・ 調和のとれた等式                S.H氏

 X+Y+Z=0 のとき、

      

が成り立つ。

 何となく、「ボーッ!」と眺めていると、式の美しさが伝わってくるようである。

証明は、易しい。

 A=XY+YZ+ZX 、 B=XYZ とおくと、 X、Y、Z は、P についての 3次方程式

             P3+AP−B=0

の解である。 したがって、 P3=−AP+B より、

          X3=−AX+B
          Y3=−AY+B
          Z3=−AZ+B

辺々加えて、X3+Y3+Z3=−A(X+Y+Z)+3B=3B

また、 P5=−AP3+BP2=−A(−AP+B)+BP2=BP2+A2P−AB

これより、    X5=BX2+A2X−AB
           Y5=BY2+A2Y−AB
            Z5=BZ2+A2Z−AB

辺々加えて、 X5+Y5+Z5=B(X2+Y2+Z2)+A2(X+Y+Z)−3AB
                  =B(X2+Y2+Z2+2A)−5AB
                  =B(X+Y+Z)2−5AB
                  =−5AB

ところで、 X2+Y2+Z2=(X+Y+Z)2−2A=−2A

以上から、    (X3+Y3+Z3)(X2+Y2+Z2)=−6AB すなわち、

         6(X5+Y5+Z5)=5(X3+Y3+Z3)(X2+Y2+Z2)

が成り立つので、等式は成り立つ。

 上記の計算をもう少し機械的に行うために、 T=X+Y+Z とおくと、

漸化式 n+3=−ATn+1+BT (n=0、1、2、・・・) が成り立つ。

 よって、  T0=X0+Y0+Z0=3  、 T1=X1+Y1+Z1=0

    T2=X2+Y2+Z2=(X+Y+Z)2−2A=−2A

    T3=−AT1+BT0=3B  、 T4=−AT2+BT1=2A2

    T5=−AT3+BT2=−3AB−2AB=−5AB

      このとき、 6T5=5・(−2A)・3B=5T23 が成り立つ。

 冒頭の式と同様の式を作ってみよう。

 まず、直ぐ思いつく式は、 T4=2A2 と T2=−2A から作られる 2T4=T2・T2 だが、
今一歩美しさが伝わってこない。

 そこで、 T6=−AT4+BT3=−2A3+3B2

       T7=−AT5+BT4=5A2B+2A2B=7A2

より、 10T7=7(−2A)(−5AB)=7T2・T5

 すなわち、

   X+Y+Z=0 のとき、

       

が成り立つ。

(コメント) これだと、美しい...かな?他にもたくさん作れそうですね!


 Seiichi Manyama さんからのコメントです。(平成28年1月9日付け)

 この話題に関して、「教科書にない高校数学」(石谷 茂 著)に、以下のようなことが載っ
ています。(少し表現を変えています。)

 m、n (m ≦n) を2以上の整数とする。a+b+c=0を満たす任意の数a、b、cに対して、

 (a+b+c)/m×(a+b+c)/n=(am+n+bm+n+cm+n)/(m+n)

⇔ (m,n)=(2,3)、(2,5)


(コメント) ということは、調和のとれた等式というのは、上記であげた2つの式しかないと
      いうことなんですね!もっとたくさんあると思いました...残念です。


 Seiichi Manyama さんからのコメントです。(平成28年1月10日付け)

 上記から、T4/2=T2/2・T2/2 が成り立つのですね。個人的には、T4/4=T2/2・T2/2
でなく残念ですが…。


 S(H)さんから新しい問題が出題されました。(平成28年1月10日付け)

 a+b+c+d=0 のとき、

(a^v + b^v + c^v + d^v)/v
=(a^s + b^s + c^s + d^s)(a^t + b^t + c^t + d^t) (a^u + b^u + c^u + d^u)/(stu)

と拡張したら如何?



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