曲線 y=F(x) を、x 軸方向に p、y軸方向に q だけ平行移動すると、y=F(x−p)+q と
なる。
この公式は、移動前の点の座標を (x,y)、移動後の点の座標を (X,Y)とすると、
X=x+p 、 Y=y+q すなわち、 x=X−p 、y=Y−q
なので、y=F(x) に代入して、 Y−q=F(X−p) から、y=F(x−p)+q と容易に得られ
るわけだが、曲線 y=F(x) を、y軸方向に q だけ平行移動すると、y=F(x)+q であるこ
とは直感的に納得されるのに対して、曲線 y=F(x) を、x 軸方向に p
だけ平行移動すると、
y=F(x−p) となることはなかなか納得してくれない。
私が高校生の頃、曲線の平行移動とともに座標軸の平行移動も学習した。今の教育課程
ではそれほど多くの時間を割く余裕がないので、曲線の平行移動も一般論を教えられる機
会は少なくなっている。
曲線 y=F(x) を、x 軸方向に p、y軸方向に q だけ平行移動すると、y=F(x−p)+q と
なることを、座標軸の平行移動を用いて説明してみよう。
曲線を、x 軸方向に p、y軸方向に q だけ平行移動することは、座標軸を、x 軸方向に −p、
y軸方向に −q だけ平行移動したものと考えられる。すなわち、座標軸の原点が(−p,−q)
に移ったものとみなせる。
座標軸の移動前の点の座標を (x,y)、移動後の点の座標を (X,Y)とすると、
x=X−p 、 y=Y−q
なので、y=F(x) に代入して、 Y−q=F(X−p) すなわち、 y=F(x−p)+q となる。
(コメント) どちらが分かりやすいかは個人差があるので何とも言えないが、これらの変換式
の習熟の方が肝要で、将来的には、多様体の概念に結びついていくような気がす
る。