・ 帯分数の復活 S.H氏
小学校で来年から使われる教科書に、「発展的記述」という立場とはいえ、台形の面積の
公式や帯分数の計算が復活する。 前回検定で削除されたものだが、遅すぎた復活である。
台形の面積の公式は、平行四辺形の面積の公式から得られるが、その求め方は、ユニ
ークであり、小学校時代に是非経験させたい柔軟な発想方法の一つだと思う。
対して、帯分数は、高校では積極的にあまり使われないが、分数を、数量的なものとして
具体的にとらえるのに適した表現方法である。
たとえば、羊羹が1本とその半分ある場合、高校では単に、「羊羹は、3/2本ある」ものと
理解するが、分数を始めて学ぶ小学生は、このような表現方法は理解できないだろう。
羊羹の半分は、1本を2個に分けたうちの1つなので、1/2本と認識 される。したがって、羊羹1本とその半分を表す量が、 |
と表現されるのは自然であり、分かりやすい。このような表現が前回削除された理由がよ
く分からない。
しかしながら、帯分数が活躍するのは小学校までである。高校では主に分数は仮分数で
表すことが多い。仮分数が用いられる理由としては、計算の簡便さがあげられるだろう。
帯分数の構造がしっかり分かっていれば計算ミスをすることもないと思うが、帯分数の構
造そのものに計算ミスを誘発する要素が含まれている。その意味で、中学校で帯分数から
仮分数への確実な移行ができるように、帯分数の計算が復活することは、歓迎すべきこと
である。