・お釣りの計算                            DCO 氏

 どこかの高校が「お釣りの計算」で数学の履修扱いとした、そんなことが最近ニュースに取
り上げられていますね。たしかに嘆かわしいことだと思います。

 しかし、数学を志す者としては、「たかがお釣りの計算を履修扱いだなんて!」と考えるの
ではなく、「本当に、【たかがお釣りの計算】で数学はできないのか?」と、そういう視点を持
ちたいものですね。

 たとえば、こんな問題はいかがでしょう。

 Aくんは千円札を1枚だけ持って書店に行き、1冊の本を購入した。その本の税抜価格は3
桁の正の整数であり、消費税は税抜価格の8%のうちの小数点以下を切り上げた額である。

 Aくんは値引きなどを行わず、本の定価(税込価格)千円札1枚で支払うことができたとす
る。

(1) Aくんは支払い時、お釣りを1円以上もらっていることを示せ。

(2) Aくんが受け取るお釣りとして考えられる額は何通りあるか。


(コメント) (2)を考えれば(1)は示されるので、(2)のみを考察しよう。

 本の税抜価格は3桁の正の整数なので、 a・102+b・10+c とおける。

 消費税額は、税抜価格の8%のうちの小数点以下を切り上げた額なので、

 [(a・102+b・10+c)・0.08]=8a+ceiling(0.8・b+0.08・c)

 ceiling(0.8・b+0.08・c)の値の表

c\b
0 1 2 3 4 4 5 6 7 8
1 1 2 3 4 5 5 6 7 8
1 1 2 3 4 5 5 6 7 8
1 2 2 3 4 5 6 6 7 8
1 2 2 3 4 5 6 6 7 8
1 2 2 3 4 5 6 6 7 8
1 2 3 3 4 5 6 7 7 8
1 2 3 3 4 5 6 7 7 8
1 2 3 4 4 5 6 7 8 8
1 2 3 4 4 5 6 7 8 8

 上記の表から、本の定価(税込価格)は、1≦a≦9、0≦b≦9、0≦c≦9 に対して

   a・102+b・10+c+8a+ceiling(0.8・b+0.08・c)

より、108円〜999円まで、826通りの釣り銭の可能性がある。

 次の66通りは出現しない。

109 122 136 149 163 176 190 203 217 230 244 257 271 284 298 311 325 338 352 365 379
392 406 419 433 446 460 473 487 500 514 527 541 554 568 581 595 608 622 635 649 662
676 689 703 716 730 743 757 770 784 797 811 824 838 851 865 878 892 905 919 932 946
959 973 986



                         投稿一覧に戻る