12には{1,2,3,4,6,12}の約数があり、そのおのおのを3乗して加えると、
1^3+2^3+3^3+4^3+6^3+12^3=2044
となる。一般に、nの約数をそれぞれ r 乗して合計することを、sigma(n,r) で表すことにすると
き、3、5、7、9、13乗での思ってもいない関係式が起こっていることに、アイゼンシュタイン級
数とそれに伴うモジュラ形式の関係式から、次のものが成立することを導くことができました。
他の冪乗では、このような繋がりは存在できないのでしょうか?
一見無関係に見えるこれらの中に、深いところでこんな水脈が流れていることに感動です。
sigma(n,7)=sigma(n,3)+120*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)
11*sigma(n,9)=21*sigma(n,5)-10*sigma(n,3)+5040*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,5)
sigma(n,13)=11*sigma(n,9)-10*sigma(n,3)+2640*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,9)
sigma(n,13)=21*sigma(n,5)-20*sigma(n,7)+10080*Σ[k=1,n-1]sigma(k,5)*sigma(n-k,7)
(コメント) n=4 とすると、sigma(n,7)=1^7+2^7+4^7=1+128+16384=16513
sigma(n,3)=1^3+2^3+4^3=1+8+64=73
Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)
=sigma(1,3)*sigma(3,3)+sigma(2,3)*sigma(2,3)+sigma(3,3)*sigma(1,3)
=1*28+9*9+28*1
=137
よって、 sigma(n,3)+120*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)=73+120*137=16513 より、
sigma(n,7)=sigma(n,3)+120*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)
Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成28年12月20日付け)
J.-P.Serre 著「A Course in Arithmetic」において、
sigma(n,7)=sigma(n,3)+120*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)
11*sigma(n,9)=21*sigma(n,5)-10*sigma(n,3)+5040*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,5)
が載っています。しかし、
sigma(n,13)=11*sigma(n,9)-10*sigma(n,3)+2640*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,9)
sigma(n,13)=21*sigma(n,5)-20*sigma(n,7)+10080*Σ[k=1,n-1]sigma(k,5)*sigma(n-k,7)
はどのように発見されたのでしょうか?
GAI さんからのコメントです。(平成28年12月21日付け)
そのサイトに合わせて記述すれば、 E2*E5=E7 、E3*E4=E7 も成立するので、この関係
式からそれぞれ導けることになります。
Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成28年12月25日付け)
参考サイトでは、上記の関係式は、E4*E10=E14 、E6*E8=E14となります。以下のGAIさん
とのやりとりは、セールの定義ではなく、参考サイトの定義でEを用いております。
Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成28年12月24日付け)
EVAN WARNER 著 「EISENSTEIN SERIES Ek AS POLYNOMIALS IN E4 AND E6」に、
EISENSTEIN SERIES に関する公式がたくさん載っています。(最初の一ページ目でお腹一
杯です。)
GAI さんからのコメントです。(平成28年12月24日付け)
全てのE2nは、E4、E6で構成可能との記事は読んでいたんですが、ここにその結果がある
のですね。情報ありがとうございます。
E8 = E4^2 から、
sigma(n,7)=sigma(n,3)+120*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)
E10 = E4*E6 から、
11*sigma(n,9)=21*sigma(n,5)-10*sigma(n,3)+5040*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,5)
の関係式は導けるんですが、
E12=441/691*E4^3+250/691*E6^2 、E14 = E4^2*E6
からの関係式を導こうとしていますが、どうも成功しません。
(E14=E6*E8なら、
sigma(n,13)=21*sigma(n,5)-20*sigma(n,7)+10080*Σ[k=1,n-1]sigma(k,5)*sigma(n-k,9)
は導けます。)
E12に対しては、
sigma(n,11)=63/13*sigma(n,3)-50/13*sigma(n,5)+15120/13*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,3)
+12600/3*Σ[k=1,n-1]sigma(k,5)*sigma(n-k,5)+129600/13*f(n)
ただし、 f(n)=Σ[i=1,n-2]Σ[j=1,n-(i+1)]sigma(i,3)*sigma(j,3)*sigma(n-(i+j),3)
となるはずと思っているのですが、結果が一致しません。
Seiichi Manyamaさん、sigma(n,11)に関する等式を考えてくれませんか?
Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成28年12月24日付け)
考え中なのですが、以下の方針はどうでしょうか?
E14 = E4^2*E6 = E8*E6 から等式を導いたように、
E12 = 441/691*E4^3 + 250/691*E6^2 = 441/691*E4*E8 + 250/691*E6^2
から等式を導き出せないかと考えております。
話は脱線するのですが、sigma(n,7)、11*sigma(n,9) の2式は、数論U(黒川信重・栗原将人
・斉藤毅)の第9章の演習問題として載っていますね。
検証中ですが、
273*sigma(n,11)=441*(sigma(n,3)+2*sigma(n,7)+480*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,7))
+25*(-42*sigma(n,5)+10584*Σ[k=1,n-1]sigma(k,5)*sigma(n-k,5))
だと思います。検証が終わり次第また報告します。
検証した結果、これで大丈夫です。ちなみに少しだけ等式を書きかえておきます。
273*sigma(n,11)=441*(sigma(n,3)+2*sigma(n,7)+480*Σ[k=1,n-1]sigma(k,3)*sigma(n-k,7))
+1050*(-sigma(n,5)+252*Σ[k=1,n-1]sigma(k,5)*sigma(n-k,5))
GAI さんからのコメントです。(平成28年12月25日付け)
なるほど!次数を2乗まで落とせば作れていくのか。
E16=1617/3617*E4^4+2000/3617*E4*E6^2=1617/3617*E8^2+2000/3617*E6*E10
でもあるので、sigma(n,15)は、sigma(n,7)、sigma(n,5)、sigma(n,9)との間で関係式が作れる。
E18=38367/43867*E4^3*E6+5500/43867*E6^3
=38367/43867*E8*E10+5500/43867*(691/250*E6*E12-441/250*E8*E10)
=15202/43867*E6*E12+28665/43867*E8*E10
でもあるので、sigma(n,17)は、sigma(n,5)、sigma(n,11)、sigma(n,7)、sigma(n,9)と繋がる関係式
を導けることになり、例のうんざりする関係式からはあらゆる奇数冪での約数和の繋がり式
が出現できそうですね。
ついでに、seiichiさんは数論の文献に造詣が深そうなので、例のRamanujanが見つけたと
いう
L(q)=E2(q) 、M(q)=E4(q) 、N(q)=E6(q)
での微分を絡ませた関係式
q*dL/dq=(L^2-M)/12 、q*dM/dq=(L*M-N)/3 、q*dN/dq=(L*N-M^2)/2
は、正に数値計算的にはピタリと等式は確認できるのですが、それをどこから導いているの
かの背景を御存知なら教えて下さい。
また、これに類する他のEで構成することは可能なのでしょうか?
E8、E10、E14(E12は分数が入り込むので避けた)で同様に微分形式を含んだ関係式が作
れないものかと、Ramanujanを見習って挑戦していたんですが、とてもとても見出せるわけに
はいきませんでした。(そもそも存在するのかさえ不明)
そのあたりの情報がありましたらお願いします。
Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成28年12月25日付け)
数学専攻出身ですが、数論には詳しくありません。数学の書籍は宝物のように集めてはい
るのですが…。調べ事は専ら、プログラミング同様検索に頼っています。上記の件は時間は
かかるかもしれないです。
P、Q、Rについて、ラマヌジャン<<ゼータ関数論文集>> 黒川信重、小山信也著 の論文番
号18の表T、表U、表Vに、それぞれ16個、7個、10個の等式が載っています。また、上
記の微分の式は、論文番号18の7(P.96)に載っています。
(追記) 「約数と最大公約数とシグマの関係」と題して、GAIさんよりご投稿いただきました。
(令和元年8月16日付け)
n=4のとき、その約数は、{1,2,4}なので、k=1,2,3,4に対し、gcd(n,k)は、{1,2,1,4}
そこで、納k=1,4] n/gcd(n,k)=4+2+4+1=11 ・・・・・・・ @
ところで、 sigma(n^2,2)=sigma(16,2)=1^2+2^2+4^2+8^2+16^2=341
sigma(n^2,1)=sigma(16,1)=1+2+4+8+16=31
ここに、 sigma(n^2,2)/sigma(n^2,1)=341/31=11 ・・・・・・・ A
で、@=A と一致する。これは、n=4だけで成り立つわけではなく、
n=12なら、約数は、{1,2,3,4,6,12}なので、k=1,2,3,・・・,12に対し、gcd(n,k)は、
{1,2,3,4,1,6,1,4,3,2,1,12}より、
納k=1,12] n/gcd(n,k)=12+6+4+12+2+12+3+4+6+12+1=77 ・・・・・・ @’
ここに、
sigma(n^2,2)=sigma(144,2)
=1^2+ 2^2+ 3^2+ 4^2+ 6^2+ 8^2+ 9^2+ 12^2+ 16^2+ 18^2+ 24^2+ 36^2+ 48^2+
72^2+ 144^2
=31031
signa(n^2,1)=sigma(144,1)
=1+ 2+ 3+ 4+ 6+ 8+ 9+ 12+ 16+ 18+ 24+ 36+ 48+ 72+ 144=403
よって、 sigma(n^2,2)/sigma(n^2,1)=31031/403=77 ・・・・・・ A’
で、やはり一致する。
他のどんなnでも試したが見事一致する。違う作業に見えるものが一致できる理由がいま
いち理解できない?
ちなみに調査している中で異なる5つの自然数で同じ値をとれる組を見つけたんですが、
これが何かを指摘できますか?
らすかるさんからのコメントです。(令和元年8月16日付け)
異なる5つの自然数で同じ値をとれる組を見つけたんですが、これが何かを指摘できます
か?
多分、 3535 、3927 、4040 、4242 、4488 (9121203) のことでしょうね。
他に、6個が同じ:37411 、40579 、43834 、46376 、48195,55080 (1213119999)
8個が同じ:
144935 、161007 、165640 、173922 、176715 、184008 、190890,201960 (14967894123)
などありますね。
#上に書いたように、
f(n)=Σn/gcd(n,k)=sigma(n^2,2)/sigma(n^2,1)=Π{(p[i]^(2e[i]+1)+1)/(p[i]+1)}
となりますので、g(p,e)={p^(2e+1)+1}/(p+1)として各g(p,e)の値を計算して素因数分解すれば、
同じ値になるnを探すことができます。
以下で使う値だけ書きますが、
g(2,1)=3, g(2,2)=11, g(2,3)=43
g(3,1)=7
g(5,1)=21=3*7
g(7,1)=43
g(11,1)=111=3*37
g(17,1)=273=3*7*13
g(101,1)=10101=3*7*13*37
例えば、g(2,1)*g(3,1)=g(5,1) なので、nが「下一桁が5で3でも25でも割り切れない数」のとき、
f(n)=f((6/5)n)となります。
例:f(5)=f(6)=21 、f(35)=f(42)=903
また、g(2,3)=g(7,1) なので、nが「7で割り切れ2でも49で割り切れない数」のとき、
f(n)=f((8/7)n)となります。
例:f(7)=f(8)=43 、f(35)=f(40)=903
そして、上の g(2,3)=g(7,1)=43 と g(5,1)=g(2,1)*g(3,1)=3*7 の他に、
g(2,1)*g(7,1)*g(101,1)=g(2,3)*g(11,1)*g(17,1)=3^2*7*13*37*43
を使うと、
g(2,3)*g(5,1)*g(101,1)=g(5,1)*g(7,1)*g(101,1)=g(2,1)*g(3,1)*g(7,1)*g(101,1)
=g(2,3)*g(3,1)*g(11,1)*g(17,1)=g(3,1)*g(7,1)*g(11,1)*g(17,1)=3^2*7^2*13*37*43
という式が導けて、これが
f(2^3*5*101)=f(5*7*101)=f(2*3*7*101)=f(2^3*3*11*17)=f(3*7*11*17)=3^2*7^2*13*37*43
すなわち、 f(4040)=f(3535)=f(4242)=f(4488)=f(3927)=9121203 の理論的裏付けとなります。
らすかるさんからのコメントです。(令和元年8月17日付け)
他のどんなnでも試したが見事一致する。違う作業に見えるものが一致できる理由がいま
いち理解できない?
【sigma(n^2,2)/sigma(n^2,1)の式】
nが因数p^eを持つとき、
Σ[i=0〜2e]p^i=(p^(2e+1)-1)/(p-1)
Σ[i=0〜2e](p^2)^i=((p^2)^(2e+1)-1)/(p^2-1)
なので、
{Σ[i=0〜2e](p^2)^i}/{Σ[i=0〜2e]p^i}
={((p^2)^(2e+1)-1)/(p^2-1)}/{(p^(2e+1)-1)/(p-1)}
=((p^(2e+1))^2-1)/{(p+1)(p^(2e+1)-1)}
=(p^(2e+1)+1)/(p+1)
よって、n=Πp[i]^e[i] とすれば、
sigma(n^2,2)/sigma(n^2,1)=Π{(p[i]^(2e[i]+1)+1)/(p[i]+1)}
(例:n=12のとき、n=2^2*3 なので、(右辺)=(2^5+1)/(2+1)・(3^3+1)/(3+1)=77)
そして、この右辺は、
Π{(p[i]^(2e[i]+1)+1)/(p[i]+1)}
=Π{p[i]^(2e[i])-p[i]^(2e[i]-1)+p[i]^(2e[i]-2)-p[i]^(2e[i]-3)+…+1}
=Π{p[i]^(2e[i]-1)・(p[i]-1)+p[i]^(2e[i]-3)・(p[i]-1)+…+1} … (1)
と変形できる。
(例:n=12のとき、{2^3*(2-1)+2^1*(2-1)+1}{3^1*(3-1)+1})
【Σn/gcd(n,k)が上式と一致することの確認】
n=Πp[i]^e[i]のとき、1〜nでnと互いに素であるものの個数は、
nΠ(1-1/p[i])=nΠ{(p[i]-1)/p[i]}=Π{p[i]^e[i]・(p[i]-1)/p[i]}=Π{p[i]^(e[i]-1)・(p[i]-1)}
なので、互いに素であるkに関して、n/gcd(n,k)の合計は、
nΠ{p[i]^(e[i]-1)・(p[i]-1)}=Π{p[i]^e[i]・p[i]^(e[i]-1)・(p[i]-1)}=Π{p[i]^(2e[i]-1)・(p[i]-1)}
同様に、n=Πp[i]^e[i]のとき、1〜nでgcd(n,k)=Πp[i]^g[i]であるものの個数は、
m=n/gcd(n,k)=Πp[j]^(e[j]-g[j]) (※jはe[i]≠g[i]である全てのi)
として、1〜mでmと互いに素であるものの個数なので、
mΠ(1-1/p[j])=mΠ{(p[j]-1)/p[j]}=Π{p[j]^(e[j]-g[j])・(p[j]-1)/p[j]}=Π{p[j]^(e[j]-g[j]-1)・(p[j]-1)}
となり、n/gcd(n,k) の合計は、
mΠ{p[j]^(e[j]-g[j]-1)・(p[j]-1)}=Π{p[j]^(e[j]-g[j])・p[j]^(e[j]-g[j]-1)・(p[j]-1)}
=Π{p[j]^(2e[j]-2g[j]-1)・(p[j]-1)} … (2)
従って、これらすべての合計は(1)に等しくなるので、
Σn/gcd(n,k)=sigma(n^2,2)/sigma(n^2,1)
が成り立つ。
(2)の例(n=12の場合)
{2^3*(2-1)+2^1*(2-1)+1}{3^1*(3-1)+1} を分解すると、
2^3*(2-1)・3^1*(3-1)
+2^3*(2-1)・1
+2^1*(2-1)・3^1*(3-1)
+2^1*(2-1)・1
+1・3^1*(3-1)
+1・1
=48+8+12+2+6+1
となりますが、
48はgcd(n,k)=1であるk=1,5,7,11の合計
8はgcd(n,k)=3であるk=3,9の合計
12はgcd(n,k)=2であるk=2,10の合計
2はgcd(n,k)=6であるk=6の合計
6はgcd(n,k)=4であるk=4,8の合計
1はgcd(n,k)=12であるk=12の合計
と見事に一致しています。
GAIさんからのコメントです。(令和元年8月17日付け)
すごく詳しい解析ありがとうございます。とてもよく理解できました。
5000個位を調べて重なる値が起こることに気づいて、ある意味手作業で最多を探すことで
5つ組をやっとの思いで発見した。
頭の中ではもっと重なる組はあるよな〜とは思っていたんですがそれ以上を探す気力は
残っていませんでした。これを難なく8組までを示されてびっくりしました。
数論には色々な小道具が揃っていますが、それぞれの小道具を上手く組み合わせると
思ってもいない役割をこなせる更なる道具が出来上がるんですね。
何と何を組み合わせれば上手くいくのかは詰将棋の解法のような思わぬ発想の転換や閃
きが重要なのでしょう。(nとn^2を絡ませるなんて思ってもいない発想)
ある意味数学は将棋の戦いに似ていると思いました。棋力2級の私もせめて初段になれ
るよう精進したいです。