・5次方程式                             空舟氏

 a=2^(1/5) の整数係数多項式で表される数bを適当に決めます。例えば、b=a4+2a2+3

 bの最小多項式は、終結式 [resultant(b-(a^4+2a^2+3),a^5-2,a)] を使って

  b5-15b4+90b3-310b2+485b-267=0

と分かります。そこで、逆に、この方程式を与えられた時に、b=a4+2a2+3 を復元する手順
はあるでしょうか?(bがaの整数係数多項式で表されることを既知としても良い)

 例として、ちょっと数値を変えた別の数の最小多項式

  c5+20c4+180c3+1380c2+11720c+51222=0

から、c =(aの整数係数多項式) を求められますか?
(直接計算しようとすると高次の連立方程式で困難そうでした)


 DD++さんからのコメントです。(平成27年8月24日付け)

 c=-2a4-2a3+4a2-3a-4 ですかね?手計算じゃさすがに無理すぎたので、WolframAlpha先
生の助けを借りながらでしたが、なんとか総当りせずに答えが出ました。

 -2・2^(4/5)-2・2^(3/5)+4・2^(2/5)-3・2^(1/5)-4 の最小多項式を計算してもらうと、最初の
式になるので多分合ってるのでしょう。問題はこの方法が果たして一般的に使用できるのか
どうかですが...。

 とりあえず解きながら残してたメモを以下に記載します。説明とかする気が微塵もないもの
ですが、何をしようとしているかはなんとなく察していただけるかと。

---解く間に残したメモ---

c5+20c4+180c3+1380c2+11720c+51222=0 において、c=d-4とおくと、

d5+20d3+500d2+5480d+18998=0 さらに、d=ae とおくと、e5+10a3e3+250a2e2+2740ae+9499=0

resultant(e5+10a3e3+250a2e2+2740ae+9499,a5-2,a)=(e5+15e4+50e3+70e2+2525e+9499)×[20次式]

e5+15e4+50e3+70e2+2525e+9499=0 を採用、e=f-3 とおくと、f5-40f3+160f2+2240f+2176=0

f=ag とおくと、g5-20a3g3+80a2g2+1120ag+1088=0

resultant(g5-20a3g3+80a2g2+1120ag+1088,a5-2,a)=(g5-20g4+160g3-560g2+480g+1088)×[20次式]

g5-20g4+160g3-560g2+480g+1088=0 を採用、g=h+4 とおくと、h5+80h2-160h+192=0

h=ai とおくと、i5+40a2i2-80ai+96=0

resultant(i5+40a2i2-80ai+96,a5-2,a)=(i5+10i4+40i3+80i2+80i+96)×[20次式]

i5+10i4+40i3+80i2+80i+96=0 を採用、i=j-2 とおくと、j5+64=0

よって、j=-2a から遡って、c=-2a4-2a3+4a2-3a-4


 空舟さんからのコメントです。(平成27年12月19日付け)

 冒頭で、次のような課題を提示しました。(FGαβ問題とでも呼びましょうか)

 「ある既知の方程式 F(x)=0 の解αに対して、αの未知の多項式 β=g(α) があって、β
 が満たす方程式 G(y)=0 が分かっている時、そのような多項式g(α)を求めることができる
 か」

 α=2^(1/5) の時に、DD++さんが良い方法を見つけてくれました。

 F(x)を違うパターンにすると、同様の方法はうまくいかなさそうでした。また問題として出題
してみます。

[1] F(x)=x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1=0 の解 α=exp(2πi/7) に対して、
  G(y)=y^6-4y^5+44y^4-50y^3+39y^2+12y+1

[2] F(x)=x^5+x^4-4x^3-3x^2+3x+1=0 の解 α=2cos(2πi/11) に対して、
  G(x)=y^5+8y^4-3y^3-18y^2-10y-1


 DD++さんからのコメントです。(平成27年12月20日付け)

 あれができるのは、最小多項式が x^n=k の形のときだけでしたね。最小多項式の解の和、
二乗和、三乗和、……、n-1 乗和 が全て0になることを用いているので。

 今回の場合は難しそう。


(追記) 空舟さんから、上記の問題の解決に出会ったことの紹介をいただきました。
                                       (平成28年2月19日付け)
 数理解析研究所講究録第722 巻1990 年17-20

 元吉文男 著 (電子技術総合研究所)
  巡回群をガロア群に持つ5 次方程式の判別とその解法

に出会いました。

 G(x)=x5+x4-4x3-3x2+3x+1 、F(y)=y5+8y4-3y3-18y2-10y-1
 resultant(F(x-a),G(a),a),factor;

  5次の因子を5つ得るので、その1つをrとして、r:x5+9x4-16x3-53x2+37x+23

divide(divide(F(x-a),r,x)[2], G(a),a)[2]・・・4次式
divide(divide(r,%,x)[2], G(a),a)[2]・・・3次式
divide(divide(r,%,x)[2], G(a),a)[2]・・・2次式
s:divide(divide(r,%,x)[2], G(a),a)[2]・・・1次式
s:num(s); g:diff(s,x);

 sにおけるxの1次の係数g(a)の逆元を求めて、sに掛ける。

N:5;
res: makelist(0,N)$
ans: sum( c[k]*a^k , k,0,N-1 )$
tes: divide (g*ans-1,G(a),a)[2]$
for i:1 thru N do
[res[i]:ev(tes,a=0), tes:diff(tes,a)]$
divide(ev(ans,solve(res))*s,G(a),a)[2],factor;

により、x+a4-2a2-2a を得ます。これに、aを足したものが F(x)の因子となる、つまり、
x=-a4-2a2+a が F(x)の解の1つであることを得ます。同ページの他の問題にも有効でした。



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