・ダイエットを求めて                     GAI 氏

 S={1,2,3,・・・,n}のn人が、テレビのCMにつられてライザックにダイエット効果を期待し
て来店した。ただし、数字3の人は体重3(kg)、数字32の人は体重32(kg)であるものとする。
(一般に、数字kの人の体重k(kg)と仮定する。)

 さて、全員2ヶ月間の特訓の成果を見てみると、全ての人の体重は、元の体重を割り切る
最大の奇数まで落ちていた。即ち、1→1、2→1、3→3、4→1、5→5、6→3、・・・。

 なお、ここのお店では訓練前の全員の体重の合計T(n)と訓練後の全員の体重の合計D(n)
を計測しており、T(n):D(n) = a:b (a、bは互いに素) ・・・・・(*) のデータを基に、次なるコ
マーシャルを企画。

 さて、(*)のデータが最も多く集まれるnが存在するのは、a:b が何のときだろうか?
(次回コマーシャルキャッチフレーズ:お越しになったお客様は、平均100(a-b)/a(%)の減量
に成功)


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年6月26日付け)

 「(*)のデータが最も多く集まれる」とはどういう意味ですか?

 私の解釈では、「(*)のデータ」 → nに対して一つ決まるa:b のこと。これは、nに対して一
つに決まる値であって、nがいくつであっても「(*)のデータ」は一つだから、「(*)のデータが
多く(2個以上)集まる」ことはない→ 「(*)のデータが最も多く集まれる」は意味不明、となっ
てしまいます。


 GAI さんからのコメントです。(平成27年6月26日付け)

 ほとんどは、a:bに対するnはそれぞれ1個決まります。(逆に、nに対しては、a:bはユニー
クに決まる。)

 例えば、a:b=6:5 → n=3、a:b=5:3 → n=4、a:b=15:11 → n=5 など。

 ところが、ある特殊な a:b の比に対しては不思議ですが、実は、これを満たすnが多数存
在可能です。(無数)


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年6月26日付け)

 「T(n):D(n)がどういう比になるケースが最も多いか」ですね?それでしたら、n=2m-2のとき

  T(n)=(4m-3・2m+2)/2 、D(n)=(4m-3・2m+2)/3

になりますので、3:2だと思います。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年6月26日付け)

 私も意味不明な問題だなあと思ったのですが、補足を見て意味不明だった原因がわかり
ました。問題点は2つあると思います。

1つめ。
 「(*)のデータが最も多く集まれるn」という表現は、nを変化させてデータ数を考える時に使
用する日本語なので、これがGAIさんの意図したかったであろう内容と完全に違ってしまって
いる点。

2つめ。
 問題文できちんと時系列を統一しなくてはならなかったという点。この問題の文は時間的
な因果が存在します。しかし、数学だからといって時間的因果を好き勝手していいわけでは
なく、むしろそのような扱いをすると往々にして意味不明になります。

例:「怒られなければ勉強しない」の対偶は「勉強すれば怒られる」(?)

 今回も、「nが最多になるように a:b を決める」という表現では、「最も多くの過去を持つた
めには未来で何をすればいい?」という形になってしまい、意味が全くわからなくなっていま
す。

 補足で意図を汲み取った上で解答すると、答えは、「そのような a:b は存在しない」だと思
います。

 「3:2」のとき無数にnが存在することは、らすかるさんが既に示されています。しかし、値が
無限大になるときには、最大値は存在しないとするのが数学では普通です。ですから、個数
が無限に多いパターンが存在するということは最多になることがないとすべきで、ならば、そ
のような a:b も存在するはずがありません。


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年6月26日付け)

 細かい話には詳しくありませんので愚問だったらごめんなさい。

 「最大値が存在する」と「最多のものが決められる」ことは同値なのでしょうか?

 例えば、3:2以外がすべて有限個だった場合、有限個よりは無限個の方が「多い」ので、
「3:2の場合が最多」と言えるような気がしますが、そう言ってはいけないのでしょうか。

 元の質問は、「nのとる値が最大個数になる a:b は?」ではなく、「nのとる値が最も多い
a:bは?」なので、必ずしも最大値が存在しなくても(もし3:2だけが無限個ならば)答えは、
3:2と言えそうな気がするのですが…。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 例えば、y=1/x2 なる関数で、x=0 で値は持ちません。しかし、x=0 以外での値は有限です。
このとき、「最大値はないけど、最大を取る場所はx=0だ」という主張が通るかといえば、通ら
ないと思うんですよ。

 今回の場合とは連続的か離散的かという差はありますが、その差って、これに影響するよ
うなものでしょうか?


 GAI さんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 こんな議論を起こそうとは思ってもいませんでした。ただ面白く問題を作ってみようと、数学
的正確さを欠いた表現で何気なく出題したまでで他意はありません。この趣旨をご理解の上、
素人愛好家の遊びとしてお付き合い下さい。

 これは全く見当外れかも知れませんが、サイコロの1の目が出る確率を1/6としている根拠
は、何度もサイコロを転がし(無限回)、その相対度数を計測した極限値としての数量と議論
していると思っていたので、”解はない”と言われると あれ?となぜかわからないが感覚的
に思ってしまいました。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 無限がなぜまともに取り扱えないかというと、有限だと順番が変わっても問題ないものが、
無限になると順番を変えると答えが変わる場合があるからなんですね。例えば、全ての自
然数の足し算は、小さい順に足していけば発散するのに対して、別の計算順では、-1/12
にもなるというのは有名です。

 上記の確率の場合は、「試行順の早い方からN回目までを考えることにして、N→∞とする」
というように、順序の指定を含んでいるので問題ないのです。GAIさんの問題も、「n<Nのデ
ータのうち最も重複数の多い結果 a:b は、N→∞としたときいくつになるか?」というような内
容なら、無事に、3:2 と答えられます。
(しかし、GAIさんの出題意図からするとこれは些か大仰になってしまいますね……)


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 y=1/x2 の例えは、ちょっと違うと思います。x=0では未定義ですから、「最大値をとらない」
だけでなく「最大」とも言えません。それに対して前の話は、仮の話として、3:2以外の最大個
数が100個だったとすると、「3:2が101個以上ある」ことが言えれば「最多」と言えるのではな
いかと思うのですが、いかがでしょうか。

# 同様の例で、たとえば「奇素数は偶素数より多い」というのは、数学的には正しくないという
 ことになるのでしょうか。もし、それが一般的に「正しくない」とされているのでしたら、上の質
 問は撤回します。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 その質問については、答えは、「正しい」のはずです。というのは、偶素数は1つであり、素
数を1つずつ並べた任意の(←ここ大事)素数列において、3個(←有限)以内に奇素数が2個
以上存在するので。

 しかし、今回の場合は、実は、この話とは少し違う点があり、わざわざひねくれて、

「全ての自然数nを

・奇数同士は小さい方が優先
・偶数同士は小さい方が優先
・奇数と偶数は大きさに関わらず奇数が優先

という順序付けで並べ、前からN個の重複度を考えることにしてN→∞とする」とすると、全自
然数を考えているにも関わらず、どんなにNを大きくとっても、2m-2に該当する全ての数は
遥か未来にあり、3:2になるようなnはそこまでで0個、もちろん最多ではありません。

 「3:2が101個以上ある」ことが言えれば「最多」と言えるのではないかと思うのですが・・・

については、正しくは「どんな順番で探しても有限のうちに3:2が101個(仮)以上ある」ことが
必要で、実際に、有限のうちに101個(仮)見つからない反例を作れてしまうので、与えられた
条件だけでは、3:2が最多であるとは断言できないのです、でよかったはず。私の記憶が正
しければ。


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 なるほど。ということは、「3:2でないものが無限個」の場合は言えず、「3:2でないものが有
限個」であれば言えるということですね。実感と合わず、しっくりは来ていませんが、とりあえ
ずそれで納得することにします。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 そういうことになりますね。無限が絡むと、実感と合わない結果になることも多いですからね。
常識的にこうでしょう、というのは常識が通じる相手にしか使えない、と。


 GAI さんからのコメントです。(平成27年6月27日付け)

 らすかるさんとDD++さんの議論面白く拝聴させて頂きました。これって、リーマンの予想で
ゼータ関数の零点sが全てが実軸1/2上に並ぶことをハーディーが証明したと思ったが、これ
は他の部分に一つも零点が存在しないことを示さない限り完成していないことを指摘されて
それ以来ハーディーはこの問題に二度と戻ることをしなかったという記事を読んだことを思
い出します。いやー、無限は不可思議で奥深い!



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