初項4、公比2 の等比数列の最初の3項は、 4、8、16
初項-1、公比3 の等比数列の最初の3項は、 -1、-3、-9
これら2つの等比数列の和をとると、最初の3項は、3、5、7 と等差数列になる。
しかし、第4項は5になるので、等差数列から外れてしまう。
これについて、問題です。
(1) 初項や公比を変えて最初の4項を等差数列(公差が0でないもの)にすることができるで
しょうか?
(2) 3つの等比数列の和なら最長で何項を等差数列(公差が0でないもの)にすることができ
るでしょうか?
(3) n個の等比数列の和ならどうでしょう?
りらひいさんからのコメントです。(平成27年9月21日付け)
(1)は、できなそう?
(2)は、4項ならできる。5項はできなそう?
例: 初項18、公比2 の等比数列の最初の4項は、 18、36、72、144
初項-9、公比3 の等比数列の最初の4項は、 -9、-27、-81、-243
初項2、公比4 の等比数列の最初の4項は、 2、8、32、128
これら3つの等比数列の和をとると、最初の4項は、 11、17、23、29 と等差数列になる。
しかし第5項は71になるので、等差数列から外れてしまう。
(3)は、n+1項ならできそう? n+2項はできなそう?
まだ頭の中で考えただけで、完全な証明までいってないのでとりあえずここまで。
正しいかどうかはわかりません!(ファンデルモンデとかでてきた・・・)
GAI さんからのコメントです。(平成27年9月21日付け)
「(1)は、できなそう?」に同感です。
(2)の他の例では、初項(a1,a2,a3)=(18,-9,2)に対し、
公比(r1,r2,r3)=(2,3,4) <これがりらひいさんの例>
の他にも、(3,5,7)、(4,7,10)、(5,9,13)、(6,11,16)、(7,13,19)、・・・・・
また、初項(a1,a2,a3)=(24,-8,3)に対しては、
公比(r1,r2,r3)=(2,4,5)、(3,7,9)、(4,10,13)、(5,13,17)、(6,16,21)、(7,19,25)、・・・・・
など、すべて3つの等比数列 {a1・r1n-1}、{a2・r2n-1}、{a3・r3n-1} は条件を満たす。
なお、初項(a1,a2,a3)=(*,-7,4)に対する公比を探しても見つからなかった。
「(3)は、n+1項ならできそう? n+2項はできなそう?」は、私もそうあって欲しい。
りらひいさんからのコメントです。(平成27年9月22日付け)
無理やり作ったよ!(分数だけど許して…)
初項(a1,a2,a3)=(224/25,-7,4)に対して、
公比(r1,r2,r3)=(6,13,15),(11,25,29),(16,37,43),(21,49,57),(26,61,71),(31,73,85),・・・・・
#初項を先に決めるよりも、公比を先に決めるほうがはるかに簡単・・・。
りらひいさんからのコメントです。(平成27年9月24日付け)
DD++さんの問題(3)で、nを1以上の整数とする。n個の等比数列の、項ごとの和を取ったと
き、最長何項の等差数列(公差が0でないもの)が作れるか考える。この最長の項数をT(n)
とおく。
あるnで最長となる等比数列の組の例に、公比が1の等比数列を追加することで項数を維
持したままnを増やせるので、T(n)は非減少である。
i番目(i=1〜n)の等比数列の初項をa[i]、公比をr[i]とおく。初項や公比が0であるものは等
比数列ではないため、a[i]≠0, r[i]≠0 (i=1〜n)
数学的帰納法で書きます。
(あ) n=1 のとき、表記を簡単にするため、a[1]=a, r[1]=r と書く。最初の3項が等差数列に
なると仮定すると、ar2 - ar = ar - a より、a(r-1)2 = 0
a≠0 より、r=1 で、このとき、できる等差数列は公差0のものであるため、不適。
よって、最初の3項が等差数列になることはない。
公比が1でない等比数列の最初の2項ならば条件を満たせるので、T(n)=2
(2項を等差数列というかどうかは微妙だがここではOKとする。)
(い) k≦n-1 のとき、T(k)=k+1 であると仮定する。このとき、n個の場合(n≧2)が、T(n)=n+1
であることを示す。
i番目の等比数列の公比が1であるとき、その等比数列はすべての項が同じ数となる。こ
れはi番目を除くn-1個の等比数列の和にオフセットを与えるだけで、和が等差数列になる
かどうかに寄与しない。
そのため、このときは、n-1個の場合の最大値を考えればよいが、仮定によりそれはす
でに求まっている。
よって、以下では、r[i]≠1 (i=1〜n) を満たすもののみ考える。
i番目とj番目(i≠j)の等比数列の公比が等しいとき、その2つの等比数列の和は初項a[i]+a[j]、
公比r[i]の等比数列となる。
そのため、このときもn-1個の場合を考えればよいことになるが、仮定によりそれはすでに
求まっている。
よって、以下では、r[i]≠r[j] (i≠j) を満たすもののみ考える。
n+2項を等差数列にすることができないことを背理法で示す。
n個の等比数列の和の最初のn+2項が等比数列になると仮定する。このときの条件を書き
下すと、次のn本の連立方程式になる。
(表記を簡単にするため、Σ[i=1〜n] を Σ と書くことにする。)
Σa[i]r[i]^2 - Σa[i]r[i] = Σa[i]r[i] - Σa[i]
Σa[i]r[i]^3 - Σa[i]r[i]^2 = Σa[i]r[i] - Σa[i]
Σa[i]r[i]^4 - Σa[i]r[i]^3 = Σa[i]r[i] - Σa[i]
…
Σa[i]r[i]^(n+1) - Σa[i]r[i]^n = Σa[i]r[i] - Σa[i]
整理すると、
Σa[i](r[i]-1)^2=0
Σa[i](r[i]-1)^2(r[i]+1)=0
Σa[i](r[i]-1)^2(r[i]^2+r[i]+1)=0
…
Σa[i](r[i]-1)^2(r[i]^(n-1)+r[i]^(n-2)+…+1)=0
これらの式を、r[i] (i=1〜n) を固定して、a[i] (i=1〜n) を変数とする方程式とみなすと、n次
の同次連立一次方程式となっている。この連立方程式の係数行列をFとすると、
F={{(r[1]-1)^2,…,(r[n]-1)^2},{(r[1]-1)^2(r[1]+1),…,(r[n]-1)^2(r[n]+1)},
…,{(r[1]-1)^2(r[1]^(n-1)+…+1),…,(r[n]-1)^2(r[n]^(n-1)+…+1)}}
a[i]≠0 から、この連立方程式が非自明解をもつ必要がある。そのための条件は、係数行
列のランクが未知数の数(n)より小さいことだが、この場合はFが正方行列なのでdet(F)=0と
いうこともできる。
det(F)=(Π[i=1〜n](r[i]-1)^2)×det{{1,…,1},{r[1]+1,…, r[n]+1},…,
{r[1]^(n-1)+…+1,…,r[n]^(n-1)+…+1}}
=(Π[i=1〜n](r[i]-1)^2)×det{{1,…,1},{r[1],…,r[n]},…,
{r[1]^(n-1),…,r[n]^(n-1)}}
=(Π[i=1〜n](r[i]-1)^2)×(Π[1≦i<j≦n](r[j]-r[i]))
これが0になることが必要だが、条件より、r[i]-1≠0 (i=1〜n) かつ r[j]-r[i]≠0 (i≠j) で考
えているため det(F)≠0 となり非自明解が存在せず矛盾。
よって、n個の等比数列の和の最初のn+2項が等比数列になることはない。
次に、n+1項が可能なことを示す。
n+1項が等差数列になっているとき、上の連立方程式の最後のひとつの式がなくなる。そ
のため、係数行列がn-1行になり、ランクがn-1以下になる。(正確にはn-1になる。)
未知数がn個でランクがn-1以下であるため、この斉次連立連立方程式は非自明解を持つ。
このとき、非自明解が a[i]≠0 (i=0〜n) を満たしていることを示す。
いま、a[t]=0 である非自明解が存在すると仮定する。
このとき、a[i](i≠t)は次のn-1本の式を満たすことになる。
Σ[i≠t]a[i](r[i]-1)^2=0
Σ[i≠t]a[i](r[i]-1)^2(r[i]+1)=0
…
Σ[i≠t]a[i](r[i]-1)^2(r[i]^(n-2)+…+1)=0
すると、先ほどと同じ流れでa[i](i≠t)が非自明解を持たないことを示すことができるため、
仮定と矛盾する。
よって、n+1項が等差数列になっているとき、非自明解は a[i]≠0 (i=1〜n)
を満たしている。
以上より、r[i]≠1 (i=1〜n) かつ r[i]≠r[j] (i≠j) を満たす適当なr[i] (i=1〜n) を定め、連立
方程式を解いてa[i] (i=1〜n) を求めれば、n+1項を等差数列にできることが示された。
r[i]=1のときおよびr[i]=r[j](i≠j)のときは最長項数がn項以下であるため、n+1項が最長で
ありT(n)=n+1が示された。
数学的帰納法より、T(n)=n+1 となる。
#ここまで書いておきながら、T(n)=n+1でいいのかを含めていまだにちょびっと自信がないで
す。もし間違いや不備などがありましたら教えてください。もっと簡単に示すことができるの
かもしれませんが、最初の思考過程をそのまま書き下したらこうなりました。書くのに時間
がかかった・・・。
ちなみに、n+1項の等差数列を作るためのn-1本の条件式
Σa[i](r[i]-1)^2=0
Σa[i](r[i]-1)^2(r[i]+1)=0
…
Σa[i](r[i]-1)^2(r[i]^(n-2)+…+1)=0
は、次のように変形することもできます。
Σa[i](r[i]-1)^2=0
Σa[i](r[i]-1)^3=0
…
Σa[i](r[i]-1)^n=0
よって、ある a[i], r[i] (i=1〜n) がこの条件を満たしているならば、c,dをc,d≠0として、d*a[i],
c(r[i]-1)+1 (i=1〜n) も条件を満たすことは明らかですね。
DD++さんからのコメントです。(平成27年9月25日付け)
正解です。おめでとうございます。私自身もほとんど同じ証明でやりました。
2つほど補足を。
Σa[i]r[i]^2 - Σa[i]r[i] = Σa[i]r[i]
- Σa[i]
Σa[i]r[i]^3 - Σa[i]r[i]^2 = Σa[i]r[i] - Σa[i]
Σa[i]r[i]^4 - Σa[i]r[i]^3 = Σa[i]r[i] - Σa[i]
において、
Σa[i]r[i]^2 - Σa[i]r[i] = Σa[i]r[i] - Σa[i]
Σa[i]r[i]^3 - Σa[i]r[i]^2 = Σa[i]r[i]^2 - Σa[i]r[i]
Σa[i]r[i]^4 - Σa[i]r[i]^3 = Σa[i]r[i]^3 - Σa[i]r[i]^2
だとこの後の計算が少し楽です。等差中項というやつですね。また、n+1項の等差数列の存
在の証明は、具体例を作ってしまうこんな方法もあります。
x<0 として、二項定理より、 Σ[k=0..n] nCk x^k = (1+x)^n
両辺から1を引いて、xで割ると、 Σ[k=1..n] nCk x^(k-1) = (1+x)^n/x -
1/x
両辺を積分して、 Σ[k=1..n] {nCk/k} x^k = I(x) - log(-x) + a
ただし、I(x) は (1+x)^n/x の原始関数の1つ、aは何らかの定数
これに「xをかけてxで微分」を繰り返し行うことを考える。
左辺は、
0回:Σ[k=1..n] {nCk/k} x^k
1回:Σ[k=1..n] {nCk/k} x^k (k+1)
2回:Σ[k=1..n] {nCk/k} x^k (k+1)^2
3回:Σ[k=1..n] {nCk/k} x^k (k+1)^3
……
n回:Σ[k=1..n] {nCk/k} x^k (k+1)^n
となり、x=-1 とすると、初項 {nCk/k} (-1)k、公比 k+1、項数 n+1 なるn個の等比数列の和と
なっている。
一方右辺は、 {xI(x)}' = I(x) + (1+x)^n 、{xlog(-x)}' = log(-x) + 1 、(xa)'
= a
{x(1+x)^m×何か}' = (1+x)^(m-1)×何か
あたりを用いると、
0回:I(x) - log(-x) + a
1回:I(x) - log(-x) + a - 1 + (1+x)^n
2回:I(x) - log(-x) + a - 2 + (1+x)^(n-1)×何か
3回:I(x) - log(-x) + a - 3 + (1+x)^(n-2)×何か
……
n回:I(x) - log(-x) + a - n + (1+x)^1×何か
となり、x=-1 とすると初項 I(-1)+a 公差 -1 項数 n+1 の等差数列となっている。
したがって、1≦k≦n で初項 {nCk/k} (-1)k、公比 k+1 のn個の数列が条件を満たす一例
である。
例えば、n=3 の場合、 初項 3C1/1 (-1)^1 = -3 公比 1+1 = 2
初項 3C2/2 (-1)^2 = 3/2 公比 2+1 = 3
初項 3C3/3 (-1)^3 = -1/3 公比 1+1 = 4
と用意すれば公差 -1 の等差数列ができます。
(これを-6倍するとりらひいさんが最初に作った数列になります)
りらひいさんからのコメントです。(平成27年9月25日付け)
DD++さん、答合わせありがとうございます。ほっとしました。等差中項の考えだと確かに計
算が少し楽ですね。因数分解も簡単になりますし、行列式はくくり出すだけでVandermonde
行列式になって変形が省けますね。