・新テスト                               S.H 氏

 平成27年12月22日付けで、文部科学省から「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」
で評価すべき能力と記述式問題イメージ例【たたき台】が公表された。

 これは平成32年から始まる大学入試センター試験に代わる新テストに導入される記述式
問題案として公表された。ここに示された問題イメージ例は、記述式問題の出題に当たって
の考え方の方針を示す趣旨で作成したもので、大学入学者選抜の直接のモデル問題として
検討したものではないことが明記されている。

 新聞発表では、「スーパームーン」に関する問題が取り上げられたが、計算的には簡単な
三角比の問題で、数学的な思考力を問う問題かどうかは賛否が分かれるところだろう。

 *スーパームーン・・・ 月が地球に最も近づくタイミングと満月のタイミングが重なるため
               月が通常より大きく見える

 今回公表された問題では、続く第2問の方が注目に値する。しっかりした論証力がないと
解答を作り上げることは至難の業だろう。マークシート的な思考力では太刀打ちできない。

第2問(改題) 学校の屋上から校庭に描かれた四角形を見ている。視点Pに対し、校庭を
        一つの平面と考えた上で、この平面に垂直になるように透明なフィルムを置く。

 このフィルムを通して校庭を見ながら、校庭に描かれた四角形ABCDを写し取ることとした。
ただし、視点Pは、線分B’C’の中点M’と、線分A’D’の中点N’を含むフィルムに垂直な平面
上にあるものとする。

(1) 写し取られた四角形A’B’C’D’が正方形になる場合、校庭に描かれた図形は、
  AD>BCの等脚台形であると言える。この理由を説明しなさい。

(2) 校庭に描かれた四角形ABCDにおける2辺のADとBCの比はどのような式で表される
  か。校庭から視点Pまでの高さをh、フィルム上の正方形A’B’C’D’の辺の長さをd、校庭
  から点B’までの高さをgとして、h、d、gを用いた式で示せ。

    


(1)の解: 理由: sin∠A’PN’=A’N’/PA’ 、sin∠B’PM’=B’M’/PB’ において、題意より、

   A’N’=B’M’ 、PA’<PB’ なので、 sin∠A’PN’>sin∠B’PM’

   よって、 ∠A’PN’>∠B’PM’ すなわち、 ∠A’PD’>∠B’PC’

   さらに、辺ADの方が辺BCより視点Pから遠い位置にある。

  このことから、 AD>BC であると言える。

(2)の解: 上図より、 PM’:PM= x : x+y 、B’C’:BC= x : x+y 、A’D’:AD= x : x+z

      また、B’C’=A’D’ なので、 (x/(x+y))BC=(x/(x+z))AD

   よって、 AD/BC=(x+z)/(x+y)

  ところで、 y : g=(x+y) : h 、 z : (g+d)=(x+z) : h より、

    y=gx/(h−g) 、 z=(g+d)x/(h−g−d)

  このとき、 x+y=x+gx/(h−g)=hx/(h−g)

        x+z=x+(g+d)x/(h−g−d)=hx/(h−g−d)

 なので、 AD/BC=(h−g)/(h−g−d)


(コメント) 高さ15mの位置から高さ14.5mの位置にあるカメラ(レンズ幅0.1m)で校庭
      の四角形ABCDを正方形に写すには、上記の公式から、

        AD/BC=(15−14.5)/(15−14.5−0.1)=1.25

      よって、辺ADの長さを、辺BCの長さの1.25倍にすればよいことが分かる。


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