{x} : x の小数部分を意味するものとする。このとき、S(n)=Σk=1〜n n/k で、S(n)を定義し
ておく。
例 S(3)={3/1}+{3/2}+{3/3}=0+{1+1/2}+0=1/2
S(5)={5/2}+{5/3}+{5/4}={2+1/2}+{1+2/3}+{1+1/4}=1/2+2/3+1/4=5/4
S(7)=1/2+1/3+3/4+2/5+1/6=43/20
などの値となる。さて、このとき、limn→∞ S(n)/n はどんな極限値を持つでしょう?
らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月1日付け)
1-γ=0.4227843350… かな?
GAI さんからのコメントです。(平成29年9月2日付け)
はい、そうです。こんな所にオイラー定数が顔を出すことが、驚きでした。素数定理をアダ
マールとは独立に証明したド・ラ・ヴァレ・プーサンが、この現象を発見したそうです。計算機
で確かめようとしたんですが、収束が遅く、n=10000000 でも相当時間がかかり、なかなか上
記の数値には近づけない状態でした。
らすかるさんはこの予想をどの様な手段で導かれたのですか?なお、このオイラー定数は
未だに有理数か無理数かの決着がついていない数値であるとはびっくりです。
らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月2日付け)
n が大きいとき、 Σk=1〜n 1/k ≒ logn+γ なので、m、nが大きいとき、
Σk=m+1〜n n/k ≒ n(logn-logm) となります。
Σk=1〜n {n/k} のうち、整数部が1になるものは、k=[n/2+1]〜n の範囲なので、その部分
の和は、
Σk=[n/2+1]〜n {n/k} = (Σk=[n/2+1]〜n n/k)-(n-[n/2+1]+1)≒n(logn-log(n/2)-1/2)
※nが十分大きければ誤差は無視できます
=n(logn-logn+log2-1/2)=n(log2-1/2)
同様に、Σ[k=1〜n]{n/k} のうち、整数部が2になるものは、k=[n/3+1]〜[n/2] の範囲なので、
その部分の和は、
Σk=[n/3+1]〜[n/2] {n/k}=(Σk=[n/3+1]〜[n/2] n/k)-2([n/2]-[n/3+1]+1)
≒n(log(n/2)-log(n/3)-1/3)=n(logn-log2-logn+log3-1/3)=n(log3-log2-1/3)
以下同様に、
(整数部が3になる範囲の和)≒n(log4-log3-1/4)
(整数部が4になる範囲の和)≒n(log5-log4-1/5)
・・・
以下、nが非常に大きければ、
(整数部が10^100になる範囲の和)≒n(log(10^100+1)-log(10^100)-1/(10^100+1))
なども成り立ち、これだけ足せば、足していないのは残りのn/(10^100)個ですから、これも無
視できます。
従って、nが大きいとき、
S(n)/n
≒(log2-1/2)+(log3-log2-1/3)+(log4-log3-1/4)+…+{log(10^100+1)-log(10^100)-1/(10^100+1)}
=log(10^100+1)-{1/2+1/3+1/4+…+1/(10^100+1)}
=log(10^100+1)-(log(10^100+1)+γ-1)
=1-γ
のようになりました。この「≒」の部分をきちんと評価すれば、limn→∞ S(n)/n=1-γ が言える
と思います。