ふと疑問に思った問題。
円 x2+y2=1 上には4つの格子点があります。これらを順に結んでできる四角形の面積は 2
で、円内部の 2/π を占めることになります。
円 x2+y2=2 上には4つの格子点があります。これらを順に結んでできる四角形の面積は 4
で、円内部の 4/2π = 2/π を占めることになります。
円 x2+y2=3 上には格子点がありません。円の内部に占める割合は 0 です。
円 x2+y2=4 上には4つの格子点があります。これらを順に結んでできる四角形の面積は 8
で、円内部の 8/4π = 2/π を占めることになります。
円 x2+y2=5 上には8つの格子点があります。これらを順に結んでできる八角形の面積は 14
で、円内部の 14/5π を占めることになります。
以下同様に x2+y2=n の格子点を順に結んで、内部に占める割合を考えることにします。
(1) 割合が 3.05/π 以上になるような n は存在するか? 存在する場合、最小の n はいくつ?
(すなわち、有名な2003年の東大の問題をこの方法で解けるか?)
(2) 占める割合の上限は? すなわち、任意の n について「割合 ≦ k」を満たす実数 k の最
小値は?
(k≦1 であることは明らかですが、k=1 なのかどうか、つまり占有率は 1 にいくらでも近づく
ことができるのか否か、というのが主眼です)
(3) 無作為に自然数 n を選んだ場合の占める割合の期待値は?
ただし、「無作為に自然数を選ぶ」は、「N以下の自然数を 1/N ずつの確率で選ぶことの
N→∞ 極限」で定義されるものとします。
らすかるさんからのコメントです。(平成29年3月6日付け)
(1) n=5,5^2,5^3,5^4…とすると、格子点が8,12,16,20,…と増えていきますが、実際に計算して
みると、
n=25で74/25π=2.96/π
n=125で378/125π=3.024/π
n=625で1930/625π=3.088/π
のようになり、とりあえずn=625では3.05/π以上になりますね。
(2) n=5,5^2,5^3,5^4…で格子点はいくらでも増えますが、それだけでは占有率が1に近づくと
は言えないですね。でも、「どんなに格子点が多くても隣接格子点との中心角が∃θ>0
以上の箇所がある」とは考えにくいので、多分1に近づくと思います。
(3) nが大きいと素因数の個数が多くなり、4k+3型の素因数がすべて偶数乗である確率も低
くなるので、0でしょうか。
# 調査したところ、最初に3.05以上になるnは、325でした。x2+y2=325 上に格子点は24個
あり、面積は1006で、1006/325π=3.095…/π となります。
nを1から順に増やしていったとき、割合が更新されるnと格子点数・面積・割合のπ倍は以
下のようになります。
n 格子点数 面積 割合のπ倍
1 4 2
2.0000000000
5 8 14
2.8000000000
25 12 74
2.9600000000
65 16 198 3.0461538462
325 24 1006 3.0953846154
1625 32 5054 3.1101538462
1885 32 5874 3.1161803714
2125 32 6622 3.1162352941
4225 36 13178 3.1190532544
5525 48 17270 3.1257918552
9425 48 29514 3.1314588859
32045 64 100426 3.1339054455
71825 72 225150 3.1347024017
112625 64 353106 3.1352364040
138125 80 433258 3.1367095023
160225 96 502742 3.1377250741
204425 96 641646 3.1387843953
1022125 128 3209146 3.1396805674
2657525 144 8344318 3.1398831620
2723825 144 8552930 3.1400438721
これを見る限りでは、やはりkの最小値は1になりそうですね。
DD++さんからのコメントです。(平成29年3月7日付け)
意外と早く1に収束していくのですね。もうちょっと桁数が必要なものかと思っていました。
(3) はやっぱり 0 収束しちゃいますかね。