・二重級数                          GAI 氏

 nとmを異なる自然数としたとき、

  Σm=1〜∞n=1〜∞ 1/(n2-m2))

は如何なる極限値を持つでしょうか?


 らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月14日付け)

 内側のΣは、mがいくつでも収束し、Σm>n 1/(n2-m2) = -Σn>m 1/(n2-m2) なので、
極限値は、「0」ではないでしょうか。


 スモークマンさんからのコメントです。(平成29年9月14日付け)

 n>m とし、n2-m2=(n+m)(n-m) で、n+m、n-m の偶奇は同じなので、

1/(1*3)+1/(1*5)+1/(1*7)+…
1/(3*5)+1/(3*7)+1/(3*9)+…
1/(5*7)+1/(5*9)+1/(5*11)+…


1/(2*4)+1/(2*6)+1/(2*8)+…
1/(4*6)+1/(4*8)+1/(4*10)+…
1/(6*8)+1/(6*10)+1/(6*12)+…

より、 与式={(1+1/3+1/5+1/7+…)^2+(1+1/2+1/4+1/6+…)^2-ζ(2)-1}/2

 ここで、1+1/2+1/4+1/6+…=1+(1/2)*調和数列=∞ なので、与式=∞ かなぁ ^^...。


(コメント) 「WolframAlpha」先生によれば、「 the series diverges」とのことです。


 GAI さんからのコメントです。(平成29年9月14日付け)

 らすかるさん、スモークマンさん、考察ありがとうございます。私もあまり自信はないのです
が、次のように考えました。

 n≠m より、 Σn=1〜∞ 1/(n2-m2)=Σn=1〜m-1 1/(n2-m2)+Σn=m+1〜∞ 1/(n2-m2)

 これを各mの値について計算させてみたのが、以下PARIでのプログラムで、その結果の表

gp > E(m)=sum(n=1,m-1,1/(n^2-m^2))
gp > F(m)=bestappr(sumpos(n=m+1,1/(n^2-m^2)))
*bestapprは計算結果を最適な分数へする、sumposは∞までの和をとるそれぞれのコマンドです。
gp > for(m=1,10,print(m";"E(m)"+"F(m)"="E(m)+F(m)" VS "3/(4*m^2)))

1;0+3/4=3/4 VS 3/4
2;-1/3+25/48=3/16 VS 3/16
3;-13/40+49/120=1/12 VS 1/12
4;-41/140+761/2240=3/64 VS 3/64
5;-265/1008+7381/25200=3/100 VS 3/100
6;-79091/332640+86021/332640=1/48 VS 1/48
7;-22337/102960+1171733/5045040=3/196 VS 3/196
8;-143839/720720+2436559/11531520=3/256 VS 3/256
9;-4531207/24504480+14274301/73513440=1/108 VS 1/108
10;-267536047/1551950400+11167027/62078016=3/400 VS 3/400

 n=1、・・・、m-1までの和を式で表すことはできなかったですが、n=m+1、・・・、∞に渡る和
(3/4,25/48,49/120,・・・)の方はピタリ(1+1/2+1/3+・・・+1/(2m))/(2m)が対応していく。
(こんなにも規則的な数が対応していくことに驚きました。)

 また、前半のnがm未満である部分の和がマイナス側からだんだん0に近づいてくる、ある
意味、正体不明の数値との和がこれまた不思議にも3/(4m2) で表せる分数にピタリと収ま
る。

 これより、 Σn=1〜∞ 1/(n2-m2)=3/(4m2) と考えられる。
(実際にはもっと大きなmに対しても等号が成立することは確認しました。)

 従って、 Σm=1〜∞n=1〜∞ 1/(n2-m2))=Σm=1〜∞ 3/(4m2)=(3/4)ζ(2)
                                              =(3/4)π2/6 =π2/8(≒1.233700550・・・)
ではないだろうかと考えました。

 あくまで計算機に頼った予測なので、理論的裏付けは分かりません。


 らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月15日付け)

 なるほど、「足す順番が変わると極限が変わる」ことに引っかかってしまいました。問題が、

    lim[k→∞]Σ[m,n=1〜k,m≠n]1/(n^2-m^2)

ならば答えは0ですが、確かに、Σm=1〜∞ Σn=1〜∞,n≠m 1/(n2-m2) は、0 にならないで
すね。...ということで、あらためて計算してみました。

Σn=m+1〜∞ 1/(n2-m2)=Σn=m+1〜∞ 1/{(n+m)(n-m)}=(1/(2m))Σn=m+1〜∞ (1/(n-m)-1/(n+m))

=(1/(2m)){(1/1-1/(2m+1))+(1/2-1/(2m+2))+(1/3-1/(2m+3))+…}=(1/(2m)){1/1+1/2+…+1/(2m)}

=H(2m)/(2m)  ※ H(n)=1/1+1/2+1/3+…+1/n

Σn=1〜m-1 1/(n2-m2)=(-1/(2m))Σn=1〜m-1 (1/(m-n)+1/(m+n))

=(-1/(2m)){(1/(m-1)+1/(m+1))+(1/(m-2)+1/(m+2))+…+(1/1+1/(2m-1))}={1/m-H(2m-1)}/(2m)

なので、

Σn=1〜∞,n≠m 1/(n2-m2)=H(2m)/(2m)+{1/m-H(2m-1)}/(2m)={H(2m)+1/m-H(2m-1)}/(2m)

={1/(2m)+1/m}/(2m)=3/(4m2)

 従って、GAIさんの計算で合っていますね。



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