どのような整数に対しても平方数の値をとるような2次の多項式って整数係数の1次式の
2乗であるといえるんですかね?前から疑問でして...。
DD++さんが考察されました。(平成28年2月4日付け)
[問] 二次式 P(x) について、任意の自然数 n について P(n) が平方数になるならば、P(x)
は整数係数の一次式の平方であることを示せ。
[証明] P(x) の二次の係数は明らかに正である。よって、y = f(x) = √P(x) のグラフは、「x軸
対称な双曲線の上半分」か「x軸対称な2本の直線の上半分」のいずれかである。
何れにしても x→∞ において直線であるか、直線に漸近する。その直線を y = g(x) とおく。
g(x) は一次関数であるので、g(x-1) + g(x+1) - 2g(x) = 0 である。
f(x) と g(x) は漸近するので、充分大きなある自然数 N を取ると、
-1/5 < f(N-1) - g(N-1) < 1/5 、-1/5 < f(N) - g(N) < 1/5 、-1/5
< f(N+1) - g(N+1) < 1/5
とできる。第2式を -2 倍して全て足し合わせると、
-4/5 < f(N-1) + f(N+1) - 2f(N) < 4/5
となる。ところで、f(x) = √P(x) で、P(N-1)、P(N)、P(N+1) は全て平方数なので、f(N-1)、f(N)、
f(N+1) は全て整数である。したがって、 f(N-1) + f(N+1) - 2f(N) も整数であるので、先ほどの
不等式を満たすには、 f(N-1) + f(N+1) - 2f(N) = 0 でなければならない。
即ち、y = f(x) のグラフ上には一直線上に並ぶ 3 つの点が存在するので、これは「x軸対称
な2本の直線の上半分」である。つまり、f(x) = |一次式| と表すことが可能であり、f(N)、f(N+1)
がともに整数であるから整数係数であることも明らかである。
よって P(x) = {f(x)}2 は整数係数の一次式の平方である。 (証終)
よおすけさんからのコメントです。(平成28年7月31日付け)
参考として、以下の問題を紹介。
Q(x)を2次式とする。整式P(x)はQ(x)では割り切れないが、{P(x)}2はQ(x)で割り切れるとい
う。このとき、2次方程式 Q(x)=0 は重解を持つことを示せ。
(出典:京都大学前期(2006)の文系3番・理系1番)
(解) Q(x)は2次式なので、Q(x)=0の解をα、βとして、 Q(x)=a(x−α)(x−β) と書
ける。ただし、a≠0である。
さらに、題意より、{P(x)}2=Q(x)・R(x) を満たす整式R(x)が存在する。
このとき、{P(α)}2={P(β)}2=0 から、P(α)=P(β)=0
ここで、α≠β と仮定すると、P(x)=(x−α)(x−β)・S(x)=Q(x)・(S(x)/a)
これは、P(x)がQ(x)で割り切れないことに矛盾する。よって、α=β となり、
Q(x)=a(x−α)2 で、2次方程式 Q(x)=0 は重解を持つ。 (終)
以下、工事中!