・ある組合せ                           GAI 氏

 A=[123,199,239,313]、B=[137,177,251,311] の2組では不思議なことに

 123^2+199^2+239^2+313^2=137^2+177^2+251^2+311^2
 123^4+199^4+239^4+313^4=137^4+177^4+251^4+311^4
 123^6+199^6+239^6+313^6=137^6+177^6+251^6+311^6

が成立する。これって、たまたま成立しているのか、それとも何か背景を抱えているのか?
他にこれに類する組合わせはあるのか?...疑問です。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年3月20日付け)

 この問題は、以下の2段階に分かれると思います。

・2組の4有理数で、1乗和、2乗和、3乗和が全て互いに等しくなる条件は何か
・加えて、その8数全てが有理数の平方になる条件は何か
(注:斉次式なので、有理数でも整数でも実質的に違いはありません)

 前半の問題は、2乗和までなら簡単で、a+b+c+d=0 となる4有理数(少なくとも1つは0でない)
を用意して、

 A+at、B+bt、C+ct、D+dt (ただし、t=-2(Aa+Bb+Cc+Dd)/(a^2+b^2+c^2+d^2) )

という4有理数を作ると、A、B、C、D と、1乗和及び2乗和が互いに等しくなり、そして、これ
で全ての解を尽くしています。(この中には順番を入れ替えただけのものも含まれる)

 加えて、3乗和も等しいとすると、

3(A^2*a+B^2*b+C^2*c+D^2*d) + 3(A*a^2+B*b^2+C*c^2+D*d^2)t + (a^3+b^3+c^3+d^3)t^2 = 0

という条件を満たすようにすればいいことになります。

 一見、次数の非常に高い式ですが、A、B、C、D についてだけ見れば、(tの中にいるのも
含めて)二次斉次方程式なので、なんとかならなくもない方程式です。

 一例として、a=1、b=-1、c=2、d=-2 とすると、t=(-A+B-2C+2D)/5 で、3乗和が等しくなる条
件は、

3(A^2-B^2+2C^2-2D^2) + 3(A+B+4C+4D)*(-A+B-2C+2D)/5 + 0*{(-A+B-2C+2D)/5}^2 = 0

 一例として、A=19、B=2、C=5、D=16 は条件を満たすのでこれを使うと、

t=(-19+2-2*5+2*16)/5=1 、A+a*t=19+1*1=20 、B+b*t=2-1*1=1 、C+c*t=5+2*1=7
D+d*t=16-2*1=14

となり、

 19^1+2^1+5^1+16^1=20^1+1^1+7^1+14^1=42
 19^2+2^2+5^2+16^2=20^2+1^2+7^2+14^2=646
 19^3+2^3+5^3+16^3=20^3+1^3+7^3+14^3=11088

という関係式が作れます。
(a、b、c、d のうち2つずつで和が0になる場合、「よく考えると実はわりと自明な式」になりま
すが……)

 そこで、GAIさんの挙げられたものの場合、

a=455, b=-1034, c=735, d=-156 に対し、

A=15129=123^2 、B=39601=199^2 、C=57121=239^2 、D=97969=313^2

とすると条件を満たし、

t=-2(15129*455-39601*1034+57121*735-97969*156)/(455^2+1034^2+735^2+156^2)=8
A+a*t=15129+455*8=18769=137^2
B+b*t=39601-1034*8=31329=177^2
C+c*t=57121+735*8=63001=251^2
D+d*t=97969-156*8=96721=311^2

というように、登場する8つの数の全てが平方数になるという現象が起こっているわけです。
この後半はどうすれば考えられるかは、今のところさっぱり見当がつきません。


 GAI さんからのコメントです。(平成29年3月20日付け)

 A=[a1,a2,a3,a4]、B=[b1,b2,b3,b4] が

A=[2,5,13,16]、B=[1,8,10,17]   A=[3,4,15,16]、B=[1,9,10,18]
A=[4,5,16,17]:B=[2,10,11,19]   A=[3,4,16,17]、B=[1,8,12,19]
A=[4,6,15,17]:B=[3,8,13,18]   A=[4,5,17,18]、B=[2,9,13,20]
A=[5,7,16,18]:B=[4,9,14,19]   A=[2,5,16,19]、B=[1,7,14,20]
  ・・・・・・・・・・・・・

などなど多数発生。これらは全て

 a1+a2+a3+a4=b1+b2+b3+b4
 a1^2+a2^2+a3^2+a4^2=b1^2+b2^2+b3^2+b4^2
 a1^3+a2^3+a3^3+a4^3=b1^3+b2^3+b3^3+b4^3

を満たすことになっていくんですね〜。したがって、この8つの成分が全て平方数で構成され
るものを探すという方針をとればいいのか!


 DD++さんからのコメントです。(平成29年3月20日付け)

 しかし、この話は自明解がやたら多いのが問題点でして。

 2種類のとても自明な解と1種類のわりと自明な解、そして並進と拡大に対する性質の保
存があるため、小さい数字で探すと非自明な解に行き当たることはほとんどないようです。

 とても自明な解その1:t=0 である解

  全く同じ4数が同じ順で出てきますので、自明に成立。

 とても自明な解その2:順序が入れ替わるだけだったパターン

  全く同じ4数が順番を変えて出てくるだけというパターン。これも自明に成立。

 互いに素な整数で考えるとこの自明解に対しては t=±1 になるっぽいですが、t=±1 だと
必ず自明解になるというわけではないようです。

 わりと自明な解:2通りの平方和が等しくなる場合の正負2組ずつ

  例えば、1^2+8^2=4^2+7^2 であることから、[1,-1,8,-8],[4,-4,7,-7] は条件を満たす、など
 のようなもの。1乗和と3乗和は明らかに0になり、2乗和は仮定で成立を保証してあるので、
 ということですね。

 並進に対する性質の保存:

 例えば、上の [1,-1,8,-8],[4,-4,7,-7] について、全てにxを足した

 [x+1,x-1,x+8,x-8],[x+4,x-4,x+7,x-7]

は性質を満たします。というのは、

 (x+1)^n+(x-1)^n+(x+8)^n+(x-8)^n = (x+4)^n+(x-4)^n+(x+7)^n+(x-7)^n

という等式を作ったとき、n次の係数、n-1次の係数、n-2次の係数、n-3次の係数が両辺で
全て一致するわけですが、n≦3 の場合それは全ての係数が一致すること、すなわち、恒等
式になることを意味しますから、任意のxで、n≦3 の3つの式が成立します。最初に、他の
既知解を用いても同様です。なお、このとき、t の値は不変です。

 拡大に対する性質の保存:

 8数全てに同じ数を掛けても性質が崩れないことは、斉次式なので明らかと言っていいで
しょう。なお、このとき、t の値も同じ数を掛けたものに変わります。

というこれらを用いるだけでも、大量の自明解がでてきます。

 例えば、私の例に用いた [2,5,16,19]、[1,7,14,20] ですが、実はこれも自明解です。

 というのも、11^2+17^2=7^2+19^2 なので、[-17,-11,11,17]、[-19,-7,7,19] という自明解が
あり、全部に21を加えると、[4,10,32,38]、[2,14,28,40] となり、さらに全部に1/2を掛けると、
[2,5,16,19]、[1,7,14,20] が得られるわけです。

 というか、a、b、c、d のうち2つずつで和が0になる場合、おそらくこれらに含まれる解しか
出てきません。a=1、b=-2、c=-3、d=4 とかすれば、非自明解も得られると思いますが、如
何せん3乗和が等しくなるための方程式を得るだけでも計算が面倒くさい……。


 GAI さんからのコメントです。(平成29年3月21日付け)

 a=455、b=-1034、c=735、d=-156 に対し、目標のA=[123^2,199^2,239^2,313^2]近辺で
の値で探りをいれると、以下のものが出てきました。(左がA、右がBで、この時tは全て8)
それぞれ 1、2、3乗和で等しくなる。

A                        t    B
15119;39591;57111;97959=>8 VS 18759,31319,62991,96711
15120;39592;57112;97960=>8 VS 18760,31320,62992,96712
15121;39593;57113;97961=>8 VS 18761,31321,62993,96713
15122;39594;57114;97962=>8 VS 18762,31322,62994,96714
15123;39595;57115;97963=>8 VS 18763,31323,62995,96715
15124;39596;57116;97964=>8 VS 18764,31324,62996,96716
15125;39597;57117;97965=>8 VS 18765,31325,62997,96717
15126;39598;57118;97966=>8 VS 18766,31326,62998,96718
15127;39599;57119;97967=>8 VS 18767,31327,62999,96719
15128;39600;57120;97968=>8 VS 18768,31328,63000,96720
15129;39601;57121;97969=>8 VS 18769,31329,63001,96721 *目標のもの
15130;39602;57122;97970=>8 VS 18770,31330,63002,96722
15131;39603;57123;97971=>8 VS 18771,31331,63003,96723
15132;39604;57124;97972=>8 VS 18772,31332,63004,96724
15133;39605;57125;97973=>8 VS 18773,31333,63005,96725
15134;39606;57126;97974=>8 VS 18774,31334,63006,96726
15135;39607;57127;97975=>8 VS 18775,31335,63007,96727
15136;39608;57128;97976=>8 VS 18776,31336,63008,96728
15137;39609;57129;97977=>8 VS 18777,31337,63009,96729
15138;39610;57130;97978=>8 VS 18778,31338,63010,96730
15139;39611;57131;97979=>8 VS 18779,31339,63011,96731


 ただし、123^2±100,199^2±20,239^2±20,313^2±10 の範囲で調査したもの。
(最小の±10に制限されているので、313^2±20で調べれば前後±20で出力されました。)

従って、目的の組合せ周辺はある一定の集団で候補が存在しているんですね。

 問題は、(a,b,c,d)と平方数だけの組合せA=[a1,a2,a3,a4]がどのように繋がっている
のか?これは相当難しい!

 ちなみに、(a,b,c,d)=(1,-2,4,-3)に対して調査していくと、

  A=121^2,191^2,199^2,269^2] 、B=[22441,20881,70801,48961]
(このときt=7800)

は、条件を満たすものの、Bの要素は平方数にならず。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年3月22日付け)

 並進に対する性質の保存ですね。近辺どころか、全整数範囲で同じ数を加えたものが見
つかるはずです。


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