・相似三角形                            鱒氏

 二次曲線Cと三角形Tが与えられたときに、Tと相似な三角形SがC上に少なくとも一つは
存在する、らしきことを、円の場合は自明、それにより楕円の場合も自明、放物線も平行移
動と相似拡大で簡単に証明できたのですが、双曲線の場合が、これまた「力押し」になって
しまいました……。

 一般の二次曲線について、エレガントな解法ってあるのでしょうか?何やら線形代数と関
係があるらしいですが、高3なので降参って感じです。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年10月11日付け)

 ちゃんと計算せず感覚で言っているので間違ってるかもしれませんが、C が x2 - 3y2 = 1
で T が正三角形の場合って S は存在します?この組み合わせだけは存在しそうな気配を
感じないんですが……。


 空舟さんからのコメントです。(平成27年10月11日付け)

 3点を固定して 双曲線の拡大縮小・回転を許す方針で、双曲線を

   F=ax2+bxy+cy2+dx+ey+f=0

とおいて考察してみました。(所々説明なしで結果だけの記述です)

 漸近線が60度で交わる双曲線 という条件をつけると、

  ax2+bxy+cy2 = (px+qy)(rx+sy)

とおけるとき、(pr+qs)2 = (1/4)(p2+q2)(r2+s2) が条件で、a、b、cで表し

    (a+c)2 = (1/4)(a2+b2+c2-2ac)

 整理して、 3a2-b2+3c2+10ac = 0

 角度を一般化すると、 b2 = (a+c)2/cos2θ - (a-c)2 ・・・ (*)

 特定の3点 (±1,0)、(p,q)を通るとおくと、d=0、f=-a、e=(a-ap2-bpq-cq2)/q が要求され
る。Fを平方完成した時の定数項をDとおいて求めると、

 D = a/q2{a(p-1)2+bq(p-1)+cq2}{a(p+1)2+bq(p+1)+cq2} ・・・ (**)

の符号の変化が双曲線が漸近線のどちら側にくるのかを分ける。

 射影的に考えると、(*)は、2次曲線で、(**)=0 は、3本の直線で、6個の交点を持ちます
が、(p,q)=(0,)のとき、6個の交点はちょうど2重解が3つという状況のようです。

 (*)と(**)=0 の共有点は、図形的には、与えられた3点を通るような退化した双曲線(角度
θで交わる二直線)の存在と対応し、重解を引き起こす状況は、3点のなす三角形の角がθ
と一致する時です。

#高校生ぐらいの時に入試の過去問で放物線上の正三角形を求めさせる問題を見た記憶
 があります。ずいぶん難しそうだなと思った記憶があります。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年10月12日付け)

 重解のみということは、漸近線が角度π/3で交わるとき、(a,b,c) の比を変化させて条件
を満たす双曲線を全て書き尽くしたとき、それらはπ/3側と2π/3側の片側に全て集まって
いる(もちろんそれは2π/3側)というわけですから、私の挙げた例でだけは、三角形を作れ
ないってことでよさそうですね。

 双曲線で特殊な場合を除いての初等的証明です。こんなもんでいかがでしょう。

[補題] (1) 三角形Tが正三角形ではないとき、Tの内角にはπ/3より小さなものとπ/3より
      大きなものがそれぞれ少なくとも1つ存在する。
    (2) 三角形Tの内角にはπ/3以下ものとπ/3以上のものがそれぞれ少なくとも1つ存
      在する。

 Tの最小角をα、最大角をβとすると、3α≦内角の和=π、3β≧内角の和=π であるか
ら、α≦π/3≦β である。等号はどちらも3つの角が等しいとき、すなわち、Tが正三角形
であるときのみ成立。よって示された。


[定理] 双曲線Cと三角形Tが与えられたとする。
「Cの漸近線が曲線のある側になす角がπ/3かつTが正三角形である」という場合を除けば、
Tと相似な三角形SがC上に少なくとも一つは存在する。

 漸近線の曲線のある側になす角をθとする。

(i) 0<θ<π/3 のとき

 三角形Tの内角にはπ/3以上のものがあるので、その角の大きさをαとする。片方の頂点
Pを始点とし、双曲線の軸(内部側)となす角が α/2 である2本の半直線を描く。

 θ<π/3≦α<π であるから θ/2<α/2<π/2 なので、これらの半直線はそれぞれ漸近線
の片方と交わり、その手前で必ず双曲線とも交わっている。

 片方の半直線と双曲線との交点のPでない方をQとする。もうひとつの半直線上に点Rを線
分PRの長さが適切になるように取れば、PR≦PQ かつ △PQR∽T とできる。

 等号のときは、この△PQRが条件を満たしている。以下は不等号の場合を考える。

 このとき点Rは双曲線の内部にある。ここから、点Pを固定し、三角形の相似を保ったまま、
点Qを双曲線にそって点Pから遠ざけていくことを考える。

 十分に遠くなれば、α>θ であるから点Rは途中で漸近線をまたぐので、その手前で必ず
双曲線をまたいでいる。点Rが双曲線をまたぐ瞬間の△PQRが条件を満たしている。

(ii) θ=π/3 のとき

 T は正三角形ではない。よって、三角形Tの内角にはπ/3より大きいものがあるので、その
角の大きさをαとして(i)と同様に示される。

(iii) π/3<θ<π のとき

 三角形Tの内角にはπ/3以下のものがあるので、その角の大きさをαとする。片方の頂点
Pを始点とし、双曲線の軸(外部側)となす角が α/2 である2本の半直線を描く。

 α≦π/3<θ であるから α/2<θ/2 なので、これらの半直線はそれぞれ漸近線の片方と
交わり、その先では漸近線との距離が有限に存在するので必ず双曲線とも交わっている。

 片方の半直線と双曲線との交点のPでない方をQとする。もうひとつの半直線上に点Rを線
分PRの長さが適切になるように取れば、PR≧PQ かつ △PQR∽T とできる。

 等号のときは、この△PQRが条件を満たしている。以下は不等号の場合を考える。

 このとき、点Rは双曲線の内部にある。ここから、点Pを固定し、三角形の相似を保ったま
ま、点Qを双曲線にそって点Pに近づけて、Pではない方の頂点を通り過ぎてからまた遠ざけ
ていくことを考える。

 十分に遠くなれば、点Rは途中で漸近線をまたぐので、その手前で必ず双曲線をまたいで
いる。点Rが双曲線をまたぐ瞬間の△PQRが条件を満たしている。

 (i) (ii) (iii) により、示された。

(二等辺三角形の場合が考慮されてなかったので修正)


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