・ 面白い約分                    S.H氏

 次の約分は、分子、分母の「0」を消し去っただけで、一見すると、間違っているように感
じるかもしれないが、実は正しい計算である。

 しかも、驚くべきことに、記数法が何進法でも必ず成立する式と聞くと、驚きを隠せない。

         

 上記の約分が正しいことは、次のようにして分かる。

 p進法の数を十進法に換算すれば、     100001=p5+1
                                 =(p+1)(p4−p3+p2−p+1)
                         101010101=p8+p6+p4+p2+1
 ところで、p8+p6+p4+p2+1=(p10−1)/(p2−1)
                    =(p5−1)/(p−1)・(p5+1)/(p+1)
                    =(p4+p3+p2+p+1)(p4−p3+p2−p+1)
 したがって、
         与式=(p+1)/(p4+p3+p2+p+1)=11/11111
が成り立つ。

 p進法の数のまま、次のように計算しても、明らかだろう。

   100001×11111=1111111111
   101010101×11=1111111111

  より、与式=11/11111

 このような約分を見ていると、昔一世を風靡した「クシャおじさん」を思い出してしまう。


 攻略法さんが、上記分数と同じ性質を持つ分数を見いだされた。
                                      (平成23年12月4日付け)

   

(証明) 1が6個並ぶ数「111111」を用いて、

     1001=111111÷111 、 10101=111111÷11

  なので、 1001/10101=(111111/111)/(111111/11)=11/111  (証終)

(別証) 下記 m=2、n=3 の最小公倍数6より、因数分解を考えてもよい。

     1001/10101=(1100-110+11)/(11100-1110+111)
            ={11・(100-10+1)}/{111・(100-10+1)}
            =11/111  (別証終)

 1001/10101の数の並びについて、m=2、n=3 として、

分子は、先頭が1で、n-1個の0が並ぶ 10…0 が m-1個、最後に1。即ち、1はm個となる。

分母は、m、n を逆にして議論する。即ち、先頭が1で、m-1個の0が並ぶ 10…0 が n-1個、
最後に1。即ち、1はn個となる。

 m、n が互いに素なら、この約分で既約できる。

 冒頭の分数

         

は、m=2、n=5 の場合である。

 p進法で、

  p(m-1)n+ … +p2n+pn+1     (pmn-1)/(pn-1)     pm-1     (p-1)(pm-1+ … +p2+p+1)
 -------------------- = -------------- = ----- = ----------------------
  p(n-1)m+ … +p2m+pm+1     (pmn-1)/(pm-1)    pn-1     (p-1)(pn-1+ … +p2+p+1)

よって、

  pm-1+ … +p2+p+1  ← 1がm個
 ----------------
  pn-1+ … +p2+p+1  ← 1がn個

最後に、1が並ぶ数が得られる。


(コメント) 面白い分数の数学的構造がはっきりしましたね!攻略法さんに感謝します。



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