・使い捨て超精密天秤    ハンニバル・フォーチュン 氏

 使い捨ての超精密上皿天秤をあなたは5台持っています。超精密上皿天秤は極めて精巧
なため、右の皿と左の皿にわずかでも異なるものを置いて量ると、必ず傾いてどちらが重い
かを示してくれます。

 超精密上皿天秤は、その精密さを実現するための交換条件として1回でも使うと壊れてし
まい、次回からは、重さの計測に使うと不確かな結果を示します。使い捨てと言われる所以
です。不確かな結果なので、左右の皿の傾きが本当なのかもしれませんし、嘘なのかもしれ
ません。重さが異なるのに釣り合ったフリをするかもしれませんし、重さが等しいのに片方が
重いという結果を示すかもしれません。

 以前、5台あるそのうち1台をあなたは興味津々のあまり遊びで使いました。そして壊れて
しまいました。もはや重さについて不確かな計測結果しか示さないポンコツになりました。さら
に残念なことに、あなたは、どの一台をポンコツにしたのかについて、綺麗さっぱり忘れてし
まいました。記録も残っていません。(事態は複雑?ですが)

 ある日、あなたは知人から高額の成功報酬の提供を提案されました。成功報酬を得るた
めの知人からの課題は次のようなものでした。

 知人所有の5枚の記念メダルがあります。泥棒からの犯行予告声明または脅迫状によれ
ば、5枚のうち0枚または1枚または2枚が泥棒によって偽物に差し換えられた恐れがあり
ます。(*0枚*は、差し替えられていないという意味です。)

 泥棒が用意した偽物がもしも1枚ならば、それは本物に比べてわずかに軽いものでした。

 泥棒が用意した偽物がもしも2枚ならば、それは本物に比べてわずかに軽いものですし、
2枚の偽物のメダルの重さは互いに相等しいとわかっています。
(泥棒はこのことに嘘偽りはないと犯行予告で言いました。)

 知人からの依頼はこうです。

 あなたの持っている5台の使い捨て超精密上皿天秤を使い、偽物のメダルを特定し
てもらいたい


というものです。(しかし、1台は壊れていてどれが壊れているかは失念しています。)

 あなたが確実に偽メダルを識別できる方法はありますか?


 DD++さんからのコメントです。(平成30年2月2日付け)

 挑戦中ですが、「犯人は何もしていなくて、1回目にポンコツ天秤を使うんだけど、偶然釣り
合ってしまった」というパターンの切り分けがかなり厄介ですね、これ。


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年2月2日付け)

 DD++さん、取り組んで頂きまして有り難うございます。天秤がマトモだとしても厄介だと思わ
れることが…、

・偽物が左の皿に1枚、右の皿に1枚乗ってしまって釣り合うケースと、偽物が皿に乗ってい
 なくて釣り合うケースとの分別が、つきづらい(他の計量結果との兼ね合いで決まってくる)

 また、ポンコツがどの天秤なのかわからない為に、

・前回までの計測結果を元に偽物の在処を絞り込み、今回の計測を適切に設計する…こと
 が極めて困難
・偽メダルとポンコツ天秤とは、ほぼ同時につきとめられる(例外もある?)

等々、普通の偽物探し天秤パズルとは、かなり様相が異なってきていますね。

 きちんと解けますので、ご安心を。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 絶対もっと綺麗な方法あるだろうなあ、と思いつつ解答。27パターン(対称性で実質18パタ
ーン)は多すぎる……。

 メダルを、ABCDE、天秤を、αβγδεとします。また、以下で「ポンコツ未使用」とは、「ま
だポンコツ天秤を使用していないか、実は使用しているが偶然正しい結果を示していた」を意
味するものとします。

 まず、AB-(α)-CD、BC-(β)-DE、AE-(γ)-BD で載せます。結果はもちろん27通りあり、
それぞれδとεの使い方を考えます。

[01] 全て釣り合った

 「偽物なしポンコツ未使用」「BE偽物でαポンコツ」「AD偽物でβポンコツ」「BD偽物でγポ
ンコツ」のいずれか。A-(δ)-B、D-(ε)-E で、片方でも釣り合えば偽物なし、両方傾けば、そ
れぞれで上がった皿に乗っていた2枚が偽物。

[02] αだけ左が下がった(05と対)

 「偽物なしかBEが偽物でαポンコツ」「CのみかDEが偽物でβポンコツ」「CDかCEが偽物
でγポンコツ」。δとεは信頼でき、C-(δ)-D、D-(ε)-E で6パターンを普通に判別可能。

[03] αだけ右が下がった(04と対)

 「BEが偽物でポンコツ未使用」「偽物なしでαポンコツ」「ABが偽物でβポンコツ」「Aのみ偽
物でγポンコツ」。A-(δ)-E、AC-(ε)-BE で、片方でも左が下がればBEが偽物、両方釣り合
えば偽物なし、両方右が下がればAのみ偽物、δは右が下がってεは釣り合えばABが偽物。

[04] βだけ左が下がった(03と対)

 「ADが偽物でポンコツ未使用」「DEが偽物でαポンコツ」「偽物なしでβポンコツ」「Eのみ偽
物でγポンコツ」。A-(δ)-E、AD-(ε)-CE で、片方でも右が下がればADが偽物、両方釣り合
えば偽物なし、両方左が下がればEのみ偽物、δは左が下がってεは釣り合えばDEが偽物。

[05] βだけ右が下がった(02と対)

 「CのみかABが偽物でαポンコツ」「偽物なしかADが偽物でβポンコツ」「ACかBCが偽物
でγポンコツ」。δとεは信頼でき、A-(δ)-B、B-(ε)-C で6パターンを普通に判別可能。

[06] γだけ左が下がった

 「BDが偽物でポンコツ未使用」「CDが偽物でαポンコツ」「BCが偽物でβポンコツ」「偽物な
しでγポンコツ」。B-(δ)-C、D-(ε)-C で、片方でも右が下がればBDが偽物、両方釣り合え
ば偽物なし、片方釣り合って片方左が下がれば釣り合ったときに載せた2枚が偽物。

[07] γだけ右が下がった

 「AのみかCEが偽物でαポンコツ」「ACかEのみが偽物でβポンコツ」「偽物なしかBDが偽
物でγポンコツ」。δとεは信頼でき、A-(δ)-E、B-(ε)-C で6パターンを普通に判別可能。

[08] αとβは左が下がり、γは釣り合い(11と対)

 「DEが偽物でポンコツ未使用」「ADが偽物でαポンコツ」「Cのみ偽物でβポンコツ」「Dのみ
偽物でγポンコツ」。A-(δ)-E、C-(ε)-E で、片方でも左が下がればDEが偽物、両方釣り合
えばDのみ偽物、δは釣り合ってεは右が下がればCのみ偽物、δは右が下がってεは釣り
合えばADが偽物。

[09] αは左、βは右が下がり、γは釣り合い

 「Cのみ偽物でポンコツ未使用」「ABが偽物でαポンコツ」「DEが偽物でβポンコツ」。
A-(δ)-D、B-(ε)-E で、片方でも釣り合えばCのみ偽物、両方傾けばそれぞれで上がった
皿に乗っていた2枚が偽物。

[10] αは右、βは左が下がり、γは釣り合い

 「ADかDEが偽物でαポンコツ」「ABかBEが偽物でβポンコツ」「AEが偽物でγポンコツ」。
δとεは信頼でき、A-(δ)-E、B-(ε)-D で5パターンを普通に判別可能。

[11] αとβは右が下がり、γは釣り合い (08と対)

 「ABが偽物でポンコツ未使用」「Cのみ偽物でαポンコツ」「BEが偽物でβポンコツ」「Bのみ
偽物でγポンコツ」。A-(δ)-C、A-(ε)-E で、片方でも右が下がればABが偽物、両方釣り合
えばBのみ偽物、δは釣り合ってεは左がが下がればBEが偽物、δは左が下がってεは釣
り合えばCのみ偽物。

[12] αとγは左が下がり、βは釣り合い(18と対)

 「CDが偽物でポンコツ未使用」「BDが偽物でαポンコツ」「Dのみ偽物でβポンコツ」「CEが
偽物でγポンコツ」。C-(δ)-D、AC-(ε)-BE で、δが釣り合うかεが右が下がればCDが偽
物、δは左が下がりεは釣り合えばDのみ偽物、両方左が下がればBDが偽物、δは右が下
がってεは釣り合えばCEが偽物。

[13] αは左、γは右が下がり、βは釣り合い(19と対)

 「CEが偽物でポンコツ未使用」「Aのみ偽物でαポンコツ」「CDが偽物でγポンコツ」。
A-(δ)-D、A-(ε)-D で、片方でも釣り合えばCEが偽物、両方左が下がればCDが偽物、両
方右が下がればAのみ偽物。

[14] αは右、γは左が下がり、βは釣り合い(16と対)

 「BDかCDが偽物でαポンコツ」「Bのみ偽物でβポンコツ」「AのみかBEが偽物でγポンコツ」
δとεは信頼でき、A-(δ)-E、B-(ε)-D で5パターンを普通に判別可能。

[15] αとγは右が下がり、βは釣り合い(17と対)

 「Aのみ偽物でポンコツ未使用」「CEが偽物でαポンコツ」「AEが偽物でβポンコツ」「BEが
偽物でγポンコツ」。AB-(δ)-CE、AC-(ε)-BE で、片方でも右が下がればAのみ偽物、両方
釣り合えばAEが偽物、δは釣り合ってεは左が下がればBEが偽物、δは左が下がってεは
釣り合えばCEが偽物。

[16] βとγは左が下がり、αは釣り合い(14と対)

 「Dのみ偽物でαポンコツ」「BCかBDが偽物でβポンコツ」「ADかEのみが偽物でγポンコツ」。
δとεは信頼でき、A-(δ)-E、B-(ε)-D で5パターンを普通に判別可能。

[17] βは左、γは右が下がり、αは釣り合い(15と対)

 「Eのみ偽物でポンコツ未使用」「AEが偽物でαポンコツ」「ACが偽物でβポンコツ」「ADが
偽物でγポンコツ」。AC-(δ)-DE、AD-(ε)-CE で、片方でも左が下がればEのみ偽物、両方
釣り合えばAEが偽物、δは釣り合ってεは右が下がればADが偽物、δは右が下がってε
は釣り合えばACが偽物。

[18] βは右、γは左が下がり、αは釣り合い(12と対)

 「BCが偽物でポンコツ未使用」「Bのみ偽物でαポンコツ」「BDが偽物でβポンコツ」「ACが
偽物でγポンコツ」。B-(δ)-C、AD-(ε)-CE で、δが釣り合うかεが左が下がればBCが偽
物、δは右が下がりεは釣り合えばBのみ偽物、両方右が下がればBDが偽物、δは左が下
がってεは釣り合えばACが偽物。

[19] βとγは右が下がり、αは釣り合い(13と対)

 「ACが偽物でポンコツ未使用」「Eのみ偽物でβポンコツ」「BCが偽物でγポンコツ」。
B-(δ)-E、B-(ε)-E で、片方でも釣り合えばACが偽物、両方左が下がればEのみ偽物、両
方右が下がればBCが偽物。

[20] 全て左が下がった(23と対)

 「Dのみ偽物でポンコツ未使用」「CDが偽物でβポンコツ」「DEが偽物でγポンコツ」。
C-(δ)-E、C-(ε)-E で、片方でも釣り合えばDのみ偽物、両方左が下がればDEが偽物、両
方右が下がればCDが偽物。

[21] αは右、βとγは左が下がった

 「Dのみ偽物でαポンコツ」「Bのみ偽物でβポンコツ」「AEが偽物でγポンコツ」。
δは信頼でき、B-(δ)-D で3パターンを普通に判別可能。

[22] αとγは左、βは右が下がった

 「BのみかBC偽物でαポンコツ」「CDかDのみが偽物でβポンコツ」「Cのみ偽物でγポンコ
ツ」。δとεは信頼でき、A-(δ)-C、B-(ε)-D で5パターンを普通に判別可能。

[23] αとβは右、γは左が下がった(20と対)

 「Bのみ偽物でポンコツ未使用」「BCが偽物でαポンコツ」「ABが偽物でγポンコツ」。
A-(δ)-C、A-(ε)-C で、片方でも釣り合えばBのみ偽物、両方左が下がればBCが偽物、両
方右が下がればABが偽物。

[24] αとβは左、γは右が下がった(27と対)

 「AEかEのみが偽物でαポンコツ」「CEが偽物でβポンコツ」「DのみかDEが偽物でγポン
コツ」。δとεは信頼でき、A-(δ)-C、D-(ε)-E で5パターンを普通に判別可能。

[25] αとγは右、βは左が下がった

 「AEが偽物でポンコツ未使用」「Eのみ偽物でαポンコツ」「Aのみ偽物でβポンコツ」。
A-(δ)-E、A-(ε)-E で、片方でも釣り合えばAEが偽物、両方左が下がればEのみ偽物、両
方右が下がればAのみ偽物。

[26] αは左、βとγは右が下がった

 「ACが偽物でαポンコツ」「CEが偽物でβポンコツ」「Cのみ偽物でγポンコツ」。
δは信頼でき、A-(δ)-E で3パターンを普通に判別可能。

[27] 全て右が下がった(24と対)

 「ACが偽物でαポンコツ」「AのみかAEが偽物でβポンコツ」「ABかBのみが偽物でγポン
コツ」。δとεは信頼でき、A-(δ)-B、C-(ε)-E で5パターンを普通に判別可能。


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 メダルを a、b、c、d、e として、1台目 ab:cd、2台目 ac:be、3台目 ae:bd、4台目 ad:ce、
5台目 bc:de の比較をします。それぞれの結果を「<」か「=」か「>」として順に5文字を並べて
「=」が4個以上のとき偽物なし、そうでないとき以下のように偽物が決定。

<<<<<:a, <<<<=:a, <<<<>:a, <<<=<:ac, <<<==:a, <<<=>:ae, <<<>=:a, <<=<<:ab, <<=<=:a, <<=<>:ad,
<< =><:c, <<=>=:be, <<><=:a, <<>=<:b, <<>==:cd, <=<<<:ab, <=<<=:a, <=<<>:ae, <=<=<:ae,
<=<==:ae, < =<=>:ae, <=<>=:ce, <=<>>:ae, <==<<:ab, <==<=:ab, <==<>:ab, <===<:ab, <===>:ae,
<==><:ab, <==>=:be, < =><<:ab, <=><>:d, <=>=<:b, <=>=>:ae, <=>><:bc, <><<=:a, <><=<:b,
<><=>:ae, <><>=:be, <><>>:e, <> =<<:ab, <>=<=:be, <>==<:b, <>===:be, <>==>:de, <>=><:be,
<>=>=:be, <>=>>:be, <>><<:b, <>><=:bd, <>> =<:b, <>>==:b, <>>=>:b, <>>><:b, <>>>=:be,
=<<<<:ac, =<<<=:a, =<<<>:ad, =<<=<:ac, =<<==:ac, =<<=>:ac, =<<><:ac, =<<>>:e, =<=<<:ad,
=<=<=:ad, =<=<>:ad, =<==<:ac, =<==>:ad, =<=><:c, =<=>>:ad, =<><=:bd, =<><>:ad, =<>=<:ac,
=<>==:cd, =<>><:bc, ==<=<:ac, ==<=>:ae, ==<><:bc, ==<>=:ce, ==<>>:e, ===<<:ab, ===<>:ad,
===><:bc, ==><<:bc, ==><=:bd, ==><>:d, ==>=<:bc, ==>><:bc, ==>>=:bc, ==>>>:bc, =><<=:bd,
=><<>:e, =><=<:ac, =><=>:e, =><><:e, =><>=:e, =><>>:e, =>=<=:bd, =>=<>:ad, =>==>:de,
=>=>=:be, =>=>>:e, =>><<:bd, =>><=:bd, =>><>:bd, =>>=<:b, =>>==:bd, =>>><:bc, =>>>=:bd,
=>>>>:e, ><<< =:a, ><<=<:ac, ><<==:cd, ><<><:c, ><<>=:ce, ><=<<:c, ><=<>:ad, ><==<:c,
><===:cd, ><==>:de, >< =><:c, ><=>=:c, ><=>>:c, ><><=:cd, ><><>:d, ><>=<:cd, ><>==:cd,
><>=>:cd, ><>><:c, ><>>=:cd, > =<<=:ce, >=<<>:d, >=<==:ce, >=<=>:ae, >=<><:ce, >=<>=:ce,
>=<>>:ce, >==<<:ab, >==<>:d, >===>:de, > ==><:c, >==>=:ce, >=><<:d, >=><=:d, >=><>:d,
>=>==:cd, >=>=>:d, >=>><:bc, >=>>=:ce, >=>>>:d, >>< =>:de, >><>=:ce, >><>>:e, >>=<>:de,
>>==<:de, >>===:de, >>==>:de, >>=><:c, >>=>=:be, >>=>>:de, >>>< =:bd, >>><>:d, >>>=<:b,
>>>==:cd, >>>=>:de

 ポンコツがない時の結果は、

偽物なし: ===== 、a: <<<<= 、b: <>>=< 、c: ><=>< 、d: >=><> 、e: =><>> 、ab: <==<<
ac: =<<=< 、ad: =<=<> 、ae: <=<=> 、bc: ==>>< 、bd: =>><= 、be: <>=>= 、cd: ><>==
ce: >=<>= 、de: >>==>

なので、これと異なる箇所があればそれがポンコツ、異なる箇所がなければもちろんどれが
ポンコツだったかはわかりません。

 上記のように比較すると、「ポンコツがない時の結果」の5文字中、どの2文字を変更しても
他の文字列と一致することがないため、必ず一意的に決まります。

 上の方に書いた165通りの対応は、「ポンコツがない時の結果」の5文字中1文字を「<」「=」
「>」に変えたものをすべて(11通りずつ)作って、「<」「=」「>」の順にソートしたものです。
(偽物なしを除く)

# 165通りの対応表がなくても、「ポンコツがない時の結果」と比較して一致するもの、もしくは
一文字違いのものを探せば偽物はわかるわけですが、確実に一意的に決まることの確認の
ために165通りの文字列を作りました。

# DD++さんの解法のように細かく場合分けして考えるほどの気力はなかったため、もしこの
 安易な方法で一意的に決まらなかった場合は諦めてました。


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 らすかるさん、丁寧な分析とその御解説を有り難うございます。無論、正答と存じます。

 ところで、

 メダルを a、b、c、d、e として、1台目 ab:cd、2台目 ac:be、3台目 ae:bd、4台目 ad:ce、
5台目 bc:de の比較をします。


の部分を、本質を変えずに少しづつ変形させてください。

●オリジナル

1台目 ab:cd、2台目 ac:be、3台目 ae:bd、4台目 ad:ce、5台目 bc:de

●第一段階・・・1台目と2台目とで左右の皿の位置付けを反転します。次のようになります。

1台目 cd:ab、2台目 be:ac、3台目 ae:bd、4台目 ad:ce、5台目 bc:de

●第2段階・・・3台目を2台目とし、5台目を3台目とし、2台目を5台目とします。

1台目 cd:ab、2台目 ae:bd、3台目 bc:de、4台目 ad:ce、5台目 be:ac

●第3段階・・・名前をつけかえます。e⇒A、c⇒B、a⇒C、b⇒D、d⇒E

1台目 BE:CD、2台目 CA:DE、3台目 DB:EA、4台目 CE:BA、5台目 DA:CB

●第4段階・・・最終微調整。4台目、5台目で記述順を変える。

1台目 BE:CD、2台目 CA:DE、3台目 DB:EA、4台目 EC:AB、5台目 AD:BC

 ここまでで、一般性を失わずに、計測方法がサイクリックに5回対称であることが見てとれ
るようになります。…いえ、本質的には全然なにも変わらないのですけれども。

(1)左右の皿に乗せるメダルを交換する。
(2)〜台目を入れ換えする。
(3)名前をつけかえる、いれかえる、もしくはソート順を人為的に変更する。

 以上の3つの操作を行っても構わないことにご留意ください。以後これを【特定入れ換え
操作と(こちらの掲示板で)呼称させてください。らすかるさんによる分析は、普遍性が高い
ものと思います。

 良く似たやり方を私は用意していました。詳細はできるだけ省かせて頂くこととし、略解を
提示させてください。

■ポンコツがない場合をまっさきに考える

 偽物の在処として考えられるのは以下の場合で全てです。

α:偽物無し(1通り)、β:偽物1枚(5通り)、γ:偽物2枚(10通り)、Ω:上記全部(16通り)

 Ωの16通りについて、

  1台目 BE:CD、2台目 CA:DE、3台目 DB:EA、4台目 EC:AB、5台目 AD:BC

の計測結果がどうなるのかの【一覧表】をつくります。5回対称なのでみやすいものを作れま
す。さて、ここで確認しておきます。

 1台目から5台目までの計測結果をまとめ、Ωの16通りのうち、任意の2通りについて互い
に比べると、必ず、3台分以上で計測結果が異なっています。
(5項目のうち似ていない項目が3以上もあります)

 【一覧表】を使うにあたり、これがとても大事で便利です。これを【一覧表の特性】と呼んで
おきます。

■ポンコツがたまたま真の計測結果をだすとき・・・【一覧表】から偽物の在処が決定できます。

■ポンコツがたまたま偽の計測結果をだすとき

1台目から5台目までの計測結果をまとめて、【一覧表】に引き当てます。【一覧表】にそのま
ま乗っていることはありません。

 ポンコツが1台のため、必ず5項目のうち1箇所だけ食い違ったものがみつかるわけです。
(5項目のうち1箇所だけ食い違ったものが唯一みつかるかどうかも大事な視点です。)

 1箇所だけ食い違ったものが【一覧表】に2つみつかると、偽物メダルが決定できません。
ところが、この心配は不要です。なぜならば、既に確認した通りに、【一覧表の特性】により、
一覧表には(互いに5項目のうち似ていない項目が3以上もある)ので、1箇所だけ食い違っ
たものが【一覧表】に2つみつかることがないのです。

# らすかるさんによる地道な展開には頭が下がります。当方の略解をどうぞお許しください。
 別の略解もありますのでそちらもご覧ください。


 りらひいさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 パソコンをあさったところ、私は以前に、この問題と同等の問題を検討していたっぽいです。
断定できないのは、そのときに使ったエクセルファイルに残っていたのが記号と数字だけで、
日本語による説明が一切なかったからです。なので、本当に同じ問題であって、本当に解答
となっているのかわかりませんが、一応そのときのメモにあったものを書き込みます。

 メダルを A、B、C、D、E とする。各天秤を一回ずつ使い、以下のように載せる。

 左:C、D  右:E、B
 左:D、E  右:A、C
 左:E、A  右:B、D
 左:A、B  右:C、E
 左:B、C  右:D、A

 これで偽物メダルは必ず特定できる。もともとポンコツだった天秤が正しい結果を出してい
た場合は使用済みだった天秤を特定できないが、ポンコツ天秤が嘘の結果を出していたら
以前に遊びで使った天秤を特定できる。

 私の記憶だと、どこかでこの問題を見て考えた気がします。とりあえず、ここにあったけど、
わたしのエクセルファイルの更新日がサイトの出題日より前だから、さらに別のところで見か
けたのでしょう。


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 りらひいさん、コメントを有り難うございます。そして、正解です。りらひいさんが見られた問
題は、私が火元です。 いまだに私のなかで燻っていましたので、この場でもご教示を頂ける
かもしれないと思いました。実際に、DD++ さんから、新しい視点からの解法を頂きまして感
激しております。有りがたいことです。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 あ〜、なるほど、やっと数学的背景がわかりました。つまり、こういうことですね。
(らすかるさんの解答に通じる部分もありますが)

 正五角形ABCDEの頂点を、以下のように塗ることを考えます。

・赤、青、黄の3色を使う
・どの色も1回以上使う
・線対称に塗る

 このような塗り方は、対称軸の決め方が5通り、色の選択が6通りなので、全部で30通りあ
ります。

 この30通りの塗り方をグラフの"頂点"とし、高々2頂点を塗り替えることでお互いになるよ
うなもの同士を"辺"で結びます。
(" "でくくったのはグラフ理論の方の用語です。くくってないのが幾何学の方の用語です。
紛らわしいですが)

 すると、「赤が1つでその両隣に青、青が1つでその両隣に黄、黄が1つでその両隣が赤」の
15個と「赤が1つでその両隣に黄、黄が1つでその両隣に青、青が1つでその両隣が赤」の15
個とで分かれる二部グラフになります。
(実際に2頂点の配色をやり直して異なる左右対称形にしようとしてみれば納得できます)

 今、正五角形の頂点を適当に「赤」「青」「黄」で塗った(3色とも使っているかはわからない
し線対称とも限らない)ものがあるとします。

 これを高々1頂点だけ塗り替えて先に考えた30個のどれかにしようと試みます。不可能な
場合、ただ1つだけ可能な場合、複数可能な場合、とありますが、複数可能な場合はその解
同士が高々2頂点塗り替えればお互いになるので、解を表す"頂点"同士が"辺"で結ばれて
いることになります。

 30個の"頂点"は二部グラフになっているわけですから、これはつまり複数解があっても高々
2解で、しかも2解あるときは二部グラフの片方ずつに1解ずつということを意味します。

 さて、重いメダルと軽いメダルの2種類が合わせて5枚あるとして、それを正五角形の頂点
に並べると、軽重のパターンは 2^5=32 通りあります。全て重さが同じものというのを除けば
30通りですね。

 これに対し、「ある辺の両端2枚 対 それに平行な対角線の両端2枚 で重さを比べ、結果を
残った頂点に書く」ことを各辺に対して行います。

 ただし、「釣り合った」「辺の方が長かった」「対角線の方が長かった」を「赤」「青」「黄」と任
意に対応させます。

 仮に5回とも正しい天秤で実行したとすると、できる30個の正五角形が、先に考えていた30
個の正五角形と綺麗に対応します。しかも、二部グラフとして「重いメダルの方が多い」15個
と「軽いメダルの方が多い」15個とで分かれることになります。

 で、1つポンコツ天秤が紛れている状態でこれをやった場合を考えます。

 とりあえず、4回以上釣り合ったら全部同じ重さということで解決。

 釣り合ったのが3回以下なら、3色とも使っているかはわからないし線対称とも限らない五
角形ができ、高々1つ塗り替えれば本来の状況を表す30個の正五角形のいずれかになる
という状況です。

 これは先ほど高々2解しかないことを確認しました。しかも、2解あるときは二部グラフの片
方ずつに1解ずつということになりますから、重いメダルの方が多い解と軽いメダルの方が多
い解が1つずつです。

 今回は軽い偽物メダルは2枚までで重い本物メダルの方が多いのですから、そちらの解を
選べばそれが本来できるはずの正五角形で、あとは遡ってどのメダルがどの重さと想定して
作ったグラフか確認すれば、偽メダルが発見できます。

 数学的にはこっちの方が綺麗ですが、現実にこんな状況になったら私が最初に書いた手
順(あるいはさらに改良した手順)でやるでしょうね。

 5台のうち1台がポンコツでない保証付きかつ未使用の状態で手元に残るパターンがちら
ほらあるので。


ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 DD++さん、御回答には大変に感銘をうけました。二部グラフや彩色が出てくるとは思っても
みませんでした。まだ咀嚼中です。

 さて、もうひとつ幾何学的な解釈ができる解法があります。実はらすかるさん宛てに書いた
解法よりも先にこちらを思い付きました。

 1台目 BE:CD、2台目 CA:DE、3台目 DB:EA、4台目 EC:AB、5台目 AD:BC

で計測するのですが……、実は次のことが言えます。

【ポンコツがなければ】

 1台目 BE:CD、2台目 CA:DE、3台目 DB:EA、4台目 EC:AB、5台目 AD:BC

のうち、任意の3台の計測結果を知るだけで、偽物の在処が特定できます。

 既に、らすかるさん宛ての投稿でも触れたのですが、【特定入れ換え】操作を援用すること
で、上記の結論が得られます。

 1台目 BE:CD、2台目 CA:DE、3台目 DB:EA

で偽物が決定できることを確認したのちに、

(1)左右の皿に乗せるメダルを交換する。
(2)〜台目を入れ換えする。
(3)名前をつけかえる、いれかえる、などを行えば、他の任意の3台による計測と等価だと
  わかります。

 5回の計測そのもの(…計測の結果ではなく計測作業そのものです…)を四次元空間の5
点 v,w,x,y,z とします。また5点は、正5胞体の頂点とみなします。正5胞体の面(それは正三
角形です)は、10面あります。各面は3頂点で決まりますね。

 3つの頂点=計測を行えば、その結果、偽物が確定できますから、その結論を面(正三角
形)に書き込んでみましょう。10面すべてにこの操作を行います。

 さて、ポンコツが1台あるのでした。そのせいで信頼できなくなった「偽物の在処」は、ポン
コツな頂点が関わる、6枚の面(正三角形)に書かれています。一方、正しい結果は4枚の面
に書かれています。

 6対4の多数決では正しい結果が得られないのですが…、実はみやぶる秘訣があります。

 正しい結果が書かれた4枚の正三角形は、ひとつの正四面体の構成要素なのです。がっ
つり1ヶ所でスクラムを組んでいるわけです。互いが互いの正当性を支えあっているというわ
けです。

 この正四面体は、正五胞体のうちの1つの胞です。残りの4つの胞にはポンコツ頂点が関
わっていますが、ポンコツな天秤がどのように嘘をたくみにつけたとしても、ポンコツが関わる
胞=正四面体の各面が一致して偽物の在処を示すことはありません。なんとならば、ポンコ
ツが関わる胞の、4面ある正三角形のうち、ひとつの正三角形は頂点にポンコツを含みませ
んから、その面が示す偽物の在処は真実だからです。

 各面に真実が嘘かの二色で色塗りをするとわかりやすいかもです。


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 数学的にはこっちの方が綺麗ですが、現実にこんな状況になったら私が最初に書いた手
順(あるいはさらに改良した手順)でやるでしょうね。

 5台のうち1台がポンコツでない保証付きかつ未使用の状態で手元に残るパターンがちら
ほらあるので。


 私が書いた解でも、「4台目」まででそのようになるパターンがありますが、確率はどうでしょ
うね。もしかして同じ?私が書いた解では(ポンコツの「<」「=」「>」確率がそれぞれ1/3として)、
もし偽物確率が16パターンそれぞれで1/16とするならば1/20、偽物0枚、1枚、2枚の確率が
1/3ずつで1枚、2枚の場合のそれぞれの確率は1/15と1/30とするならば8/225の確率で、そ
のようになります。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

  確率はどうでしょうね。3つ目までにポンコツを使ったことが確定する状況が11個あり、判別
すべき状況数が、[02][05][07]は6つ、[10][14][16][22][24][27]は5通り、[21][26]は3通り、δの
載せ方を変えて、6つなら3,2,1に、5つなら3,1,1に、3つなら1,1,1に状況が分かれるようにします。

 本当に11個全部そうできるかチェックはしていませんが、もしできるとすればεが残る確率
は各1/16の方では(1/16)*(1/5)*(1/3)*(1*3+2*6+3*2) = 7/80で、1/3,1/15,1/30の方はちょっ
と計算したくありませんが、起こる確率が高いものを優先的に狙って判別できるので、たぶん
7/80よりは上がると思います。

 ちゃんとやってみました。

[02] AC-(δ)-DE で Cのみ なら判別可能
[05] AB-(δ)-CE で Cのみ なら判別可能
[07] AC-(δ)-BD で BD なら判別可能
[10] AD-(δ)-BC で ABかBE なら判別可能
[14] A-(δ)-B で AのみかCD なら判別可能
[16] D-(δ)-E で BCかEのみ なら判別可能
[22] AB-(δ)-CD で BのみかBC なら判別可能
[24] D-(δ)-E で DのみかDE なら判別可能
[27] A-(δ)-B で ABかBのみ なら判別可能
[21] [27] は手順で示した通り

ということで 7/80 は合っているようです。1/3,1/15,1/30 の方は [02][05][07] で偽物なしを一
発で絞れないようなので、7/80 より下がりますね。{(1/15)*9+(1/30)*12}*(1/5)*(1/3) = 1/15
だそうで。


らすかるさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 DD++さん、ありがとうございます。やはり何も考えずに(条件分けなしで)4通りを試すよりは
きちんと場合分けして考えた方が良いということですね。そうすると、(考えたくはないですが)
もう少し個数や回数が多い場合は、「条件分けなしで比較すると必要な回数が増える」という
ことになりそうですね。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 そのようですね。例えば、普通の天秤で15枚から軽い偽物1枚を探す場合でも、三等分して
左右5枚ずつで5枚残しにすると必ず3回目まで必要ですが、偏らせて左右3枚ずつで9枚残し
にすると、2/5の確率で2回目までで済みます。あるいは左右7枚ずつなら1/15の確率で1回、
さらに2/15の確率で2回で済みます。

 バランスよく進めるよりも回数オーバーしない限界ギリギリで偏らせた方が天秤使用回数は
少なくなる、というのは天秤問題全般(あるいは切り分け問題全般?)に言える傾向のようです。

 ということは、私のもβやγの段階から載せ方を変えると、もっといい結果を出せるのかも
しれません。考える気力はないですが。


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年2月3日付け)

 5枚のうちに偽メダルが、0枚……1通り 、1枚……5通り 、2枚…10通り であわせて
16通りなのでした。

 16進で64桁の開錠コードが必要な金庫があったとします。この開錠コード:鍵を5人で分
割してもつことが可能となります。

 16進1桁を、〈abcdeの5枚のうちに偽メダルが0枚、1枚、2枚のケースで、abcdeがどれ
なのかという、符号化を〉します。

 次に、先程の天秤計測の結果を求めます。これは、3進5桁です。16進1桁を3進5桁に
エンコードできますから、16進で64桁もエンコードできます。

 エンコードしたら、5桁のうち1桁めを「い」の人が、2桁めを「ろ」の人が…等等、分解して、
5人に分け与えます。開錠コード:鍵を5人で分割しました。

 5人のうち、3人が揃えば解錠できます。5人のうち、1人がスパイで偽物のコードを持って
くれば、そのことがわかります。



  以下、工事中!


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