角の大きさ(13)
巷で話題になっていた問題として、なつさんからの出題です。(平成31年3月28日付け)
先日ツイッターで話題になっていた問題です。皆さんどう解かれますか…?
四角形ABCDがあり、∠ABD=18度、∠DBC=30度、∠ACB=54度、AD//BCのとき、
∠ACDを求めてください。
(答) らすかるさんが考察されました。(平成31年3月29日付け)
とりあえず解くには解きましたが、天下り的でしかも複雑なので、良い解答とは言えません。
もっと綺麗な解法があると思います。
(四角形ABCDがない状態から作図)
正五角形ACEFGの内部に△DEFが正三角 形となるように点Dをとり、Cを通りADと平行な 直線と直線DFの交点をB、Gを通りADと平行 な直線と直線DEの交点をHとします。 そして、∠AIB=30°となるようにBCのC側の 延長上に点 I をとります。 ∠BCA=∠DAC=54°なので、 ∠IAC=∠BCA-∠CIA=54°-30°=24° ∠CEA=∠EAC=(180°-108°)÷2=36°より、 ∠EAI=∠EAC-∠IAC=36°-24°=12° また、∠CED=108°-60°=48°で、DE=EF=CE なので、∠DCE=(180°-48°)÷2=66° |
また、 ∠AED=∠CED-∠CEA=48°-36°=12°
△BDHは正三角形なので、AI=BD=BH=CG=AEであり、
∠AIE=∠IEA=(180°-∠EAI)÷2=84°、∠IED=∠IEA+∠AED=84°+12°=96°
∠ACD=108°-∠DCE=42°、∠DCI=180°-∠BCA-∠ACD=180°-54°-42°=84°
∠IED+∠DCI=180°から四角形DCIEは円に内接しますので、∠DIE=∠DCE=66°
∴∠AID=∠AIE-∠DIE=84°-66°=18°
△ABD≡△DIAなので、∠ABD=∠AID=18°
従って、∠ABD=∠AID=18°、∠DBC=30°、∠ACB=54°、AD//BCなので、
四角形ABCDは問題の四角形となり、∠ACD=42°です。
(コメント) いや〜、難解ですね!
カルピスさんからのコメントです。(平成31年3月30日付け)
らすかるさん 凄いですね。私は方眼紙に正確に作図して分度器で測ってみました。
こんな幼稚な答えの出し方も「有り」かな?答えに辿り着くまでの道のりは、自由。。。
しげるさんからのコメントです。(令和元年5月6日付け)
らすかるさんの解答に拍手を送ります。少しだけ簡単に解けました。
ACとBDの交点をE、BC=a とします。∠BAC=78°で、△ABCに正弦定理を適用して、
AB=a*sin54°/sin78°=a*cos36°/cos12°
さらに、∠BAD=132°で、sin132°=sin48°なので、△ABDに正弦定理を適用して、
BD=AB*sin132°/sin30°={a*(cos36°/cos12°)}*(sin48°/sin30°)
また、∠BEC=96°で、sin96°=cos6°なので、△EBCに正弦定理を適用して
BE=a*sin54°/sin96°=a*cos36°/cos6°
このとき、BE*BD=(BC^2) を示し、△BCE∽△BDC を証明します。
BE*BD/(BC^2)
=(cos36°/cos6°)(cos36°/cos12°)(sin48°/sin30°)
=2(cos236°)sin48°/(cos6°cos12°)
=2(cos236°)(8sin6°cos6°cos12°cos24°)/(cos6°cos12°)
=16(cos236°)(sin6°cos24°)
ここで、2倍角の公式と積和の公式より、
BE*BD/(BC^2)
=16(1/2)(1+cos72°)(1/2)(sin30°-sin18°)
=2(1+sin18°)(1-2sin18°)
=2-2sin18°-4(sin218°)
=-{4(sin18°^2)+2(sin18°)-1}+1
ここで、5倍角の公式から、sin5α=16(sin5α)-20(sin3α)+5sinα が言える。
実際に、
sin5α=sin(3α+2α)
=sin3αcos2α+cos3αsin2α
=(3sinα−4sin3α)(1−2sin2α)+(4cos3α−3cosα)・2sinαcosα
=(3sinα−4sin3α)(1−2sin2α)+2sinα(4cos4α−3cos2α)
=(3sinα−4sin3α)(1−2sin2α)+2sinα(4(1−sin2α)2−3(1−sin2α))
=16(sin5α)-20(sin3α)+5sinα
そこで、α=15°として、 sin90°=16(sin518°)-20(sin318°)+5sin18°
x=sin18°とおくと、 sin90°=1 なので、 16x^5-20x^3+5x-1=0
因数分解して、 (x-1)(4x^2+2x-1)^2=0
ここで、 x≠1 なので 4x^2+2x-1=0 すなわち、 4(sin18°^2)+2(sin18°)-1=0
以上から、 BE*BD/(BC^2)=1 すなわち、 BE/BC=BC/BD となり、∠CBD共通で、
△BCE∽△BDC が言えます。
よって、∠BDC=∠BCE=54°となり θ=∠BEC-∠BDC=96°-54°=42°となります。
(コメント) 三角関数の諸公式を駆使した見事な解答ですね!感動的です。
GAI さんからのコメントです。(令和元年5月11日付け)
他の角度の問題で同じ問題が作れないか調べてみた。
(1) ∠ABD=50°、∠DBC=30°、∠ACB=40°の時、∠ACD=70°
(2) ∠ABD=90°、∠DBC=30°、∠ACB=30°の時、∠ACD=90°
(3) ∠ABD=126°、∠DBC=30°、∠ACB=18°の時、∠ACD=114°
一般に、-44≦i≦44 のとき、
∠ABD=|(45-3*i)|°、∠DBC=(45+i)°、∠ACB=(45+i)°の時、∠ACD=|(45-3*i)|°
が起こりそうです。
整数の角度で問題設定できるものは限られており、特に、∠DBC=30°の場合が冒頭の
問題と合わせて、4タイプ構成可能でした。
他は、∠DBC=54°でも、3タイプ構成可能でした。
(イ) ∠ABD=18°、∠DBC=54°、∠ACB=54°の時、∠ACD=18°
(ロ) ∠ABD=84°、∠DBC=54°、∠ACB=30°の時、∠ACD=66°
(ハ) ∠ABD=96°、∠DBC=54°、∠ACB=24°の時、∠ACD=78°
PBさんからのコメントです。(令和元年5月14日付け)
GAIさんのコメントの
一般に、-44≦i≦44 のとき、
∠ABD=|(45-3*i)|°、∠DBC=(45+i)°、∠ACB=(45+i)°の時、∠ACD=|(45-3*i)|°
についてですが、
∠DBC=∠ACB であれば、AD//BC より、∠DAC=∠DBC が成り立ち、四角形ABCD は
円に内接するので、∠ABD=∠ACD です。(さらに一般の場合で成り立ちます)
(2) ∠ABD=90°、∠DBC=30°、∠ACB=30°の時、∠ACD=90°
については、これにより成立します。その他の問題については、とりあえず
(1) ∠ABD=50°、∠DBC=30°、∠ACB=40°の時は、点Aの直線BDに関しての対称点A’
をとれば、ABA’Dは凧形で、∠ADA’=60°より、△AA’Dは正三角形となり、AA’=AD … (*)
∠ABD=∠A’BD=50°および AA’⊥BD より、∠A’BC=∠A’AC=20°であるから、
四角形ABA’Cは円に内接し、∠BCA’=∠BAA’=40°
これより、∠ACA’=∠AA’C=80° したがって AA’=AC … (**)
(*)(**)より、点Aは、△CDA’の外心であり、円周角と中心角の関係から、
∠A’DC=(1/2)∠A’AC=10°、∠DA’C=(1/2)∠DAC=20°
以上により、三角形の内角の和から、∠ACD=70° が成り立つ。
# 他の問題については、現在考え中…。解けたら送りたいと思います。
PBさんからのコメントです。(令和元年6月4日付け)
だいぶ時間がたってしまいましたが、GAIさんの問題ができました。当初の問題の、らすか
るさんの解答を参考に作りましたが、だいぶ複雑になってしまいました。
とりあえず、以下のようにして解きました。
(解) 正五角形EFGHIの内部に△PGHが正三角形となるように点Pをとる。同様に、4つの
正三角形 △QHI、△RIE、△SEF、△TFGをつくれば、PQRSTも正五角形となる。
ここで、外側の正五角形の頂点Eと小正五角形の各頂点を結ぶと、
∠TEF=66°(頂角108°−60°=48°の二等辺三角形△EFTの底角)
∠SEF=60°(△SEF は正三角形)
∠PEF=54°(正五角形の内角の1/2) および、対称性により
∠TES=∠SEP=∠PER=∠REQ=6° である。
なお、このことはEFGHIの他の頂点から、PQRSTを結んだ場合についても成り立つ。
(※) △JRQが正三角形となるように点Jを取ると、∠QEJ=6°である
*************************************
(※)の(証明) △ERSが頂角12°の二等辺三角形であるから ∠ERS=84°
∠ERQ=108°−84°=24° より ∠ERJ=24°+60°=84°
JR=RS であるから 二辺夾角相等により △ERJ≡△ERS
したがって、△ERJも頂角12°の二等辺三角形であり、EQはその対称軸
よって、∠REQ=∠QEJ=6° (証終)
*************************************
(※※) PQとSRの延長の交点をKとすると∠JEK=6°である
*************************************
(※※)の(証明) △KRQと△TQRはいずれも底角72°の二等辺三角形であり、底辺QR
が共通なので、△KRQ≡△TQR よって、KQ=QT
いま、JR=QR であるから、△KRQ と合同な △LQJをFの反対側に作図する。
QL=QT および、∠LQT=∠PQR−∠PQT−∠LQR=108°−36°−12°=60°
であるから △QLT は正三角形であり、四角形EQLTは凧形
よって、点Pは、その対称軸EL上にある。
∠EQK=∠EQL=138° KQ=LQ であるから、二辺夾角相等により △EQK≡△EQL
よって、∠QEK=∠QEL=∠QEP=12°から ∠JEK=6° (証終)
*************************************
このとき、
○EL同様、KIも二つの正五角形の共通の対称軸であり、K、J、T、I は、同一直線上にある。
○PK//EF より∠EKP=∠KEF=30°、△QKRの頂角 ∠QKR=36°より、
∠EKR=66°=∠EFR から、四角形EFKRは円に内接する。
以上を踏まえて、
(3) ∠ABD=126°、∠DBC=30°、∠ACB=18°の時、∠ACD=114°
(解答) 図において、I→A、R→B、K→C、F→D とすれば、
∠IRF=∠IRE+∠ERF=60°+66°=126°
∠KRF=∠KEF=30°(四角形EFKR は円に内接)
等により、四角形ABCDは(3)の条件を満たし、四角形EFKRが円に内接することから、
∠KFR=∠KER=18°
△IFKの内角の和から、 ∠ACD=∠IKF=114°である.
(ロ) ∠ABD=84°、∠DBC=54°、∠ACB=30°の時、∠ACD=66°
(解答) 図において、E→A、Q→B、K→C、F→D とすれば、FQが正五角形の対称軸であ
ることから、∠EFQ=54°
また、∠FEK=30° EF//QK 等により、四角形ABCDは(ロ)の条件を満たし、EFKRが
円に内接するので、∠ACD=∠EKF=∠ERF=66°である。
(ハ) ∠ABD=96°、∠DBC=54°、∠ACB=24°の時、∠ACD=78°
(解答) 図において、E→A、T→B、S→C、J→D とすれば、∠FEJ=36°=∠FEG より
Jは線分EG上にあり EJ//TS、TJが正五角形の対称軸であるから ∠JTS=54°
∠JTE=(∠JTP−∠QTP)+∠QTE=(54°−36°)+78°=96°
であること等により、四角形ABCDは(ハ)の条件を満たし、△EJSが頂角24°の二等辺
三角形であることから、∠ACD=∠ESJ=78°である。
(#) 図は一つにまとめるため、省略した線分があります。(複雑になりすぎるため…)証明
についても同様ですが、それでもかなりの長さなので、必要に応じて補足またはカット
して下さい。なお、(3)の解答は、当初のらすかるさんの図において、DEとBCの交点を
Jとして、J→A、D→B、A→C、B→D と置き換えてもできます。