・ n!のある性質                  S.H 氏

 高校で習う自然数 n の階乗 n! は、順列・組合せの計算で活躍するが、数学のいろい
ろなところでも顔を出し、言わば、数学の世界のアイドルである。

 1 から n までの全ての自然数の積を表すものだが、その急激な増加に驚くという意味で、
感嘆符(!)【exclamation mark】 がつくと、高校時代教わったような気がする。

 1!=1
 2!=2
 3!=6
 4!=24
 5!=120
 6!=720
 7!=5040
 8!=40320
 9!=362880
10!=3628800
11!=39916800
12!=479001600
13!=6227020800
14!=87178291200
15!=1307674368000
16!=20922789888000
17!=355687428096000
18!=6402373705728000
19!=121645100408832000
20!=2432902008176640000
21!=51090942171709440000
22!=1124000727777607680000
23!=25852016738884976640000
24!=620448401733239439360000
25!=15511210043330985984000000
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いま、これらの数を素因数分解してみる。

 1!=1
 2!=2
 3!=2×3
 4!=23×3
 5!=23×3×5
 6!=24×32×5
 7!=24×32×5×7
 8!=27×32×5×7
 9!=27×34×5×7
10!=28×34×52×7
11!=28×34×52×7×11
12!=210×35×52×7×11
13!=210×35×52×7×11×13
14!=211×35×52×72×11×13
15!=211×36×53×72×11×13
16!=215×36×53×72×11×13
17!=215×36×53×72×11×13×17
18!=216×38×53×72×11×13×17
19!=216×38×53×72×11×13×17×19
20!=218×38×54×72×11×13×17×19
21!=218×39×54×73×11×13×17×19
22!=219×39×54×73×112×13×17×19
23!=219×39×54×73×112×13×17×19×23
24!=222×310×54×73×112×13×17×19×23
25!=222×310×56×73×112×13×17×19×23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 上記の計算を、「ボーッ!」と眺めていると、いろいろなことに気づかされる。

任意の自然数 n に対して、その階乗 n! は、

 素因数 2 を、2個、5個、6個、9個、12個、13個、14個、17個、・・・ 含むことはない。

 素因数 3 を、3個、7個、・・・ 含むことはない。

 素因数 5 を、5個、・・・ 含むことはない。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 一般に、素因数 p に対して、その個数は必ず飛び飛びの数になるのであろうか?

もし、そうなら、その証明はどうするのだろうか?

 これは、今後の研究課題としよう。

(追記) 平成18年12月25日付けで、HN「暇人13世」さんから、

 「任意の自然数 n に対して、階乗 n! の素因数 p の指数が飛び飛びになる事の証明」

ということでメールをいただいた。平成16年2月14日(今から約3年ほど前!)にアップロ
ードして寝かせたままになっていたもので、再び考える機会を頂いたHN「暇人13世」さん
に心から感謝したい。

 HN「暇人13世」さんよりいただいた証明は下記の通りである。(一部修正)

 (証) F(n,p)={階乗 n! の素因数 p の指数} とおく。

    任意の素数 p に対して、a=p2 とおく。

     このとき、 F(a−1,p)=c とおくと、 F(a,p)の値は、a=p2 なので、

    F(a,p)={ a!=a×(a−1)!=p2×(a−1)!の素因数 p の指数}=2+c

     これは、指数が飛び飛びになる事を意味する。(証終)

(コメント) 素因数 p のみに着目して、とても分かりやすい証明ですね!


 空舟さんが、「n!が素因数pをちょうどX個含む時」を考察されました。
                                       (平成24年3月4日付け)

 Akp=(pk-1)/(p-1) [おなじみの式] とする。(Akbではなく。)

 漸化式 A[k+1,p]=p・A[k,p]+1 、A[1,p]=1 で定めても良い。

例 p=2の場合 1,3,7,15,31,63,127,・・・

   p=3の場合 1,4,13,40,121,364,・・・

 ある階乗 n!が素因数pをちょうどX個含む ⇔ X=Σck・Akp (ck=0、1、・・・、p-1)

 具体的にこのとき n=Σck・pk が適する。

<具体的な判定方法と構成方法>

 Xを、Akpに対する剰余を次々と取ればよい。ck列をp進数のようにして復元すればよい。
適解がない場合は途中でp・Akp の形になる。

例 p=3、X=695 で調べる:

 695/364=1 余り 331 、331/121=2 余り 89 、89/40=2 余り 9

 9/13=0 余り 9 、9/4=2 余り 1

 よって、ck[1,2,3,4,5,6]=[1,2,0,2,2,1] とすれば良い。

 「convert 1220210 in base 3 to base 10」によって、

  n=1・36+2・35+2・34+0・33+2・32+1・31+0=1398 が適するだろう。

例 p=5、X=15(→関連投稿のもの)

 15/6=2 余り 3 より、 n=2・25+3・5=65 が適。


                                             投稿一覧に戻る