正方形を面積の等しい5つの三角形に分割することは可能なのでしょうか?
(分割とは単体分割のことです)
(コメント) 直感的には不可能...の予感。
カルピスさんからのコメントです。(平成29年12月24日付け)
正方形の三角形分割は偶数等分なら簡単ですけど、奇数等分は難しいですよね。本当に
できるのかな?
DD++さんからのコメントです。(平成29年12月27日付け)
「5」に限らず、任意の奇数について不可能ではないかと予想していますが、3日かかって
も証明の糸口すらつかめず。難しい……。
そも、これはどの分野の数学を頼ればいいんでしょうね。
らすかるさんからのコメントです。(平成29年12月28日付け)
不可能であることの証明は、細かく場合分けすればできると思いますが、この方法では確
実にかなり長くなりますので放置していました。
説明を簡単にするために、正方形の一辺を10とします。1/5の面積は20です。座標を使う
場合は、正方形の頂点は、(0,0)、(10,0)、(10,10)、(0,10)とします。
補題1 正方形の辺の一部が三角形の一辺である場合、その長さは4以上
∵4未満の場合、残りの頂点がどこであっても面積が20未満
補題2 正方形の2辺と辺を共有する三角形は、共有辺は10と4
∵2辺とも10未満のとき、少なくとも一つの辺が6より大きい必要があるが、このとき残りの
長さが4未満になり補題1を満たさないので不適
1. 正方形の2辺と辺を共有する三角形が2個の場合(補題2から3個以上はあり得ません。)
この場合、正方形の2辺と辺を共有する三角形2個の配置は2通りです。
1-1. 正方形の2辺と辺を共有する三角形2個が1点を共有する場合
残った凧形の頂点を、A(0,0)、B(6,0)、C(10,10)、D(0,6)とします。補題1により、線分ABと線
分ADはそれぞれ別の三角形の1辺となります。
もし、ABを1辺とする三角形がBCに接しておらず、かつ、ADを1辺とする三角形がDCに接
していないとすると、点Bを頂点とする他の三角形と点Dを頂点とする他の三角形が別々に
必要となりますので不適です。
従って、少なくとも一つは接していますので、ABを1辺とする三角形がBCに接しているとし
ます。すると、残りの頂点は面積20から、E(26/3,20/3)に決まります。
すると、ADを1辺とする三角形も同様にAEかDCのどちらかに接していなければなりません
が、どちらに接しても残る領域が三角形になりませんので不適です。
1-2. 正方形の2辺と辺を共有する三角形2個が共有点を持たない場合
補題1により、残る形は平行四辺形と決まります。残った平行四辺形の頂点を、A(0,0)、
B(10,4)、C(10,10)、D(0,6)とします。
補題1により、線分BCと線分ADはそれぞれ別の三角形の三角形の1辺となりますが、1-1
と同様にいずれの三角形も最初に配置したいずれかの三角形の斜辺に接していなければ
なりません。
二つとも同じ三角形に接することはできませんので、反対側の三角形に接することになり
ますが、2通りのどちらであっても平行四辺形の領域が残ってしまいますので不適です。
2. 正方形の2辺と辺を共有する三角形が1個の場合
残る領域を、A(0,0)、B(10,0)、C(10,10)、D(0,6)とします。補題1により、ADは三角形の1辺
となります。AB、BCは両方とも三角形の1辺であるか、どちらか一つだけ二つの三角形の
辺となるかのいずれかです。
2-1. AB,BCがそれぞれ残る三角形の1辺の場合
頂点を共有する順で「最初の直角三角形」「ADを1辺とする三角形」「ABを1辺とする三角
形」「BCを1辺とする三角形」「最初の直角三角形」は、それぞれ接していない場合に隙間を
埋める三角形が必要になりますが、隙間を埋める三角形は1個ですから、接していなくてよ
い箇所は限定されます。(全部接するのは明らかに不可能です。)
2-1-1. 接していない箇所が「最初の直角三角形」と「ADを1辺とする三角形」の間のみの場合
「BCを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(6,42/5)
「ABを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(170/21,4)
「ADを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(20/3,56/17)
と決まりますが、残る領域が四角形なので不適です。
2-1-2. 接していない箇所が「ADを1辺とする三角形」と「ABを1辺とする三角形」の間のみの場合
「BCを1辺とする三角形」と「ADを1辺とする三角形」が両方とも「最初の直角三角形」に接す
ることになりますが、重なりますので不適です。
2-1-3. 接していない箇所が「ABを1辺とする三角形」と「BCを1辺とする三角形」の間のみの場合
これも2-1-2と同じ理由で不適です。
2-1-4. 接していない箇所が「BCを1辺とする三角形」と「最初の直角三角形」の間のみの場合
「ADを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(20/3,26/3)
「ABを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(40/13,4)
「BCを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(6,104/45)
と決まりますが、残る領域が四角形なので不適です。
2-1-5. 接していない箇所が「最初の直角三角形」と「ADを1辺とする三角形」の間と「ABを1辺
とする三角形」と「BCを1辺とする三角形」の間の場合
BDが最後の三角形の辺にならなければなりませんが、△ABDの面積は30なので明らかに
不可能です。
2-1-6. 接していない箇所が「最初の直角三角形」と「ADを1辺とする三角形」の間と「BCを1辺
とする三角形」と「最初の直角三角形」の間の場合
「最初の直角三角形」に接する残りの三角形の頂点が直線2x-5y+10=0上になければなりま
せんが、そのどこにあってもきっちり埋まることはなく(詳細は省略)、不適です。
2-1-7. 接していない箇所が「ADを1辺とする三角形」と「ABを1辺とする三角形」の間と「BCを
1辺とする三角形」と「最初の直角三角形」の間の場合
ACが最後の三角形の辺にならなければなりませんが、△ABCの面積は50なので明らかに
不可能です。
2-1-8. その他の場合
複数箇所の隙間を一つの三角形で埋めることができませんので不適です。
2-2. ABに2個の三角形が接する場合
隣接する三角形の間に隙間は作れませんが、2-1-2と同じ理由により不適です。
2-3. BCに2個の三角形が接する場合
隣接する三角形の間に隙間は作れませんので、
「ADを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(20/3,26/3)
「ABを1辺とする三角形」の残りの頂点が、(40/13,4)
と決まり、BCに接しBを頂点とする三角形の残りの頂点は、直線26x+45y=260上の(40/13,4)
と(10,0)の間のどこかになければなりませんが、どこにあっても残る領域が四角形または五
角形となりますので不適です。
3. 正方形の2辺と辺を共有する三角形が0個の場合
正方形の4辺がすべて三角形の1辺であって正方形と辺を共有しない三角形があるか、あ
るいは正方形の4辺のうち3辺が三角形の1辺で残る辺に2個の三角形が接するかのどちら
かです。
A(0,0)、B(10,0)、C(10,10)、D(0,10)とします。
3-1. 正方形の4辺すべてが三角形の1辺である場合
残りの三角形の一つの頂点が正方形の頂点である場合と、どの頂点も正方形の頂点で
ない場合のいずれかになります。
(残りの三角形が正方形の2頂点を頂点とすることは明らかに不可能)
3-1-1. 残りの三角形の一つの頂点が正方形の頂点である場合
Aを残りの三角形の頂点の一つとします。「ABを1辺とする三角形」の残りの頂点のx座標が
6未満の場合、この頂点により残りの領域が凹多角形になりますので不適です。
x座標が6の場合、「BCを1辺とする三角形」の残りの頂点も(6,4)、そして、それに「CDを1辺
とする三角形」「DAを1辺とする三角形」が順に接すると、残る領域は四角形になり不適です。
x座標が6より大きい場合、残りの領域が凹多角形にならないためには、「BCを1辺とする
三角形」の残りの頂点のy座標が6以上でなけれぱなりません。しかし、6のとき、残りの領域
は四角形(凧形)、6より大きいとき、凹多角形または四角形となり(詳細は省略)、同様に不
適です。
3-1-2. 残りの三角形のどの頂点も正方形の頂点でない場合
正方形の辺を1辺とする隣接三角形が互いに接するのは、中央に傾いた正方形が残るパ
ターンしかあり得ず、不適です。
3-2. 正方形の4辺のうち3辺が三角形の1辺で、残る辺に2個の三角形が接する場合
DA上に点Eがあって、AB、BC、CD、DE、EAがそれぞれ別の三角形の1辺とします。
「ABを1辺とする三角形」と「BCを1辺とする三角形」、「BCを1辺とする三角形」と「CDを1辺
とする三角形」は、それぞれ接しますので、「BCを1辺とする三角形」の残りの頂点が決まれ
ば、「ABを1辺とする三角形」と「CDを1辺とする三角形」の残りの頂点も自動的に決まります。
対称性から、「BCを1辺とする三角形」の残りの頂点Fのy座標は5以下に限定できます。
Fのy座標が4未満の場合、残りの領域の形は凹五角形となり、残りの2三角形で埋めるの
は明らかに不可能です。
Fのy座標が4の場合、残りの領域は四角形となりますが、「EAを1辺とする三角形」の残り
の頂点がAF上になければなりませんので、これも明らかに不適です。
Fのy座標が4より大きく5以下の場合、「BCを1辺とする三角形」の残りの頂点をGとすると
線分FGを延長するとy切片が10より大きく、残りの三角形が接することが不可能ですので、
この場合も不適です。
以上により、正方形を5つの三角形に分割するのは不可能なことが示されました。
# 長くて全体を見直すのも苦痛なので見直していません。考え落としがあるかも知れません
が、おそらく同様の考え方で簡単に補完できると思います。補完できないような重大なミス
などあればお知らせ下さい。きっともっと簡潔な証明方法があるのでしょうね。
DD++さんの
「5」に限らず任意の奇数について不可能ではないかと予想しています
について検索してみたところ、任意の奇数で不可能っぽいです。その証明らしきものが検索
で先頭に見つかるのですが、残念ながら中身が開けないようで、正確なことはわかりません。
DD++さんからのコメントです。(平成29年12月28日付け)
もしかしてと思っただけで、証明も何もないのですが...。
凸四角形があり、対角線がお互いを a:b と c:d に内分するとき、それが等積のn個の三角
形に分割できるような n の必要十分条件は、
「a、b が整数であり、n が a+b の倍数である」
または、 「c、d が整数であり、n が c+d の倍数である」
だったりしませんかね。
例えば、 (1,0)、(-1,0)、(0,1)、(0,-2) を結ぶ四角形だと、対角線内分比が 1:1 と 1:2 なの
で、n が偶数または 3 の倍数であれば n 個の等積三角形への分割が可能で、(0,0)、(1,0)、
(0,√2)、(1,1) を結ぶ四角形だと、対角線内分比が 1:√2 と 1:√2 なので、任意の自然数
n について、 n 個の等積三角形への分割は不可能、とか。
らすかるさんからのコメントです。(平成29年12月28日付け)
結構手間がかかりましたが、ようやく反例が見つかりました。
4頂点が、(0,72)、(72,0)、(170,102)、(90,162)である面積13500の四角形は、頂点の座標が
{(0,72)(60,72)(90,162)}、{(60,72)(120,72)(90,162)}、{(120,72)(170,102)(90,162)}、
{(45,27)(72,0)(170,102)}、{(0,72)(45,27)(120,72)}
の5個の三角形(すべて面積2700)に5等分できますが、対角線の分割比は12:13と8:7です。
十分条件にはなっている気がしますが、必要条件ではないですね。
DD++さんからのコメントです。(平成29年12月29日付け)
おお、反例あるんだ。よく見つけましたね、素晴らしいです。
らすかるさんの反例を参考に探したところ、±一桁の範囲で反例がありました。
(-3,0)、(0,7)、(5,0)、(0,-5) を結んでできる面積 48 の四角形は、
{ (-3,0), (0,7), (0,-1) } 、{ (0,7), (0,-1), (3,-2) } 、{ (0,7), (3,-2),
(5,0) } 、{ (-3,0), (0,-5), (3,-2) }
という面積 12 の三角形 4 つに分割できますが、対角線の内分比は、3:5 と 5:7 です。
a、b、c、d が全部整数で、a+b と c+d が違いに素でない場合に何かあるのかな?
らすかるさんからのコメントです。(平成29年12月29日付け)
上に書いた例を一般化して、対角線の分割比がどうなるか調べました。
A(0,0)、B(1,0)、C(2,0)、D(a,2) とすると、△ABD=△BCD=1 です。E(b,-1) とすると、△AEC=1
となります。ただし、この方法で四角形ができるためには、0<a+2b<6 が必要です。
上の例は、a=3/2、b=3/4 に相当します。そして、ECの延長上に △CFD=1 となるようにFを
とります。
Fが直線 2x+(2-a)y-6=0 上にあれば、△CFD=1 となり、直線ECは、x+(b-2)y-2=0 なので、
交点を求めると、F(2(8-a-3b)/(6-a-2b),2/(6-a-2b)) となります。
そして、最後にAEの延長上に △EGF=1 となるように点Gをとります。
EC=√(b^2-4b+5), EF=(8-a-2b)√(b^2-4b+5)/(6-a-2b) なので、
AE:EG=EF:EC=8-a-2b:6-a-2b となればよく、G=E・{(8-a-2b)+(6-a-2b)}/(8-a-2b) から
G(2b(7-a-2b)/(8-a-2b),-2(7-a-2b)/(8-a-2b)) と求まります。
これで、四角形AGFDが5等分可能です。
対角線AFは、x-(8-a-3b)y=0
対角線GDは、2(15-2a-4b)x+(a^2-8a-4b^2+14b)y+2(a+2b)(a+2b-7)=0
なので、交点Pは、
P(2(a+2b)(7-a-2b)(8-a-3b)/{5(6-a-2b)(8-a-2b)},2(a+2b)(7-a-2b)/{5(6-a-2b)(8-a-2b)})
従って、対角線AFの分割比は、(a+2b){7-(a+2b)}:(a+2b)^2-12(a+2b)+40
対角線GDの分割比は、14-2(a+2b):16-3(a+2b)
a+2b=t とおけば、対角線AFの分割比は、t(7-t):t^2-12t+40 、対角線GDの分割比は、
14-2t:16-3t これに、t=3/2+2(3/4)=3 を代入すると、確かに、12:13 と 8:7 になります。
例えば、t=2 を代入すると、分割比は、1:2 と 1:1 になりますので、DD++さんが例に挙げ
られた
「(1,0)、(-1,0)、(0,1)、(0,-2) を結ぶ四角形」は、5分割可能
とわかります。実際上の方式で分割すると、
A(0,1)、B(-1/10,1/10)、C(-1/5,-6/5)、D(1,0)、E(-3/5,2/5)、F(0,-2)、G(-1,0)
で、△ABD=△BCD=△AEC=△EGF=△CFD=3/5 となります。
ただし、こんな複雑な分け方をしなくても、
A(0,1)、B(-2/5,-2/5)、C(-1/5,-6/5)、D(1,0)、E(-3/5,2/5)、F(0,-2)、G(-1,0)
で、△AED=△EGF=△DEB=△DBC=△DCF=3/5 という分け方もできますね。
また、2本の対角線の分割比を等しくすることを考えた場合、AP:PF=DP:PGとすると、t は
t^3-16t^2+82t-128=0の解(≒2.926)で、分割比は、1:r(ただし、r は、8r^3-11r^2+4r-2=0
の解(≒1.12823)) のようになります。
分割比が三次の無理数であっても、5分割が可能だったりしますので、n分割可能となる
対角線の分割比の「必要十分条件」を実数範囲で考えるのは難しそうですね。
(整数に限定すれば何かあるかも知れませんが...。)
続報です。
「(1,0)、(-1,0)、(0,1)、(0,-2) を結ぶ四角形」は、2以上の任意の自然数nについて、n個の
等積三角形への分割が可能である
ことに気付きました。
「(1,0)、(-1,0)、(0,1)、(0,-4) を結ぶ四角形」は、(n≧2で)n=3だけ不可能のようです。
追記です。正しそうな命題
凸四角形の対角線の内分比を、a:b と c:d(a≧b、c≧d)としたとき、
「その四角形が面積の等しい3つの三角形に分割可能」
⇔「a=2b または c=2d または (a-b)(c-d)=bd」
これを書き換えると、
凸四角形の対角線の内分比を、1:a と 1:b(a≦1, b≦1)としたとき、
「その四角形が面積の等しい3つの三角形に分割可能」
⇔「a=1/2 または b=1/2 または a+b=1」