・筑波大学、恐るべし                     S.H 氏

 筑波大学医学群、平成29年度推薦入試の問題を見て愕然とした。出題者は、受験生を
惑わすような問題を出して平気なのだろうか?

問題1 以下の問いに答えなさい。

問1 0<a<b とする。数列{a}、{b}を次で定める。

   a1=a、b1=b、an+1=√(a)、bn+1=(a+b)/2

  このとき2つの数列{a}、{b}は同一の極限値に収束することを示しなさい。

問2 数列{a}の極限値 limn→∞ を求めなさい。


 問1は、数列{a}が単調増加で上に有界、数列{b}が単調減少で下に有界であることが
数学的帰納法により簡単に示され、収束することが分かり、さらに、同一の極限値に収束す
ることも容易である。

 問題は、問2の方である。果たして高校生が解きうる問題なのだろうか、甚だ疑問である。
問2については、算術幾何平均と言われ、初等関数で表すことは困難であるが、収束はか
なり速い。


 S(H)さんが、収束の様子を調べられた。(平成28年12月4日付け)

 a=19、b=69 と幅があっても瞬時に近づく。

{19.00000000000000000, 69.00000000000000000}
{36.20773398046334520, 44.00000000000000000}
{39.91416158633909210, 40.10386699023167260}
{40.00890185052768189, 40.00901428828538235}
{40.00895806936703393, 40.00895806940653212}
{40.00895806938678303, 40.00895806938678303}
{40.00895806938678303, 40.00895806938678303}


 問1についても、「上に有界な単調増加数列は収束」という事実は高校では教わらないはず
で、これも学習指導要領の範囲外ではないだろうか?まさに筑波大学、恐るべしである。


問題2 空間内に4点A(2,1,0)、B(1,0,1)、C(0,1,2)、D(4,−2,−8)をとる。
    3点A、B、Cを含む平面をαとする。以下の問に答えなさい。

問1 平面αと直交し、大きさが1のベクトル=(h1,h2,h3)を求めなさい。ただし、h1>0
   とする。

問2 平面αに関して点Dと対称な点をEとするとき、点Eの座標を求めなさい。


 この問題2も旧課程の内容を色濃く残している。新課程風に、BA=0、BC=0か
ら解いても出来るが、慣れ親しんだ旧課程の方法で解いてみよう。

問1 平面αの方程式を、ax+by+cz+d=0 (a、b、c、dがともに0になることはない)と

  おくと、3点A(2,1,0)、B(1,0,1)、C(0,1,2)を通ることから、

 2a+b+d=0 、a+c+d=0 、b+2c+d=0

 よって、 (第1式)−(第3式)から、 a=c 、d=−2a で、このとき、 b=0

 以上から、平面αの方程式は、 x+z−2=0

 ベクトル(1,0,1)は平面αに垂直で、 =(1/)(1,0,1)

問2 BEBDDE=(3,−2,−9)+t(1,0,1)=(t+3,−2,t−9) より、

 E(t+4,−2,t−8)

 このとき、DEの中点(t/2+4,−2,t/2−8)が平面α上にあるので、

  t/2+4+t/2−8−2=0 すなわち、 t−6=0 から、 t=6

 よって、 E(10,−2,−2)


 なつさんからのコメントです。(平成28年12月6日付け)

 友人がたまたま受けてて、問題を見せて貰ってたのですが、この問題1には戦慄しました。
問1ならまだしも、問2は算術幾何平均を知らないとどうすればいいんですかね…。


 次の問題3は、医学部の入試問題に相応しい問題だろう。

問題3 ある病気の再発を調査した。以下の問に答えなさい。

問1 A地区では10,000人中2,001人が再発し、B地区では40,000人中7,999人が
  再発した。このとき、再発割合に対する信頼区間の幅について、A地区とB地区の比を求
  めなさい。ただし、信頼度を95%とする。

問2 病院Cでは9人の患者のうち6人が再発した。この9人の患者から無作為に3人を選ん
  だときに、2人が再発患者である確率を求めなさい。ただし、解答は小数点以下2桁まで
  示すこと。


 問2の方は、 6231/93=15/28=0.5357・・・ よって、求める確率は、0.53
かな?



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