昨夜、娘から次の問題をどう解けば良いのかと訊かれました。
相異なる5つの自然数で、その中から2つを選んで積をとると、いずれの積も元の5つの
自然数の和で割り切れる。そのような5つの自然数で、なるべく小さい自然数の組を求め
なさい。
答えは何とか判り、「何となく」どうして分かったかの発想を辿ることはしたのですが、どう
にも上手く(数学的に)説明できません。
(花粉症のせいにして誤魔化す「酸っぱいブドウ作戦」を決行)
念のため、その答えが正しいことは総当たりのプログラムを組んで確認済みです。どのよ
うに考えれば良いでしょう。お助け下さい。
らすかるさんからのコメントです。(平成30年3月11日付け)
5数の合計をSとする。Sがp^(2k-1)で割り切れ、p^(2k)で割り切れないと仮定する。ただし、
pは素数、kは自然数。
5数のうち2数がp^kで割り切れないとすると、その2数の積がp^(2k-1)で割り切れなくなり、
仮定に反するので、5数のうち少なくとも4数はp^kで割り切れる。
すると、5数の合計であるSもp^kで割り切れるので、5数すべてがp^kで割り切れる。
このとき、5数すべてをpで割ったものも解になるので、最小性に反し矛盾。
よって、素因数分解した時に素数の奇数乗が出てくることはないので、Sは平方数。
Sがp^(2k)で割り切れ、p^(2k+1)で割り切れないとき、上と同様に、5数すべてがp^kで割り
切れる。
よって、5数はすべて√Sで割り切れる。
5数が相異なることから、S≧√S+2√S+3√S+4√S+5√S=15√S となるので、
√S≧15
従って、最小の5数は、15、30、45、60、75 で、合計は、15^2=225
(コメント) なるほど、 1+2+3+4+5=15 がポイントなんですかね?
あとは、両辺を15倍して、 15+30+45+60+75=225 となり、5数のうち
選んだ2数の積は必ず225の倍数になる訳ですね。
moonlight さんからのコメントです。(平成30年3月12日付け)
らすかるさん、早速ありがとうございます。未だ詳しく見ていませんが、中一なのでまだル
ートは...。それにしても素数の累乗を何故考えるのだろう。面白そう。
DD++さんからのコメントです。(平成30年3月12日付け)
らすかるさんの解答において、平方根はあまり本質的なところではないので、こんな流れ
で一緒にうまく噛み砕きながら説明すればいいと思います。
いきなり5つの数でやるのが難しければ、3つの数で同じことをしても本質はつかめると思
います。また、最大公約数、文字式、素因数分解、は現行課程では小学校または中1で習う
はずですので、以下の方法で「習っていないから無理」という点は多分ないはず……いや、
背理法がちょっと怪しいかも?
5つの数の最大公約数をGとします。5つの数は、AG, BG, CG, DG, EGと書けることになり
ます。
これらのどの2つを掛けても (A+B+C+D+E)G で割り切れることになりますが、これは両方
にGがいますので、A,B,C,D,E のうち2つをかけて、さらにGをかけたものは A+B+C+D+E で
割り切れる、と言い換えられます。
さて、A+B+C+D+E の素因数の1つを P とし、A,B,C,D,E のうちいくつが P の倍数になって
いるか考えてみます。
まず、5つとも割り切れることはありえません。なぜなら、AG, BG, CG, DG, EG の最大公約
数は G であるはずなのに、全部がそれより大きい PG の倍数になってしまうからです。
そして、4つが割り切れることもありえません。なぜなら、A+B+C+D+E は P の倍数で、そこ
から4つある P の倍数を引いていくと、残った1つも P の倍数ということになってしまうからで
す。
ということは、A,B,C,D,E のうち P の倍数になっているものは多くとも3つ。言い換えれば、P
の倍数ではないものが少なくとも2つあるとわかります。
これを踏まえて元の問題に戻ります。
A,B,C,D,E のうち2つをかけてさらにGをかけたものは A+B+C+D+E で割り切れる、という話
でした。
ところがいま、A+B+C+D+E の素因数 P について、A,B,C,D,E のうち2つ以上 P の倍数でな
いものがあるのでした。
それら2つをかけたものでさえも、G をかければ A+B+C+D+E で割り切れる、すなわち、P
の倍数になるというのですから、これは G が P の倍数であるという場合しかありえません。
さらに、A+B+C+D+E を素因数分解したときに P が複数出てくるなら G も同じ個数以上素
因数にもってなくてはいけませんし、どの素因数についてもこれが言えるのですから、つまり
G はまるごと A+B+C+D+E の倍数ということになります。
ということで、最小を目指すなら、A,B,C,D,E を 1,2,3,4,5 にして、G はその合計15の倍数で
最も小さな15にすればよく、答えは 15,30,45,60,75 になります。
moonlight さんからのコメントです。(平成30年3月12日付け)
DD++さん、大変丁寧にありがとうございます。仰る通りで、平方根は本質的ではありませ
んよね。ネタとして面白いので少し丁寧に書き直してみてなるほどねと思ったところです。
この問題は割と一般的なのでしょうか。
(解いたことがあるのかもしれないけれど記憶にない...)
覚えるようなものでもないとは思いますが、なかなか面白い問題でした。