・ 中学生にも手が届く問題            S.H氏

 平成16年度東京大学の前期入試問題において、興味ある問題が出題された。

 問題を説明する前に、平方数の計算結果を眺めておこう。

 102=1 、 112=121 、 122=1 、 132=169 、 142=196

 152=225 、 162=256 、 172=289 、 182=3 、 192=361

 202=4 、 212=441 、 222=4 、 232=529 、 242=576

 252=625 、 262=676 、 272=729 、 282=7 、 292=841

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 上記の実験から、ある性質に注目すると、その条件に当てはまる数は規則的に出現して
いる様子が伺える。

 この性質に着目した問題が、次の東京大学理科系(2004)の第2問である。

 十進数で表して3桁以上の平方数に対し、十の位の数を a 、一の位の数を b
とおいたとき、a + b が偶数となるならば、b は、0 または 4 であることを示
せ。


 証明は、n=10p+q として、n2=1022+2×10pq+q2 となるが、
a + b が偶数で、2×10pq の十の位が偶数であることから、
     (q2 の十の位)+(q2 の一の位)
が偶数でなければならない。
 q=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9 について、当てはまるものを探せば、q=0、2、8
よって、 b=0 または 4 となる。

 計算の繰上げの処理を含む問題として、とても面白く、かつ中学生にも手が届く問題とい
う趣きである。小学校の算数を意識した良問と言えるだろう。


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