有名な遺産問題です。(平成28年8月11日付け)
「ある村に三人の息子が、父の遺言で悩んでいました。11頭の馬を長男が2分の1、次男
が4分の1、三男が6分の1にそれぞれ分けるように書かれてありましたが、分けることがで
きませんでした。
馬に乗った老人がやってきて話を聞き、自分の馬を譲ると言いました。そして、長男が遺言
通り6頭、次男が3頭、三男が2頭貰いました。すると、1頭残り、それを老人は貰って、去っ
ていきました。」
この問題のすごい所は、誰も損をしていません。
この問題を一般化して数式にすると、a、b、cを分ける割合とし、最初に分ける数をn−1と
すると、
n/a+n/b+n/c=n−1 → 1/a+1/b+1/c+1/n=1
この自然数解を求めると、
(n,a,b,c)=(12,6,4,2)、(18,9,3,2)、(20,5,4,2)、(24,8,3,2)
の4通りありました。
4人の相続にすると、(n,a,b,c,d)=(30,10,6,5,2)、・・・
全部でいくつあるのか、なぜ必ず2が含まれるかなど分かりません。
(コメント) 雑誌 「Newton 別冊 厳選 数学パズル」(ニュートンプレス)に「遺産相続」の
問題が掲載されている。(平成28年8月13日付け)
この問題のトリックは、 1/2+1/4+1/6=11/12 で、1より小さいところにある。厳密
に言えば、遺言に忠実に遺産を分けるとすべて分配されず余ってしまう点である。
したがって、1頭足して分配し、余った1頭を返すという発想をとれば解決する。
同様の問題を考えてみよう。
「ある村に四人の息子が、父の遺言で悩んでいました。57頭の馬を長男が3分の1、次
男が4分の1、三男が5分の1、四男が6分の1にそれぞれ分けるように書かれてありました
が、分けることができませんでした。
たくさんの馬を引き連れた老人がやってきて話を聞き、見事に遺言の悩みを解決して去っ
ていきました。さて、老人は、どのように解決したのだろうか?」
(解) 1/3+1/4+1/5+1/6=57/60 なので、老人は自分の馬3頭を加えた60頭につ
いて
60/3=20、60/4=15、60/5=12、60/6=10
と分配し、残った3頭を引き取り、メデタシ、メデタシ。 (終)
また、次のような問題も面白い。
問題 馬が数え切れないくらいたくさんいる。この馬たちを3人A、B、Cで平等に分けること
になった。どのように分ければいいだろうか?
(解) 馬たちを3等分すると、起こり得る場合は次の3通り。
(1)割り切れる (2)1頭余る (3)2頭余る
1頭余ったらAに、2頭余ったらBとCに分ければ、1頭多くもらえる確率は3人とも同じで平
等になる。
問題 馬が数え切れないくらいたくさんいる。この馬たちを2人A、Bで平等に分けることにな
った。どのように分ければいいだろうか?
(解) 馬たちを4等分すると、起こり得る場合は次の4通り。
(1)割り切れる (2)1頭余る (3)2頭余る (4)3頭余る
1頭余ったらAに、2頭余ったらAとBに、3頭余ったらAに1頭、Bに2頭分ければ、1頭多く
もらえる確率は2人とも同じで平等になる。