば、∠PBQ=90°の時に面積が最大になります。
したがって、∠PAQ=∠PBQ=90°が成りたてば、面積は最大になりますが、このとき、
円周角の定理の逆(中2で学習)により、4点P,A,B,Qは同一円周上(円Oとします)にあ
り、さらに、PQが直径になります。
一方、PA=AB=QB(=a)より、A,Bは
半円を3等分する点になるので、△PAO、
△OAB、△QOBは、いずれも一辺がaの
正三角形になります。
したがって、求める面積は、この正三角
形3個分になります。
(コメント) なるほど、簡明な証明で感動しました。これだったら、十分中学入試レベルです
ね!J.Y.さんに感謝します。
空舟さんからのコメントです。(平成24年2月21日付け)
シンプルで良い解答ですね!