・三角形の確率                              y 氏

 長さ1mの細い棒を1本の鋏で無作為に2回切断することで得られる3本の棒を使って三
角形が作れる確率を求めて下さい。


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 端を0と1として、2つの切断位置を x、y (0<x<y<1)とすると、三角形ができるためには、

 y>1−y かつ x<1−x かつ y−x<x+(1−y) すなわち、1/2<y<x+1/2<1

よって、求める確率は、 (1/2<y<x+1/2<1 の面積)/(0<x<y<1 の面積)=1/4


 y さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 ご回答頂き、ありがとうございます。実は、想定している解は2つあるのですが、その一方
が1/4です。

 二つの切断箇所を「同時に」決定する場合に対応しています。「逐次的に」切ることを暗示
して、「1本の鋏で」などと書きました。この場合,私の計算では,1/4よりも解が小さくなりま
す。


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 「逐次的に」切るとしても、1回目の切断で長さが t と 1−t になったとして、2回目にどちら
を切るかを確率 t、1−t で選んで、選んだ棒の切断位置を無作為に選べば(あるいは切っ
た2本が繋がるように並べて1mの中から無作為に切断位置を決める)、同じ結果になると
思いますが、もしかして、2回目の切断でどちらを切るかを確率1/2ずつで選ぶということで
すか?

 それとも、選ばずに(例えば、切った時に左手に残った方を切るとか)必ず一方を選ぶとい
うことですか?(この二つは確率は同じですね)

 そのようにすれば、当然確率は変わりますが、もしそのように、「2箇所とも無作為」でなく
なるような意図的な操作があるのであれば、問題文に条件が明記されている必要があると
思います。


 y さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 問題設定に曖昧さがあったことをお詫びします。しかし、ベルトランのパラドクスのように、
問題解釈の違いで答えが異なることを言いたかったので、その点は何卒ご容赦頂けますと
幸いです。

 逐次的に切ることは、2回目に切るのがどちらの切片を選ぶかというよりも、1回目にどこ
で切られたかを知っているというのが問題になります。

 U(a,b)を区間[a,b]を台に持つ連続一様分布とします。同時に切る場合は、X,Y〜iid U(0,1)
に対して、3辺の長さは、min(X,Y)、|Y-X|、1-max(X,Y) と決められます。

 一方、逐次的に切る場合は、1回目と2回目の切断で得られる切片の長さをそれぞれZ、
Wとして、Z〜U(0,1)、W〜U(0,1-Z) と、Wの分布がZの条件付き分布となる点が異なります。

 このとき、3辺の長さは、それぞれ Z、W、1-(Z+W) となります。

 三角形が作られる確率は、前者の場合で 1/4、後者の場合で ln(2)-1/2=0.193… となり
ます。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 Z〜U(0,1)、W〜U(0,1-Z) と、Wの分布がZの条件付き分布となる

 曖昧なのではなく、ここで長さZでない方の断片を作為的に選んでいるので無作為に切断
する条件に反していますね。


 y さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 Zが標準一様分布に従うなら、1-Zも標準一様分布に従います。つまり、1回目の切断でで
きた2つの切片は対等な立場です。2つの切片の内、常に短い方を選んで切るなどしない限
り結論には影響しないのではないでしょうか。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 対等な立場であるはずのに、対等に扱っていないという指摘です。

 2つの切片の内、常に短い方を選んで切るなどしない限り結論には影響しないのではない
でしょうか


 いえ、影響します。Z を定数と考えたときの W の確率密度関数について、定数関数である
という点は Z の値によりませんが、その値が何かという点は Z の値に影響されます。そのた
め、(Z,W) という値の組で見たときには一様分布になりません。


 y さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 WはZの条件付き分布となるので、もちろん(Z,W)の組が(二変量)一様分布しないことは認
識しています。Zを選んだ段階で対称性が崩れるというのはまさにご指摘の通りですが、Zの
選び方はあくまでも「無作為」です。らすかるさんのご指摘にあるように、左手にある方を常
に切るとか、適当な確率を割り振って選ぶとか、そういうやり方を考えています。(無作為と
いう言葉の定義の問題になりますので、これ以上は控えます。)

 結局は棒の切る位置を外生的に決める立場か、あるいは切断の度に内性的に決める立
場の何れかに解が依存するので、解答は2通りを想定しています。出題の意図として、上手
くこの二者が別れて欲しいという気持ちがあり、棒を手に持って切るイメージが強い鋏を使
いました。言葉の選択が悪いのは重々承知しています。大変申し訳ありません.


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 「Z を無作為に選んだ、かつ W を無作為に選んだ」と「Z と W を無作為に選んだ」は一見
同じように見えますが、そうではありません。

 後者の指定がある問題を前者として解くのは、言葉の綾などではなく数学的に誤りであり、
前者の問題として解いてほしいのであればそのような条件として明記すべきであることは、ら
すかるさんが既に指摘している通りです。

 Z の選び方が無作為であることや W の選び方が無作為であることを頻りに主張されるあ
たり、y さんはそこを勘違いしているように思うのですが、いかがでしょう?


 y さんからのコメントです。(平成30年1月10日付け)

 前者は条件付きで、後者は無条件ということは、重々理解しているつもりです。尤も「棒を1
本の鋏で無作為に2回切る」といったときに、その2つの表現は区別できますか?

 要は、複数のランダム性がどのように発生するかという話ですが、周辺分布や条件付き分
布から一つずつ抽出するか、あるいは複数の確率変数を同時分布から引っ張ってくるのか
の指定は、問題ではしていないつもりです。(そもそも、Zの選択問題は、問題意識外にあり
ます)「無作為に」という言葉だけで直ちに後者を意味するのならば、私の理解が間違ってい
たことになります。確率変数の従う何らかの法則から一つサンプルを抽出するという意味で、
「無作為に」という言葉を使用しています。

 私の意図としては、条件付き分布をテーマに解釈によって、答えが変わりうる問題を作り
たかったのです。そうした指摘がされるのではないかと考えて、当初は、

(1) 2本の鋏で、無作為に選んだ独立な2点を同時に切断する
(2) 1本の鋏で、無作為に1回切って2本の切片を得た後に、左手にある方を更に無作為
   に切断する

というような2問構成の出題を考えていました。単に鋏とせずに、「1本の鋏」となっているの
はその名残りです。ところが、(1)と(2)が、50:50で解釈されるような問題の方が面白いの
では?と考えるに至り、あのような文章になりました。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月11日付け)

 尤も「棒を1本の鋏で無作為に2回切る」といったときに、その2つの表現は区別できます
か?


 御自身で回答されていますよ。

 確率変数の従う何らかの法則から一つサンプルを抽出するという意味で「無作為に」とい
う言葉を使用しています。


ということですから、「2回切る」の内容をまとめて1つのサンプルと見なしなさいという表現以
外には取れません。


 y さんからのコメントです。(平成30年1月11日付け)

 「無作為性」が、その法則を直ちに決定するとは私には思えません。例えば、「ある母集団
から大きさnの標本を無作為抽出する」といった場合に

 (1)同時抽出  (2)復元無作為抽出  (3)非復元無作為抽出

の3通りが考えられますが、これらの確率法則は全て異なります。
(iidならば、(1)と(2)は同一です)

 iid性は無作為性を意味しますが、逆はそうではない(確率法則を決定するほど強くない)と
いうのが私の理解です。つまり、単に「無作為に2回切る」といったときに、切り方(どうやって
標本を得るかを意味する確率法則)までは指定していないということです。

 出題の意図として、上の例を使うならば、(1)、(2)(同時分布からの抽出)vs(3)(条件付
き分布からの抽出)と解釈が混ざるようなシンプルな問題設定が出来ればいいと考えていま
した。解釈が一通りに定まらないものは問題不成立であるとするなら、最早それまでですが...


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月11日付け)

 数学的な無作為性の話ではなく、言語的な論理性の問題です。「無作為に2回切る」はあ
くまで「2回切る」という試行を1回無作為に行うことしか意味しません。「1回切る」という試行
を2回無作為に行う意味には、この表現では文節同士の修飾被修飾関係上どうやったって
なりません。


 y さんからのコメントです。(平成30年1月11日付け)

 ですから、作問の都合上、言葉の問題があったことは既にお詫びしています。ですが、

A:「ある母集団から無作為に大きさnの標本を抽出する」
B:「ある棒を無作為にn回切る」

 この両者で、前者は3通りの解釈ができて、後者の解釈はただ1通りに定まるということで
よろしいのでしょうか?私には,違いが良くわかりません。縦しんばAを

A’:「ある母集団から無作為にn回サンプルを抽出する」

という表現に変えたとしても、それが直ちに復元無作為抽出を意味するとは思えないのです。
この手の問題には必ず「引いたカードを山札に戻す/戻さない」といった但し書きがあるのは、
そうした混乱を避けるためであると理解しています。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年1月11日付け)

 いえ、どちらも解釈としては1通りです。「無作為に大きさnの標本を抽出する」と「大きさ1の
標本を無作為に抽出することをn回行う」は意味として一致しません。
(もちろん結果として等価値である例もたくさんありますが)

 これら2例はどちらも前者です。

  A':「ある母集団から無作為にn回サンプルを抽出する」

 これも数学的には同時抽出を意味することになるでしょう。あくまで「無作為に」が「n回サン
プルを抽出する」に係っているので。

 この手の問題には必ず「引いたカードを山札に戻す/戻さない」といった但し書きがあるの
は、そうした混乱を避けるためであると理解しています。


 本題とほとんど関係ない話題になってしまいますが、離散変数の場合はそうですが、連続
変数の場合には関係ない話ですね。「図形の面積を求めるのに、辺を図形内部と見なすべ
きか?」という問題と同等の問題なので。

 よほど特殊な図形(フラクタルとか)なら例外もあるかもしれませんが。



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