・格子点                           moonlight 氏

 平面の格子点を結んで正三角形を作る事は不可能か

という話はよく問われますが、では、平面上の3つの格子点を結んで、π/3という角度を作る
事が無理だと言えるでしょうか。
(まぁ、つまりどのようにして言えるか?だろうか。)

 平面上の3つの格子点を結んで、π/n という角度を作る事ができる自然数nは、n=1、2、4
の他にあるでしょうか。

 これを空間にした場合はどうでしょうか。
(あまり真剣に考えてないのですが、ふと思いついたので...)


 らすかるさんからのコメントです。(平成29年10月18日付け)

 平面上の3つの格子点を結んで、π/3という角度を作る事は無理ですね。Oを原点、Aを
偏角αの格子点、Bを偏角βの格子点で、α>βとすると、
(ただし、A、Bとも y 軸上にはなく∠AOBは直角でないものとする)
tanα、tanβは有理数なので、

 tan∠AOB=tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanαtanβ)=(有理数)

 従って、tanθが無理数となるようなθは作れませんので、π/3は不可能です。

 また、n≧5のときも、tan(π/n)は無理数になるらしい(どこかに証明がありました)ので、
n=1,2,4だけになりますね。

 空間の場合、3頂点が格子点である△ABCを考えて、AB=c、BC=a、CA=b とすると、
a2、b2、c2は整数

 余弦定理から、cosA=(b2+c2-a2)/(2bc) なので、 cos2A=(b2+c2-a2)2/(4b2c2)は有理数

 cos2A={1+cos2A}/2 が有理数なので、cos2Aが有理数

従って、 cos2A が無理数となるような角度は作れません。

 cos(2π/n)が有理数になるのは、n=1、2、3、4、6 に限られるらしい(これも証明がありま
した)ので、空間の場合に可能なのは、n=1、2、3、4、6 となりますね。
(n=1,2,3,4,6の例を作るのは簡単なので省略)


 moonlight さんからのコメントです。(平成29年10月18日付け)

 らすかるさん、早速のご返答ありがとうございます。そうですよね。矢張りむりですよね。
ちょこっと証明を探してみましょう(自分で考えろよと?)。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年10月18日付け)

 r が有理数のとき、cos(rπ) が有理数ならば、その値は 0, ±1/2, ±1 に限られます。
(同時に r の既約分母は 1、2、3 のいずれかです)

 その証明を以下に。

 突然ですが、t = 2cosθ とおきます。 2cosθ = t より、

  2cos(2θ) = 4cos2θ - 2 = t^2 - 2 、2cos(3θ) = 8cos3θ - 6cosθ = t3 - 3t

 以下、2cos{(n+1)θ} = 2cos(nθ)*2cosθ - 2cos{(n-1)θ} を繰り返し用いると、2cos(nθ)
を t で表すと以下のような性質をもつ式になることが帰納的に証明できます。

・t の n 次多項式である
・係数は全て係数である
・t^n の係数は 1 である

 さて、r が有理数なので、nr が整数になるように n を取ることができます。その n につい
て、2cos(nθ) = ±2 という方程式を考えたとき、θ=rπ は解になります。

 つまり、これを t の n 次方程式と考えたとき、t = 2cos(rθ) は解になります。

 ところが、この n 次方程式は前述のような性質をもつ(定数項に ±2 しても性質は崩れな
い)ので、これに有理数解があれば必ず整数です。

 したがって、2cos(rθ) は、有理数であれば必ず整数であることになります。

 これと、 -1≦cos(rθ)≦1 から、r が有理数のとき、cos(rπ) が有理数ならば、その値は、
0, ±1/2, ±1 に限られることが示されます。

 ここまで来れば、r の既約分母に関しては明らかでしょう。あとは、ここからの派生として、
tan の半角の公式から、tan(rπ) が有理数になるならば、その値は 0、±1 に限られること
が示されます。

 また、cos(2π/k) が有理数であるとすれば、2/k の既約分母が 1、2、3 のいずれかにな
ることから、k=1、2、3、4、6 であることがわかります。



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