・和と差                                なお 氏

 整数論の講義で次のような課題を出しました。

(1)任意の整数は連続する平方数の和と差で無限に多くの方法で表わされる事を示してく
  ださい。

例えば、1〜4を連続する平方数の和と差で表すと

1=1
2=−1−4−9+16
3=−1+4
4=−1−4+9

と書けます。

(2)研究課題:『平方数』の部分を他の数列(例えば三角数などの図形数、3乗数などのべ
  き乗数)にした時はどうでしょう。


 at さんからのコメントです。(平成27年12月19日付け)

(1) 任意の整数kに対して、等式: 4=(k+1)2-(k+2)2-(k+3)2+(k+4)2

  および、 0=(k+1)2-(k+2)2-(k+3)2+(k+4)2-(k+5)2+(k+6)2+(k+7)2-(k+8)2

 が成り立つことを使えば、任意の整数は連続する平方数の和と差で無限に多くの方法で
表わされる事を示すことができますね。

(2) 『平方数』の部分を『3乗数』に置き換えた命題が正しいということが、このサイトで報告
  されています。

 等式: -(k+1)3+(k+2)3+(k+3)3-(k+4)3+(k+5)3-(k+6)3-(k+7)3+(k+8)3=48 を使えばいいそ
うです。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年12月20日付け)

 一般項が整式で表される任意の整数列で、初項から(あるいは指定の項からでも)和や
差をとって任意の整数を無限に多くのパターンで作れる必要十分条件は、「数列全体の最
大公約数が1であること」でしょうかね。

 A[n] が最高次係数が a の n 次の整式で書ける整数列として、

任意の整数 k を無限に多くのパターンで作れる

<==> 任意の整数 k を少なくとも1つのパターンで作れる

<==> 任意の整数 k に対して、a*n!*2^(n(n-1)/2) を法として k と合同な数を少なくとも1つ
    のパターンで作れる

<==> 数列全体の最大公約数が1で、任意の整数 k に対して、ある整数 m があって、
    a*n!*2^(n(n-1)/2) を法として k+2m と合同な数を少なくとも1つのパターンで作れる

<==> 数列全体の最大公約数が1で、偶数と奇数を少なくとも1つのパターンで作れる

<==> 数列全体の最大公約数が1である

でいけそう。

 課題になってるそうなのでこれ以上の詳細を書くのは控えた方がよさそうですかね。


 GAI さんからのコメントです。(平成27年12月20日付け)

 なおさんの問題提起に刺激されて...。

 平方和に関してラグランジュが四平方定理として、「どんな自然数も高々4個の平方和で
表せる。」

がある。また、ルジャンドルが、

 「N=4^s(8t+7) s,t:自然数 なる型の自然数Nはちょうど4個の平方和で表せる」

を示している。そこで、これらの問題意識を、この平方の部分を三乗にするとどんな事が起
こるのかを調べているときに思い付いた問題をアップしてみます。

[1] 1万以下のある自然数Nは異なる4つの自然数の三乗和で5通りもの表し方ができると
  いう。即ち、

   N=a1^3+a2^3+a3^3+a4^3=b1^3+b2^3+b3^3+b4^3=c1^3+c2^3+c3^3+c4^3
    =d1^3+d2^3+d3^3+d4^3=e1^3+e2^3+e3^3+e4^3

   (ただしaiは自然数でa1<a2<a3<a4 とする。他も同様)

このときNは?

[2] ある素数pは8つの自然数n1,n2,n3,・・・,n8の三乗和で表せるという。即ち、

  p=n1^3+n2^3+n3^3+・・・+n8^3

 ある素数pとは何か?ただし、自然数は同じものが重なっていても良いとする。

[3] あらゆる自然数は高々何個の三乗数の和で表されるか?


 at さんからのコメントです。(平成27年12月21日付け)

 恐らく題意にはそぐわない解答だと思いますが、あらゆる整数は高々5つの整数の3乗の
和として表すことができます。

 n=n^3+((n-n^3)/6-1)^3+((n-n^3)/6+1)^3+((n^3-n)/6)^3+((n^3-n)/6)^3



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