・意外な姿                             GAI 氏

 すべての整数Zを、5の剰余で、5つのグループに分ける。

 Z≡1(mod 5) より、 S1={・・・,-19,-14,-9,-4,1,6,11,16,21,・・・}
 Z≡2(mod 5) より、 S2={・・・,-18,-13,-8,-3,2,7,12,17,22,・・・}
 Z≡3(mod 5) より、 S3={・・・,-17,-12,-7,-2,3,8,13,18,23,・・・}
 Z≡4(mod 5) より、 S4={・・・,-16,-11,-6,-1,4,9,14,19,24,・・・}
 Z≡0(mod 5) より、 S5={・・・,-15,-10,-5,-0,5,10,15,20,25,・・・}

 そして、各集合から次の条件を満たすものを集める。

 a+b+c+d+e=0 (ただし、a∈S1、b∈S2、c∈S3、d∈S4、e∈S5)

すると、 (a,b,c,d,e)=(1,2,-2,-1,0)、(1,-3,3,-1,0)、(-4,2,3,-1,0)、(1,-3,-2,4,0)、(1,-3,-2,-1,5),・・・

などがとれるが、ここで、 a^2+b^2+c^2+d^2+e^2 をそれぞれ計算すると、

 1^2+2^2+(-2)^2+(-1)^2=1+4+4+1=10
 1^2+(-3)^2+3^2+(-1)^2=1+9+9+1=20
 (-4)^2+2^2+3^2+(-1)^2=16+4+9+1=30
 1^2+(-3)^2+(-2)^2+4^2=1+9+4+16=30
 1^2+(-3)^2+(-2)^2+(-1)^2+5^2=1+9+4+1+25=40
  ・・・・・・・・・・

の様に、平方和が、10*n (n∈N) を構成していく。そこで、一般に、T(n) を

  a+b+c+d+e=0 かつ a^2+b^2+c^2+d^2+e^2=10*n

である組(a,b,c,d,e)に対し、差積△(a,b,c,d,e)/(1!*2!*3!*4!) を合計した値を集計したものとする。

 ここに、差積△(a,b,c,d,e)=ファンデンモルデ行列式
=Det[{1,1,1,1,1};(a,b,c,d,e};{a^2,b^2,c^2,d^2,e^2};{a^3,b^3,c^3,d^3,e^3};{a^4,b^4,c^4,d^4,e^4}]

等を利用して、

T(1)=△(1,2,-2,-1,0)/(1!*2!*3!*4!)=288/288=1
T(2)=△(1,-3,3,-1,0)-6912/288=-24
T(3)=(△(-4,2,3,-1,0)+△(1,-3,-2,4,0))/(1!*2!*3!*4!)=(36288+36288)/(288)=252
T(4)=(△(1,-3,-2,-1,5)+△・・・)/(1!*2!*3!*4!)

と求めていく。この作業を続けたとき、T(1)、T(2)、T(3)、・・・・、T(10) 程度の(多ければ多い
ほどのデータがあれば尚好ましい。)値を求めて下さい。


 空舟さんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)

 maximaで直接的に、
A:[0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0];
for a:-29 thru 26 step 5 do
for b:-28 thru 27 step 5 do
for c:-27 thru 28 step 5 do
for d:-26 thru 29 step 5 do
[-e:-a-b-c-d, y:(a^2+b^2+c^2+d^2+e^2)/10,
if y<61 then A[y]:A[y]+(b-a)*(c-a)*(d-a)*(e-a)*(c-b)*(d-b)*(e-b)*(d-c)*(e-c)*(e-d)/288];
A;
--------
[1,-24,252,-1472,4830,-6048,-16744,84480,-113643,-115920,534612,-370944,-577738,
401856,1217160,987136,-6905934,2727432,10661420,-7109760,-4219488,-12830688,18643272,21288960,
-25499225,13865712,-73279080,24647168,128406630,-29211840,-52843168,-196706304,134722224,
165742416,-80873520,167282496,-182213314,-255874080,-145589976,408038400,308120442,101267712,-
17125708,-786948864,-548895690,-447438528,2687348496,248758272,-1696965207,611981400,-
1740295368,850430336,-1596055698,1758697920,2582175960,-1414533120,2686677840,-3081759120,-
5189203740,-1791659520]

(→ 参考:「A000594」


 更なる神秘を求めて、GAI さんからのコメントです。(平成27年12月30日付け)

 空舟さんにみつけてもらった列は御指摘の様にラマヌジャンのタウ係数と呼ばれる。この出し方を示したのが
20代でのあの物理学者フリーマン・ダイソンであるとどこかで読んだことがある。
(ラマヌジャンも凄いが、ダイソンも凄い)

 上記の数列を見て、ほとんどの人間はランダムな数字の羅列としか感じないが、ルマヌジャンは、

 ・(m,n)=1 なるm、nに対し、T(m)*T(n)=T(m*n) が成立している。

即ち、 T(2)*T(3)=(-24)*(252)=-6048=T(6) 、T(3)*T(4)=(252)*(-1472)=-370944=T(12)
    T(5)*T(8)=(4830)*(84480)=408038400=T(40)、 ・・・・・・・・・・・・・

 ・すべてのnに対し、Mod[T(n),691]=Mod[nの約数^11の和,691]

即ち、 n=2なら、Mod[-24,691]=667 、Mod[1^11+2^11,691]=Mod[1+2048,691]=Mod[2049,691]=667
    n=6なら、Mod[-6048,691]=Mod[-520,691]=171、Mod[1^11+2^11+3^11+6^11,691]=Mod[362976252,691]=171
    n=12なら、Mod[-370944,691]=Mod[-568,691]=123、
          Mod[1^11+2^11+3^11+4^11+6^11+12^11,691]=Mod[743375541244,691]=123

(その他多数の法則性を見出している。(→ 参考:「タウ函数」)

 よくもこのランダム性の中から11乗や691の大きさの剰余という日常からは考えられない世界での法則に辿り
着けるものだと驚いてしまう。<天才っているんだな〜>

 そこで、これに見習い、あらゆる整数をmod 7 で7つのグループに分け(6つに分けても和を0とすることが出
来ない。)、それぞれから a、b、c、d、e、f、g を取り出したとき、

 a+b+c+d+e+f+g=0 かつ a^2+b^2+c^2+d^2+e^2+f^2+g^2==14*n
(上の条件を満たすものの平方和は必ず14の倍数となる。)

であるものの組合せに対し、差積△(a,b,c,d,e,f,g)/(1!*2!*3!*4!*5!*6!)の計算を合わせた値をU(n)とするとき、

 U(1)、U(2)、U(3)、・・・・・

の列を見つけて下さい。この列に対し、上記のようなラマヌジャンが見つけたような関係があれば発見を!
(いろいろ挑戦したが未だ法則性がみえてこず・・・)


 なおさんからのコメントです。(平成27年12月30日付け)

 専門外なのであまり詳しくないですが、ダイソンによるτ関数の表示式は無限次元リー環の表現論(指標公式)
から導かれるという背景がある(マクドナルドやカッツに仕事)ようなので、その方向で調べてみるのはどうでしょう。

 三町勝久 著 「ダイソンからマクドナルドまで」 群論の進化 (朝倉書店) の第4章が参考文献として役に
立つかもしれません。



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