・arctan(x)                            あい氏

 arctan(x) をマクローリン展開して、剰余項が0に収束することを示していただけないでしょ
うか。特に剰余項が0になることを示すやり方がよく分からないので、詳しく教えてください。
(tanθ=t、-π/2<θ<π/2となるとき、arctan(t)=θ)


 DD++さんからのコメントです。(平成29年10月6日付け)

 arctan(x) のマクローリン展開って、次のようにやっちゃうことがほとんどですよね。

 1/(1+t2) = 1 - t2 + t4 - t6 + … を 0 から x まで積分して、

  arctan(x) = x - (1/3)x3 + (1/5)x5 - (1/7)x7 + …

 極限と積分の順序の問題など厳密性に欠けるので、ちゃんとやるなら以下でしょうか。

 まず、arctan(x) は奇関数なので、明らかに偶数次項はありません。
(証明したければ奇数次項と同様の方法で示せます)

 ということで、奇数次項だけ考えます。以下、f(x) = arctan(x) とします。

 f'(x) = 1/(1+x2) より、f'(0) = 1

 (1+x2)f'(x) = 1 の両辺を微分していくと、2xf'(x) + (1+x2)f''(x) = 0

 2f'(x) + 4xf''(x) + (1+x2)f'''(x) = 0  ここから、f'''(0) = -2

 6f''(x) + 6xf'''(x) + (1+x^2)f''''(x) = 0

12f'''(x) + 8xf''''(x) + (1+x^2)f'''''(x) = 0  ここから、f'''''(0) = 24

以下、帰納的に、 f^(2n+1)(0) = (-1)n・(2n)! が示されます。よって、定義に従って、

 arctan(x) = x - (1/3)x3 + (1/5)x5 - (1/7)x7 + ……

 2n+1 次まで展開したときの剰余項を r(x) とすると、

r(x) = arctan(x) - x + (1/3)x3 - … - ((-1)n/(2n+1))x2n+1

r'(x) = 1/(1+x2) - 1 + x2 - … - (-x2)n = 1/(1+x2) - (1-(-x2)n+1)/(1+x2) = (-x2)n+1/(1+x2)

 1+x2 ≧ 1 なので、 -x2n+2 ≦ r'(x) ≦ x2n+2

 これは、任意の実数で成り立つので、

  -1/(2n+3)・x2n+3 ≦ r(x) ≦ 1/(2n+3)・x2n+3  (x≧0)

  1/(2n+3)・x2n+3 ≦ r(x) ≦ -1/(2n+3)・x2n+3   (x≦0)

 よって、-1≦x≦1 のとき、 r(x) → 0  (n → ∞)



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