・剰余の定理と多項式                  よおすけ氏

 多項式P(x)をx-αで割ったときの商をQ(x)、余りをrとすると、 P(x)=(x-α)Q(x)+r

が成り立ちます。高校の教科書や参考書などで、多項式をP(x)、商をQ(x)、余りをrと置いて
いるのをよく見かけますが、

 多項式は英訳で、polynomial
 商は英訳で、quotient
 剰余(余り)は英訳で、remainder

なので、それらの頭文字からきているものと思われます。


 GAI さんからのコメントです。(平成29年12月1日付け)

 では、この記号を使って剰余の定理を上手く活用して定積分を行う方法。

 一般に、定積分S=∫[a,b]f(x)dx=F(b)-F(a)  (ただし、F(x)はf(x)の不定積分) なので、
今F(x)のx=aからbまでの平均変化率をH(=(F(b)-F(a))/(b-a))としておくと、定積分は

  S=H*(b-a)・・・・・・(1)

となる。今F(x)をx-aで割ったときの商をQ1(x)、余りをR1とすると、

  F(x)=(x-a)*Q1(x)+R1・・・・・・(2)

で、さらに、商Q1(x)をx-bで割ったときの商をQ2(x)、余りをHとすると、

  Q1(x)=(x-b)*Q2(x)+H・・・・・・(3)

 ここに、(3)を(2)に代入して、

  F(x)=(x-a)*((x-b)*Q2(x)+H)+R1=(x-a)*(x-b)*Q2(x)+(x-a)*H+R1・・・・・・(4)

 従って、(4)から、 F(b)-F(a)=(b-a)*H+R1-R1=(b-a)*H で(1)の関係式が出現する。

[活用法] S=∫[-1,2](3*x^2-2*x+1)dx、F(x)=x^3-x^2+xとし、F(x)をx+1で割ると

商Q1(x)=x^2-2*x+3 (実質使用しないが 余りR1=-3 )(組み立て除法が速い)

 Q1(x)をx-2で割ると(実質使用しないが 商Q2(x)=x)       余りH=3 (剰余の定理が速い)

(1)の公式から、S=3*(2-(-1))=9


 この流れをプログラム化すれば、

gp > S(f,a,b)=divrem(divrem(intformal(f(x)),x-a)[1],x-b)[2]*(b-a)

コマンドは、

 intformal(f(x));f(x)の不定積分を求める
 divrem(x,y);xをyで割った商(divrem(x,y)[1]で返す)と余り(divrem(x,y)[2]で返す)を求める

を意味します。

 gp > f(x)=3*x^2-2*x+1

でf(x)を定義しておき、積分範囲を適当に指定してやれば、

gp > S(f,-1/2,2/3)
%127 = 301/216

と返してくれます。


<追伸> 次の44桁の数字に9をかけると何が起きるでしょう?

      10112359550561797752808988764044943820224719



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