・3と15との饗宴          ハンニバル・フォーチュン 氏

 S=255、M=25 とします。※(あとで必要となりますが)Sは5の倍数です。

 互いに異なる正の整数を《15》個用意します。これらの総計はSで、また、これらのうち最
大の数はMとします。これらを要素として持つ集合をAとします。

 たとえば、A={6, 9, 11, 12, 13, 15, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25} としましょう。

 このときに、Aの部分集合のなかで、要素の数が《3》であって、かつ、その3個の要素の
数の合計がS/5であるものを全て拾いあげると、部分集合は《15》個あります。実際に、

{ 6, 20, 25}、{ 6, 21, 24}、{ 6, 22, 23}、{ 9, 17, 25}、{ 9, 18, 24}、{ 9, 19, 23}、{11, 15, 25}、{11, 18, 22}、
{11, 19, 21}、{12, 15, 24}、{12, 17, 22}、{12, 19, 20}、{13, 15, 23}、{13, 17, 21}、{13, 18, 20}

 上の部分集合の一覧を見ると、Aの各要素は例外なく《3》回登場しています。また、面白
いことに、これらの部分集合から任意の3集合を選んだとき、下記が成立することが**あり
ません**。

「3つの部分集合をX、Y、Zとする。Aの要素x、y、zについて、

   {y,z}⊂X and {z,x}⊂Y and {x,y}⊂Z 」

 さて、M=24 に変更し、Sを255よりも小さい値に変更しても、上記のAのような集合や、
15個の部分集合を作れるのですが、ひとつ作ってみませんか?

(大変に申し訳ないのですが、私は手作業でひとつだけ作れましたが、他にも作れるか否か
については存じ上げません。)

 是非、カラクリを暴いてみてください。面白がって頂けるかどうか甚だ不安ですが、あえて
投稿させて頂きます。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月16日付け)

 M = 19、S = 145、A = {1,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,15,17,18,19} と作ってみました。

{1,9,19}、{1,10,18}、{1,11,17}、{3,7,19}、{3,8,18}、{3,11,15}、{4,6,19}、{4,8,17}、{4,10,15}、{5,6,18}、
{5,7,17}、{5,9,15}、{6,11,12}、{7,10,12}、{8,9,12}

みたいなのは、15個の部分集合は条件に合致するものの、和が 29 になる部分集合は他
にもある( {4,7,18}とか)のでダメですかね?

# ハンニバルさんの提示例でも {9,20,22} なんかが和が 51 なのに不採用になってるので
 問題ないのかな?


 ハンニバルさんからのコメントです。(平成30年1月16日付け)

 これは不調法なことをしでかしてしまいました。大失敗です。ご指摘のほど、まことに有り難
うございました。失敗してしまいましたので早速手仕舞いたします。

 意図していたのは、次のような5行3列の15個の数の組み合わせをみつけたかったという
ものです。(2進法表記です)

01100 00001 10010
00011 01000 10100
11000 00010 00101
00110 10000 01001
10001 00100 01010

 各行で和は 11111 です。これがS/5の予定でした。各要素は5ビットからなっています。中
央の列では1ビットがオンで、左右の列は2ビットがオンです。各要素の右端のビットが左端
のビットにサイクリックにつながっているとみなしますと、左側の列の要素では、オンになって
いるビットは隣り合っていて、右側の列の要素では、オンになっているビットは間にひとつ空
きがある、というようにもみなせます。

 以下、行についてですが、5行目と1行目とがサイクリックにつながっていると、みなしてお
きます。

 左右の列は中央の列から作りました。たとえば、3行目の 11000 00010 00101 ですが、

***** 00001 *****、***** 01000 *****、***** 00010 *****、***** 10000 *****、***** 00100 *****

 00010 の1行まえの 01000 と 1行うしろの 10000 との和を作り 11000 となったものを 00010
の行の左の列におきます。また、00010 の2行まえの 00001 と 2行うしろの 00100 との和を
作り 00101 となったものを 00010 の行の右の列におきます。

***** 00001 *****、***** 01000 *****、11000 00010 00101、***** 10000 *****、***** 00100 *****

 このように3行目では中央の列から左右の列を作成しましたが、他の行でも同様におこな
います。さて、作り方から、各行の和は 11111 となります。再掲しますと、

01100 00001 10010、00011 01000 10100、11000 00010 00101、00110 10000 01001、10001 00100 01010

なのですが、このとき、中央の列についてもういちど目をやって、他に 和が11111 になる組
み合わせがあるかどうか探しますと…、例えば、3行目の 00010 では、左の列の2行まえの
01100 と2行うしろの 10001 とを 00010 に加えると 11111 になり、また、右の列の1行まえ
の 10100 と1行うしろの 01001 とを  00010 に加えると 11111 になります。これもまた、作り
方からいえることです。他の行でも同じことがいえます。

 あとは2進法から10進法に書き直してすました顔でいようと考えておりました。申し遅れま
したが、Mは11000で24です。Sは155でした。この度は不出来な投稿をしてしまい申し訳
ありませんでした。

 … 蛇足です。さきほどの中央の列にある、 1 2 4 8 16 のかわりに 6 9 11 12 13 を置き換
えたものを考えた結果が 最初にご案内した失敗作 M=25 のものです。

 6 9 11 12 13 は、OEIS の「A096858」 のEXAMPLE  The triangle begins:

{1}
{1,2}
{2,3,4}
{3,5,6,7}
{6,9,11,12,13}
{11,17,20,22,23,24}
……

の五行目からもらってきました。チェックが甘かったと反省しています。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月16日付け)

 なるほど、そんな作り方もあるんですね。面白いです。私は全然違う考え方で作っていまし
た。その形で作る場合、二進にこだわる必要もないですね。つまり、5つの数 A、B、C、D、E
を用意して、

{A, B+C, D+E}、{A, B+D, C+E}、{A, B+E, C+D}、{B, A+C, D+E}、
                      {B, A+D, C+E}、{B, A+E, C+D}、・・・ (以下略)

と、各数字を軸に残り4つを2つずつ足し合わせていけば、単独のもの5種と2数の和10種が
3回ずつ出現、と。さらに言えば、単独のもの全てに共通の数を足したり、2数の和のもの全
てに共通の数を足してもOK。もちろん全てに同じ数を加えるのも問題ありません。

(ハンニバルさんの提示例も、全て-5すればM=20で収まります……同じ和になるのに拾って
ないものがあることに目をつぶれば、ですが)

 ところで、和が S/5 である部分集合を、「全部用意すると15個になって条件を満たす」では
なく、「そのうち都合のいいもの15個選ぶと条件を満たす」にすると、どうなるのでしょう。

 つまり、同じ和になる部分集合が他にあってもよいとした場合です。ハンニバルさんの提示
例で全部-5したものがM=20、私が書いたものがM=19、さてM=18は可能?

 どうやら、私の解答は、ハンニバルさんの方法でも、{3,5,6,7}と 14 の5数を使い、全体を-2
するとできるみたいですね。


 ハンニバルさんからのコメントです。(平成30年1月16日付け)

 不調法ではないものをやっとみつけました。Mがかなり大きくなってしまいました。

 S = 1330、S/5 = 266、M = 119、A = { 38, 52, 57, 59, 60, 90, 95, 97, 98, 109, 111, 112, 116, 117, 119 }

 Aの部分集合で要素数が 3 かつ 要素の合計が 266 となるものが 15 あります。

 Aの要素が3回登場すること、およびに { y, z }⊂X かつ { z, x }⊂Y かつ {x, y }⊂Z となるこ
とがないことは従前どおりです。

 Cremona Richmond configuration のグラフは、線と点とからなりますが、点に数値を与え
て魔方陣のように線上の数値合計が一致することを目指していたのが舞台裏でした。

Cremona Richmond configuration は、

"Cremona Richmond configuration is a configuration of 15 lines and 15 points, having
     3 points on each line and 3 lines through each point, and containing no triangles. "

なものです。


 GAIさんからのコメントです。(平成30年1月18日付け)

 確かに、

{38,109,119}、{38,111,117}、{38,112,116}、{52,95,119}、{52,97,117}、{52,98,116}、{57,90,119}
{57,97,112}、{57,98,111}、{59,90,117}、{59,95,112}、{59,98,109}、{60,90,116}、{60,95,111}、{60,97,109}

を組み合わせると和がそれぞれ266で、この15個の数字を正五角形に、上から時計回りに、
117,97,112,95,111、中にダビデの星型(かなり小さめに描く)に上から時計回りに、
109,116,119,98,90、外側の正五角形を時計回りの各辺を4:1に内分していく位置に、52,57,59,60,38

を配置すれば、15本の直線上に3つの数字が並び、それらの和が各266となる魔方陣が出
来上がりますね。(この15個の数字をよく発見できましたね。)

 よくこんな見事なバランスがとれるものが存在するものです。

 これを参考に、異なる9個の正の整数の集合Sからそれぞれ3つの要素を持つ9個の部分
集合を構成し、全体では各成分が3度ずつ使用されており、しかも各部分集合の和が皆同じ
ものになるSを探すことに挑戦しています。もし存在するなら教えて下さい。


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年1月19日付け)

 それは不可能だと思います。


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年1月19日付け)

■1 BからAをつくりました。

B = { 38, 52, 57, 59, 60 }

A = { 38, 52, 57, 59, 60, 90, 95, 97, 98, 109, 111, 112, 116, 117, 119 }

 以下は作ったときのメモです。

============

112  38 116
117  59  90
95  52 119
97  60 109
111  57  98

===========

38 109 119
57  90 119
60  90 116
52  98 116
59  98 109

=============
38 111 117
52  97 117
57  97 112
59  95 112
60  95 111
=============

 B = { 38, 52, 57, 59, 60 } とした理由はいったん保留します。

■2 B としては当初、B = {6, 9, 11, 12, 13} としていました。「A096858」 のEXAMPLEのなか
にあります。今から思えば失敗です。(不調法な結果となりました。)

 こうする目的としては、BからAを作るときに、数がダブることがないようにしたかったのです。
この目的のために「A096858」 を利用しました。 → {6, 9, 11, 12, 13}

 しかしながら DD++さん が御指摘のように、{9, (9+11), (9+13)}という部分集合も発生してし
まい、《丁度15ある部分集合》としては格好悪く、不調法に終わりました。

 「A096858」では力不足だったのです。BからAを作るときに、Aの各要素が互いに相異なる
ようにはできたのですが、Aの部分集合のうち要素の個数が3で各要素の和が一定の部分集
合、これらが15を越えてできてしまいました。

■3 ふりかえってみますと、{6, 9, 11, 12, 13}は……、6円玉, 9円玉, 11円玉, 12円玉, 13円玉
を各1枚、持っているときに、お釣りなしに支払える金額の種類が、2^5 - 1 あるのでした。

 さきほどの不調法の例 {9, (9+11), (9+13)} の周りを調べてみたところ、次がわかりました。

 B = {a, b, c, d, e}で……、a円玉、b円玉、c円玉、d円玉、e円玉を【各2枚】、持っているとき
に、お釣りなしに支払える金額の種類が 3^5 - 1 = 242 だけあればよいのです。

 {9, (9+11), (9+13)} では、9が3回も登場していますが、こうした組み合わせでの予期しない
部分集合の発生を抑えられます。

 なんとならば、9+(9+11)+(9+13)=6+9+11+12+13 が不幸のもとなのですが、両片を整理す
ると、 9+9=6+12+13 であり、6円玉, 9円玉, 11円玉, 12円玉, 13円玉を【各2枚】、持っている
ときに、18円をお釣りなしに支払う方法が二種類、即ち、

★9円玉2枚
★6円玉1枚と12円玉1枚

とがあることになり、このあたりに不幸の大元があるのでした。

 再言しますが、B = {a, b, c, d, e} で……、a円玉, b円玉, c円玉, d円玉, e円玉を【各2枚】、
持っているときに、お釣りなしに支払える金額の種類が 3^5 - 1 = 242 だけあればよいの
です。

 こうしたa, b, c, d, e をみつければ良いのですが、トリビアルなものとしては、

 3^0, 3^1, 3^2, 3^3, 3^4

が考えられます。3進法の仕組みからして当然ですね。

■4 B = { 38, 52, 57, 59, 60 }とした理由は、上のトリビアルな組み合わせに当初は気がつか
なかったためです。

 実は、私は、14円玉, 19円玉, 21円玉, 22円玉 を2枚づつ持っているときに、支払える金額
の種類が 80 = 3^4-1 であることを別途知っていました。

 a円玉, b円玉, c円玉, d円玉, e円玉を【各2枚】、持っているときに、お釣りなしに支払える金
額の種類が 3^5 - 1 = 242 であるようなものを探すにあたり、k, k+14, k+19, k+21, k+22 と
下駄をはかせたものからみつけようとしました。(有望な筈です)

 k=38で、目的のものをみつけました。

 長くなりましたが、以上が、GAIさんが不思議に思われたほどには、探索の手数がかかって
いないことのご説明でした。


 GAIさんからのコメントです。(平成30年1月20日付け)

  ■1から、と言うことは、B={1,3,9,27,81}からA=[1,3,4,9,10,12,27,28,30,36,81,82,84,90,108]を
構成でき、Aの要素を3回ずつ使用する

1=>1;12;108 、2=>1;30;90 、3=>1;36;84 、4=>3;10;108 、5=>3;28;90 、6=>3;36;82
7=>4;9;108 、8=>4;27;90 、9=>4;36;81 、10=>9;28;84 、11=>9;30;82 、12=>10;27;84
13=>10;30;81 、14=>12;27;82 、15=>12;28;81

のピタリ15パターンの組み合わせが可能で、各和が121となるものが生まれてくるようにもで
きる訳ですね。

 最初ランダムに総当たりで検索しており、いくら時間をかけても探しきれないもどかしさに比
べスッキリした感覚になれました。

 これは面白魔方陣として利用できますね。(ただし解はいくつも存在可能)

 今度は、この15個の数字を正五角形に上から時計回りに28,90,27,10,81、中にダビデの星
型(かなり小さめに描く)に上から時計回りに1,82,108,36,9、外側の正五角形を時計回りの各
辺を4::に内分していく位置に3,4,84,30,12 を配置する。



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