ある製品は近日中に値上がりするとの噂が流れている。これについて、売り価が x%値上
げされたときには、消費者が買い控えるため、売り上げ個数は、x/2%減少するものと予想
される。
そこで政府は、どのように値上げするとしても、メーカーの収入(売り上げ金額から税金を
引いた金額)が値上げ前より減少するように、値上げ後の売価に対して、税率 r の新税をか
けようとの対策を立案した。
このような税率 r の範囲を求めよ。ただし、値上げ前は無税であったものとする。
(出典:早稲田大学)
(コメント) 値上げ前の売り価をA(円)、売り上げ個数をN(個)とすると、値上げ後の売り価
は、(1+x/100)A(円)で、売り上げ個数は、(1−x/200)N(個)となる。
このとき、メーカーの収入は、
(1+x/100)A・(1−x/200)N・(1−r/100) (円)
値上げ前のメーカーの収入は、 A・N (円)
題意より、 (1+x/100)A・(1−x/200)N・(1−r/100)<A・N なので、
r>100x(100−x)/{(100+x)(200−x)} (...でいいのかな?)
よおすけさんから解答をいただきました。(平成27年10月28日付け)
値上げ前の売り価をA(円)、売り上げ個数をN(個)とすると、値上げ後の売り価は、
(1+x/100)A(円)で、売り上げ個数は、(1−x/200)N(個)となる。
このとき、メーカーの収入は、(1+x/100)A・(1−x/200)N・(1−r/100) (円)
値上げ前のメーカーの収入は、 A・N (円)
題意より、 (1+x/100)A・(1−x/200)N・(1−r/100)<A・N
この式を整理すると、
(1−r/100)(x2/20000)−(1−r/100)(x/200)+r/100>0
これが、すべてのxに対して成り立てばよい。
r=100 のときは明らかに成り立つ。
r≠100 のとき、求める条件は
1−r/100>0 ・・・(*) かつ、
D={(1−r/100)/200}2−4(r/100)(1−r/100)/20000<0
すなわち、 r<100 かつ、 (1−r/100)2−8(r/100)(1−r/100)<0
第2式において、 (1−r/100)(1−9r/100)<0 なので、
100/9<r<100
これは、(*)を満たす。
以上から、求める税率は、 100/9<r≦100
(コメント) よおすけさんの解答を見て、私の解答の不備に気がつきました。「どのように値
上げするとしても」だったんですね。うっかりしました。
税率が11%超なので、メーカーの収入が減るのは当然ですかね?消費税を8%から10
%に上げても税収は増えないと言われている昨今、本当に平成29年の4月には10%に上
がるのでしょうか?税率を低く抑えて消費者の購買意欲をかき立て、企業の活性化を図った
方が税収は大幅に増えると思うのですが...。
DD++さんからのコメントです。(平成27年10月29日付け)
これって r>100 も含めて r>100/9 が答えでは?売り上げの 200% の税金がかかっ
た場合に、売り上げをマイナスにしても税金を受け取れるわけではないと思いますので……。
よおすけさんからのコメントです。(平成27年10月29日付け)
この問題は、丸山儀四郎著「チャート式 数T・UBの徹底整理」のテスト問題のページに載
っていた問題です。(※新制版 第3刷 昭和53年2月1日発行)
略解では、細かいところを除けば、僕が述べた通りに載っていましたが、税率は100%を
上限、という前提で書かれていたのかもしれません。
ご指摘の通り、r>100ではメーカーの収入がマイナスになり、条件は常に成り立つので、
最終的な答えは、「r>100/9」でした。