・センター試験                        S.H.氏

 平成27年度の大学入試センター試験も無事に終わった。数学U・数学Bが非常に難しく、
途中で泣きたくなったと感想を漏らす受験生もいて、どんな問題だったのか興味本位でのぞ
いてみた。

第1問 [1] Oを原点とする座標平面上の2点P(2cosθ,2sinθ)、
   Q(2cosθ+cos7θ,2sinθ+sin7θ)を考える。ただし、π/8≦θ≦π/4とする。

(1) OP=(  )、PQ=(  )である。また、
   OQ2=(  )+(  )(cos7θcosθ+sin7θsinθ)
      =(  )+(  )cos(  )θ

  よって、π/8≦θ≦π/4の範囲で、OQは、θ=(  )のとき最大値(  )をとる。

(2) 3点O、P、Qが一直線上にあるようなθの値を求めよう。
   直線OPを表す方程式は、(  )である。このことにより、π/8≦θ≦π/4の範囲で、
   3点O、P、Qが一直線上にあるのは、θ=(  )のときであることがわかる。

(3) ∠OQPが直角となるのはOQ=(  )のときである。したがって、π/8≦θ≦π/4
   の範囲で、∠OQPが直角となるのはθ=(  )のときである。


 予備校の分析によれば、「やや難」のレベルだという。実際に解いてみよう。

(解) (1) OP=2、PQ=1 は明らか。

OQ2=4(cos2θ+sin2θ)+4(cos7θcosθ+sin7θsinθ)+(cos27θ+sin27θ)

   =5+4cos6θ

π/8≦θ≦π/4 より、 3π/4≦6θ≦3π/2 で、6θ=3π/2 すなわち、θ=π/4

のとき、OQは最大で、最大値  をとる。

(2) 直線OPを表す方程式は、 x/(2cosθ)=y/(2sinθ) より、

     (sinθ)x−(cosθ)y=0

  Q(2cosθ+cos7θ,2sinθ+sin7θ)を通るので、

     (sinθ)(2cosθ+cos7θ)−(cosθ)(2sinθ+sin7θ)=0

   よって、 sin6θ=0 で、3π/4≦6θ≦3π/2 の範囲で、6θ=π

   したがって、 θ=π/6

(3) ∠OPQが直角となるとき、三平方の定理より、 OQ2=22−12=3

   よって、 OQ= で、 OQ2=5+4cos6θ=3 より、 cos6θ=−1/2

π/8≦θ≦π/4 より、3π/4≦6θ≦3π/2 で、6θ=4π/3 即ち、θ=2π/9
                                                    (終)

(コメント) 難しいと言われているが、実際に解いてみるとそうでもなかったような気がする。


第1問 [2] a、bを正の実数とする。連立方程式(*) x√(y3)=a、(3√x)y=b を満たす
       正の実数x、yについて考えよう。

(1) 連立方程式(*)を満たす正の実数x、yは、x=a()()、y=a() となる。
   ただし、p=(  )である。

(2) b=2(3√a4)とする。aがa>0の範囲を動くとき、連立方程式(*)を満たす正の実数
   x、yについて、x+yの最小値を求めよう。

   b=2(3√a4)であるから、(*)を満たす正の実数x、yは、aを用いて、
    x=2()() 、y=2()() と表される。

 したがって、相加平均と相乗平均の関係を利用すると、x+yはa=2qのとき最小値(  )
をとることがわかる。ただし、q=(  )である。

(解)(1) x23=a2 、xy3=b3 より、 x=a2-3 、y=b/(a2/3-1)=a-2/32

(2) b=2(3√a4) なので、 x=a2(2(a4/3))-3=2-3-2

      y=a-2/3(2(a4/3))2=222

  相加平均と相乗平均の関係より、 x+y=2-3-2+222

  等号成立は、 2-3-2=222 すなわち、 a4=2-5 より、 a=2-5/4  (終)


(コメント) [2]も標準的な良問でした!


第2問
(1) 関数 f(x)=(1/2)x2 の x−a における微分係数 f’(a) を求めよう。 h が 0 でないと
  き、x が a から a+h まで変化するときの f(x) の平均変化率は(  )である。
  したがって、求める微分係数は、f’(a)=(  )である。

(2) 放物線 y=(1/2)x2 を C とし、C 上に点 P(a,(1/2)a2)をとる。ただし、a>0とする。
 点PにおけるCの接線 l の方程式は、y=(  )である。直線 l とx軸との交点Qの座標は
 (  )である。点Qを通り l に垂直な直線を m とすると、m の方程式は、y=(  )である。

 直線 m と y 軸との交点を A とする。三角形APQの面積を S とおくと、S=(  )となる。
 また、y 軸と線分 AP および曲線Cによって囲まれた図形の面積をTとおくと、T=(  )と
 なる。 a>0の範囲におけるS−Tの値について調べよう。S−T=(  )である。

 a>0であるから、S−T>0 となるような a のとり得る値の範囲は、a>(  )である。また、
 a>0 のときの S−T の増減を調べると、S−T は、a=(  )で最小値(  )をとることが
 わかる。

(解)(1) x が a から a+h まで変化するときの f(x) の平均変化率は、

      (f(a+h)−f(a))/h=((a+h)2−a2)/(2h)=a+h/2

     よって、 f’(a)=limh→0(f(a+h)−f(a))/h=a

(2) 点 P(a,(1/2)a2)におけるCの接線 l の方程式は、

     y=a(x−a)+(1/2)a2=ax−(1/2)a2

  ここで、y=0 とおいて、 x=a/2  よって、Q(a/2,0)

  点Qを通り l に垂直な直線 m の方程式は、y=(−1/a)(x−a/2)=(−1/a)x+1/2

  よって、 A(0,1/2) より、QA=(−a/2,1/2)、QP=(a/2,(1/2)a2) なので、

     S=(1/2)(a/4+a3/4)=(1/8)(a+a3

  また、T=(1/4)(a+a3)−∫0a (1/2)x2dx=(1/4)(a+a3)−a3/6=a/4+a3/12

  このとき、 S−T=(1/8)(a+a3)−(a/4+a3/12)=a3/24−a/8

   不等式 a3/24−a/8>0 かつ a>0 を解いて、 a>

  また、(S−T)’=a2/8−1/8=0 より、 a=1 で、このとき、極小かつ最小で、

  最小値 −1/12 をとる。  (終)


(コメント) 教科書レベルの基本問題ですね。


第3問 自然数nに対し、2の一の位の数をanとする。また、数列{b}は、
     b1=1、bn+1=a/4 (n=1,2,3,・・・) ・・・(*) を満たすとする。

(1) a1=2、a2=(  )、a3=(  )、a4=(  )、a5=(  ) である。このことから、すべ
   ての自然数nに対して、a(  )=a となることがわかる。

(2) 数列{b}の一般項を求めよう。(*)を繰り返し用いることにより、

   bn+4=(an+3・an+2・an+1・a/2(  ))b  (n=1,2,3,・・・)

が成り立つことがわかる。ここで、an+3・an+2・an+1・a=3・2(  ) であることから、
n+4=(  )b が成り立つ。このことから、自然数kに対して

  b4k-3=(  )k-1 、b4k-2=(  )・(  )k-1 、b4k-1=(  )・(  )k-1
  b4k=(  )k-1

である。

(3) S=Σj=1〜n bj とおく。自然数mに対して、S4m=(  )・(  )−(  ) である。

(4) 積 b12・・・b を Tとおく。自然数kに対して、b4k-34k-24k-14k=(  ) である
   ことから、自然数mに対して、T4m=(  ) である。

  また、T10を計算すると、T10=(  ) である。


(解)(1) 21=2、22=4、23=8、24=16、25=32 より、

    a1=2、a2=4、a3=8、a4=6、a5=2 である。

   このことから、4つ目の項毎に元の項と一致するので、 an+4=a 


(注) 1月20日付けで、大学入試センターより上記答の追加が発表された。
   a5n=a も正解にするという。上記のように素直に考えれば、「an+4=a
  だが、どのような見方をすれば「a5n=a 」という式に到達するのだろう?

  (追記) 平成27年1月23日付けで、DD++さんからアドバイスを頂きました。

    a1=a5=2 を見て、1と5の関係を「5倍した数」と考えた場合、a5n は、25n=32n
   の一の位だから、2の一の位と同じだなあ、とこの式に至ります。

    むしろこの問題、二項間漸化式がないので、 an+4=a の方が実は証明は大変だっ
   たり...。それでも数列として問題が続いて行くことを考えれば、「n+4」の方を考えるの
   が普通でしょうけど。

    ところでこの問題、b を見た瞬間に群数列の問題と感じて4つずつ区切ったのは私
   だけでしょうか。

  (コメント) 私も4つずつ区切って考えていて、その中で「a5n=a」を考えてしまったので
        別なことを考えていました。25n=32n と考えれば、「a5n=a」の方が自然で
        すね!DD++さんに感謝します。


(2) bn+4=an+3n+3/4、bn+3=an+2n+2/4、bn+2=an+1n+1/4、

  bn+1=a/4 より、 bn+4=(an+3・an+2・an+1・a/28)b

  ここで、an+3・an+2・an+1・a=3・27 であることから、 bn+4=(3/2)b

 数列{b4k-3}は、初項 b1=1、公比3/2の等比数列なので、第k項 b4k-3=(3/2)k-1

 数列{b4k-2}は、初項 b2=a11/4=1/2、公比3/2の等比数列なので、

第k項 b4k-2=(1/2)(3/2)k-1

 数列{b4k-1}は、初項 b3=a22/4=1/2、公比3/2の等比数列なので、

第k項 b4k-1=(1/2)(3/2)k-1

 数列{b4k}は、初項 b4=a33/4=1、公比3/2の等比数列なので、

第k項 b4k=(3/2)k-1

(3) 自然数mに対して、

  S4m=Σj=1〜4m bj

     =Σk=1〜m {(3/2)k-1+(1/2)(3/2)k-1+(1/2)(3/2)k-1+(3/2)k-1

     =Σk=1〜m 3(3/2)k-1

     =3((3/2)−1)/((3/2)−1)=6・(3/2)−6

(4) 積 b12・・・b を Tとおく。自然数kに対して、

  b4k-34k-24k-14k=(3/2)k-1・(1/2)(3/2)k-1・(1/2)(3/2)k-1・(3/2)k-1

               =(1/4)(3/2)4k-4

であることから、自然数mに対して、

 T4m=b12・・・b4m=(1/4)(3/2)2m(m+1)-4m=(1/4)(3/2)2m2-2m である。

  また、T10=T8・b910

        =(1/16)(3/2)4・(3/2)2・(1/2)(3/2)2=(1/32)・(3/2)8

        =38/213 である。  (終)


(コメント) この第3問が予備校の分析では「難」に分類されたらしい。実際に解いてみると
      扱いの煩雑さはあるが、扱っている数列が等比数列で、見た目ほど難しくはない。
       部分列の考え方に慣れていない現役の受験生はまごついたかもしれないが。


第4問 1辺の長さが1のひし形OABCにおいて、∠AOC=120°とする。辺ABを2:1に内分
     する点をPとし、直線BC上に点QをOPOQとなるようにとる。
      以下、OAOB とおく。

(1) 三角形OPQの面積を求めよう。OP=(  )+(  ) である。実数tを用いて、
   OQ=(1−t)OB+tOC と表されるので、OQ=(  )t である。

   ここで、=(  )、OPOQ=(  ) であることから、t=(  )である。これらのこ
  とから、|OP|=(  )、|OQ|=(  ) である。

   よって、三角形OPQの面積S1は、S1=(  ) である。

(2) 辺BCを1:3に内分する点をRとし、直線ORと直線PQとの交点をTとする。OT
   を用いて表し、三角形OPQと三角形PRTの面積比を求めよう。

  Tは直線OR上の点であり、直線PQ上の点でもあるので、実数r、sを用いて、
 OT=rOR=(1−s)OP+sOQ と表すと、r=(  )、s=(  ) となることがわかる。

  よって、OT=(  )+(  ) である。

  上で求めたr、sの値から、三角形OPQの面積S1と、三角形PRTの面積S2との比は、
 S1:S2=(  ):2 である。


(解) (1) 題意より、 OP=(1/3)+(2/3) である。実数tを用いて、

   OQ=(1−t)OB+tOC=(1−t)+t(b−a)=(−t) である。

  また、ひし形の性質から、 ||=||=1、∠AOB=60°なので、

   =1/2 である。OPOQなので、OPOQ=0 より、

  ((1/3)+(2/3))・((−t))=(5−4t)/6=0 から、t=5/4

  このとき、|OP2=1/9+2/9+4/9=7/9 より、 |OP|=/3

  |OQ2=25/16−5/4+1=21/16 より、 |OQ|=(√21)/4

  よって、S1=(/3)((√21)/4)(1/2)=7/24

(2) OT=rOR=(1−s)OP+sOQ と表すと、

   r((−1/4))=(1−s)((1/3)+(2/3))+s((−5/4)

  は一次独立なので、

    (−1/4)r=(1/3)(1−s)+(−5/4)s=1/3−(19/12)s

    r=(2/3)(1−s)+s=2/3+(1/3)s

  よって、 4/3−(19/3)s+2/3+(1/3)s=0 より、 s=1/3 、r=7/9

  このとき、 OT=(−7/36)+(7/9) となる。

   さらに、OT=(7/9)OR=(2/3)OP+(1/3)OQ から、

  点Tは、線分PQを1:2に内分する点で、かつ、線分ORを7:2に内分する点である。

 このことから、S2=S1×(1/3)×(2/7)=S1×(2/21) となり、

  S1:S2=21:2 である。  (終)


(コメント) ベクトルの問題としては標準的ですね。ひし形の絵を正確に描くと問題解決に有
      効でしょう。


第5問 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて正規分布表を用いてもよい。ま
    た、小数の形で解答する場合、指定された桁数の一つ下の桁を四捨五入し、解答せ
    よ。途中で割り切れた場合、指定された桁までマークすること。

(1) 袋の中に白球が4個、赤球が3個入っている。この袋の中から同時に3個の球を取り
  出すとき、白球の個数をWとする。確率変数W について

   P(W=0)=(  ) 、P(W=1)=(  ) 、P(W=2)=(  ) 、P(W=3)=(  )

  であり、期待値(平均) は、(  )、分散は(  )である。

(2) 確率変数Zが標準正規分布に従うとき、 P((  )≦Z≦(  ))=0.99 が成り立つ。

(3) 母標準偏差σの母集団から、大きさnの無作為標本を抽出する。ただし、nは十分に
  大きいとする。この標本から得られる母平均mの信頼度(信頼係数)95%の信頼区間を
  A≦m≦Bとし、この信頼区間の幅L1をL1=B−Aで定める。
   この標本から得られる信頼度99%の信頼区間をC≦m≦Dとし、この信頼区間の幅L2
  をL2=D−Cで定めると、L2/L1=(  )が成り立つ。また、同じ母集団から、大きさ4nの
  無作為標本を抽出して得られる母平均mの信頼度95%の信頼区間をE≦m≦Fとし、こ
  の信頼区間の幅L3をL3=F−Eで定める。このとき、L3/L1=(  )が成り立つ。


(解)(1) P(W=0)=33/73=1/35 、P(W=1)=4132/73=12/35、

    P(W=2)=4231/73=18/35 、P(W=3)=43/73=4/35

  なので、期待値(平均) は、

    0・(1/35)+1・(12/35)+2・(18/35)+3・(4/35)=60/35=12/7

  また、

   02・(1/35)+12・(12/35)+22・(18/35)+32・(4/35)=120/35=24/7

  より、分散は、 24/7−(12/7)2=24/49 である。

(2) 確率変数Zが標準正規分布N(0,1)に従うとき、0.99/2=0.495なので、正規分
  布表からもっとも近い値を選んで、P(−2.58)≦Z≦2.58)=0.99である。

(3) 母平均 m、母標準偏差 σ の母集団から抽出された大きさ n の無作為標本の標本
  平均は、n が十分大きいとき、正規分布N(m,σ2/n)に従うものと見なせる。

  このとき、母平均mの信頼度(信頼係数)95%の信頼区間は、

 [−1.96σ/√n,+1.96σ/√n] なので、 L1=3.92σ/√n

 同様にして、母平均mの信頼度(信頼係数)99%の信頼区間は、

 [−2.58σ/√n,+2.58σ/√n] なので、 L2=5.16σ/√n

  よって、 L2/L1=5.16÷3.92=1.3163265・・・ より、L2/L1=1.3

  母平均 m、母標準偏差 σ の母集団から抽出された大きさ 4n の無作為標本の標本
 平均は、n が十分大きいとき、正規分布N(m,σ2/4n)に従うものと見なせる。

  このとき、母平均mの信頼度(信頼係数)95%の信頼区間は、

 [−1.96σ/2√n,+1.96σ/2√n] なので、 L3=1.96σ/√n

  よって、 L3/L1=1.96÷3.92=0.5  (終)


(コメント) 多くの受験生は、(3)を見て問題5を選択することを敬遠したかも知れないが、
      公式さえ知っていれば、問題5ほど他の問題に比べて、易しく短時間で解答でき
      る問題はない。計算するまでもなく、(2)や(3)のL3/L1の値は即答だろう。

 問題の最後に正規分布表がのっているが、実際に使うのは「1.96」や「2.58」という特
徴ある数字のみで正規分布表を載せる意味がそれを読み取らせるだけだったらつまらない。


 数学T+数学Aの問題もついでに覗いておこう。(易しかったという評判!)

第1問 2次関数 y=−x2+2x+2 ・・・(*) のグラフの頂点の座標は(  )である。また、
    y=f(x) はxの2次関数で、そのグラフは、(*)のグラフをx軸方向にp、y軸方向にqだ
    け平行移動したものであるとする。

(1) 2≦x≦4におけるf(x)の最大値がf(2)になるようなpの値の範囲は(  )であり、最小
  値がf(2)になるようなpの値の範囲は(  )である。

(2) 2次不等式f(x)>0の解が−2<x<3になるのはp=(  )、q=(  )のときである。

(解)(1) y=−(x−1)2+3 より、頂点の座標は(1,3)

     2≦x≦4におけるf(x)の最大値がf(2)になるようなpの値の範囲は、

     p+1≦2 すなわち、 p≦1

     2≦x≦4におけるf(x)の最小値がf(2)になるようなpの値の範囲は、

     p+1≧3 すなわち、 p≧2

(2) −(x−1−p)2+3+q>0 より、 (x−1−p)2−3−q<0

   −2<x<3を解に持つ2次不等式は、(x+2)(x−3)<0 より、x2−x−6<0

     すなわち、 (x−1/2)2−25/4<0 より、 1+p=1/2 、3+q=25/4

    よって、 p=−1/2 、q=13/4  (終)


(コメント) 教科書の例題レベルの良問でした。(2)は解の方から逆算するのが得策でしょ
      う。


第2問 [1] 条件p1、p2、q1、q2の否定をそれぞれ 〜p1、〜p2、〜q1、〜q2 と書く。
(1) 命題「(p1かつp2) → (q1かつq2)」の対偶は、(  )である。

(2) 自然数nに対する条件p1、p2、q1、q2を次のように定める。
  p1:nは素数である      、 p2:n+2は素数である
  q1:n+1は5の倍数である 、 q2:n+1は6の倍数である
 30以下の自然数nのなかで、(  )と(  )は命題「(p1かつp2) → ((〜q1)かつq2)」
の反例となる。

(解)(1) (〜q1または〜q2) → (〜p1または〜p2

(2) (p1かつp2)かつ(q1または〜q2)となる自然数を求めればよい。

  n、n+2が素数となるのは、n=3、5、11、17、29

   この中で、n+1が5の倍数であるnは、 n=29

   この中で、n+1が6の倍数でないnは、 n=3

  よって、 n=3、29  (終)


(コメント) 数学U+数学Bに比べ計算量が極端に少ないですね!


[2] △ABCにおいて、AB=3、BC=5、∠ABC=120°とする。このとき、AC=(  )、
  sin∠ABC=(  )であり、sin∠BCA=(  )である。
 直線BC上に点Dを、AD=3かつ∠ADCが鋭角、となるようにとる。点Pを線分BD上
 の点とし、△APCの外接円の半径をRとすると、Rの取り得る値の範囲は、
 (  )≦R≦(  )である。

(解) AC2=9+25−30(−1/2)=49 より、 AC=7

  また、sin∠ABC=/2 であり、sin∠BCA=3sin120°/7=3/14

  AP=3/2 のとき、Rは最小。 2R=(3/2)/sin∠BCA=7 より、R=7/2

  AP=3 のとき、Rは最大。 2R=(3)/sin∠BCA=14 より、R=7

 よって、 7/2≦R≦7  (終)


(コメント) 三角比の問題も何か迫力に欠けますね!


第3問 [1] ある高校3年生1クラスの生徒40人について、ハンドボール投げの飛距離の
       データを取った。次は、このクラスで最初に取ったデータである。

  5〜10 ・・・ 1人、10〜15 ・・・ 4人、15〜20 ・・・ 6人、20〜25 ・・・ 11人
 25〜30 ・・・ 9人、30〜35 ・・・ 4人、35〜40 ・・・ 3人、40〜45 ・・・ 1人
 45〜50 ・・・1人

(1) この40人のデータの第3四分位数が含まれる階級は、(  )である。

(2) このデータを箱ひげ図にまとめよ。

(3) 後日、このクラスでハンドボール投げの記録を取り直した。次に示したA〜Dは、最初
  に取った記録から今回の記録への変化の分析結果を記述したものである。分析結果に
  相応しい箱ひげ図をまとめよ。
   A:どの生徒の記録も下がった。 B:どの生徒の記録も伸びた。
   C:最初に取ったデータで、上位1/3に入るすべての生徒の記録が伸びた。
   D:最初に取ったデータで、上位1/3に入るすべての生徒の記録は伸び、下位1/3に
    入るすべての生徒の記録は下がった。

(解)(1) 第2四分位数は、小さい方から数えて、(1+40)/2=20.5番目であるので、

     第3四分位数は、(20.5+40)/2=30.25番目

     その数が含まれる階級は、 25〜30

(2) 第2四分位数は、(1+20.5)/2=10.75番目で、その数が含まれる階級は、

     15〜20 である。第2四分位数が含まれる階級は、20〜25

   また、最小数が含まれる階級は、5〜10 最大数が含まれる階級は、45〜50

   これらに注意して箱ひげ図を描けばよい。

(3) (解答省略) 問題文の箱ひげ図を見れば、A、Cの分析と異なる箱ひげ図になってい
   る。
                                                   (終)

(コメント) 教科書の問いレベルの出題ですね!他の問題とのレベルの格差に愕然ときま
      す。この程度のデータ分析の問題を出題する意味はあるのでしょうか?


[2] ある高校2年生40人のクラスで一人2回ずつハンドボール投げの飛距離のデータを
  取ることにした。次の図(省略)は、1回目のデータを横軸に、2回目のデータを縦軸に
  とった散布図である。なお、一人の生徒が欠席したため、39人のデータとなっている。
平均値 中央値 分散 標準偏差
1回目のデータ 24.70 24.30 67.40 8.21
2回目のデータ 26.90 26.40 48.72 6.98

 1回目のデータと2回目のデータの共分散 54.30

 このとき、1回目のデータと2回目のデータの相関係数を求めよ。


(解) 相関係数=54.30/(8.21×6.98)=0.947548・・ より、約0.95  (終)


(コメント) 計算のためのデータがすべて与えられていて、面白みに欠けますね!


第4問 同じ大きさの5枚の正方形の板を一列に並べて掲示板を作り、壁に固定する。赤色、
    緑色、青色のペンキを用いて、隣り合う正方形どうしが異なる色となるように、この掲
    示板を塗り分ける。ただし、塗り分ける際には、3色のペンキをすべて使わなければな
    らないわけではなく、2色のペンキだけで塗り分けることがあってもよいものとする。

(1) このような塗り方は、全部で(  )通りある。
(2) 塗り方が左右対称となるのは、(  )通りある。
(3) 青色と緑色の2色だけで塗り分けるのは、(  )通りある。
(4) 赤色に塗られる正方形が3枚であるのは、(  )通りある。
(5) 赤色に塗られる正方形が1枚である場合について考える。
  ・どちらかの端の1枚が赤色に塗られるのは、(  )通りある。
  ・端以外の1枚が赤色に塗られるのは、(  )通りある。
 よって、赤色に塗られる正方形が1枚であるのは、(  )通りある。
(6) 赤色に塗られる正方形が2枚であるのは、(  )通りある。


(解)(1) 3×2×2×2×2=48(通り)

(2) 3×2×2=12通り

(3) 青緑青緑青 、緑青緑青緑 の2通り

(4) 2×2=4(通り)

(5) ・ 赤緑青緑青 、赤青緑青緑 、緑青緑青赤 、青緑青緑赤 の4通り

  ・ (2×2×1×1)×3=12(通り)

  よって、 4+12=16(通り)

(6) 48−2−4−16=26(通り)


(コメント) 教科書の練習レベルの問題。特に、(6)は付け足しの問題という雰囲気ですね!


第5問 以下では、a=756とし、mは自然数とする。
(1) aを素因数分解すると、 a=2(  )・3(  )・(  ) である。
  aの正の約数の個数は(  )個である。
(2) √(am)が自然数となる最小の自然数mは(  )である。√(am)が自然数となるとき、
  mはある自然数kにより、m=(  )k2と表される数であり、そのときの√(am)の値は
  (  )kである。
(3) 次に、自然数kにより、(  )kと表される数で、11で割った余りが1となる最小のkを
  求める。1次不定方程式(  )k−11t=1を解くと、k>0となる整数解(k,t)のうちkが
  最小のものは、k=(  )、t=(  )である。
(4) √(am)が11で割ると1余る自然数となるとき、そのような自然数mのなかで最小の
  ものは(  )である


(解)(1) a=756=22・33・7 である。aの正の約数の個数は、3×4×2=24個である。

(2) √(am)が自然数となる最小の自然数mは、m=3・7=21である。

  √(am)が自然数となるとき、mはある自然数kにより、m=21k2と表される数であり、

 そのときの√(am)の値は、126kである。

(3) 自然数kにより、126kと表される数で、11で割った余りが1となる最小のkを求める。

 1次不定方程式126k−11t=1において、126(−2)−11(−23)=1 より、

 126(k+2)=11(t+23) なので、 k+2=11s、t+23=126s (sは整数)

  s=1 のとき、 k=9 、t=103

(4) k=9 のとき最小で、求めるmは、m=21・92=1701  (終)


(コメント) 高校入試の頻出問題のレベルですね!ただ、ユークリッドの互除法を用いる(3)
      は数学Aの一つの指導レベルを示していて良問だと思いました。


第6問 △ABCにおいて、AB=AC=5、BC=とする。辺AC上に点DをAD=3となるよう
     にとり、辺BCのBの側の延長と△ABDの外接円との交点でBと異なるものをEとする。

 CE・CB=(  )であるから、BE=(  )である。△ACEの重心をGとすると、AG=(  )で
ある。ABとDEの交点をPとすると、DP/EP=(  )である。

 △ABCと△EDCにおいて、点A、B、D、Eは同一円周上にあるので、∠CAB=∠CEDで、
∠Cは共通であるから、DE=(  )である。

 よって、 EP=(  )である。


(解) 方べきの定理より、 CE・CB=CD・CA=2・5=10 であるから、BE=x とおくと、

   (+x)=10 より、+x=2 なので、x=  よって、 BE=

 このとき、 AG=5×2/3=10/3

 メネラウスの定理より、 (1/1)・(5/3)・(DP/EP)=1 より、 DP/EP=3/5

 条件より、 △ABC∽△EDC なので、 DE=EC=2

 よって、 EP=(5/8)(2)=5/4 である。


(コメント) △ABCと円の位置関係を正しく把握しないといけない問題ですね!


 GAI さんからのコメントです。(平成27年1月29日付け)

 センター試験に対する上記の解答とコメントを拝見して思った事なんですが、自分も新聞で
の記事を参考に挑戦してみました。私の実力の無さ(しばらく大学入試問題から疎遠になっ
ている:言い訳になりますが・・)からとても完璧に正解を時間内に出すことができませんでし
た。

 特に、数学T+数学A分野の問4は勘違いが甚だしく、一ヶ所勘違いをしていると、それに
引きずられて、ずらりと間違いが連続しました。また、統計分野は自分が高校の時には一切
学習することは無く、文章題に含まれる語句について全く意味がわからない内容がありまし
た。

 不特定多数が挑むセンター試験の性格においては、私はこんな高校の学習内容の基本を
身につけていれば誰でも解答できるような問題こそふさわしいのではないかと思います。

 よく入試問題説明会などで解答正解率8%でしたなど報告されているのを聞くことがありま
すが、緊張している受験生にとって見たこともない問題(それも一工夫も二工夫も捻られてい
る問題)に対した場合それはパニックを引き起こす何物でもありません。

 入試問題を作成される数学者は、それは毎日が数学漬けでその人にとっては見た瞬間そ
の問題の本質を見抜ける力があるのでしょうが、まだまだいろんな事を大量に学習せねば
ならない平均的高校生にとっては、あまりに高い目標設定は残酷です。

 私は現在定年退職しておりますが、以前高校生を指導していた経験から申しますと、学校
の定期考査を十分理解して処理出来る力さえ与えられたら、それで対応できる入試にして
頂きたいのです。

 センター試験にはいろいろなタイプの高校生が挑戦します。勿論数学が得意な学生にとっ
てはセンター数学は物足りないかも知れません。しかし、中には2次方程式の解の公式も正
確に暗記してない学生もいます。だからと言って、この学生が数学の才能が無いとは決して
言えません。

 高度な内容の習得には、まず基本とも言える部分が確認できその後はその人次第で勉強
できる環境を与えてやれば自然と本人がやり始めるのではないでしょうか。


(コメント) センター試験問題は、高校で学んだ基本的な事項の確認テストだと認識してい
      ます。つまり、センターの問題は、その世代に求められている数学の水準を表す
      一つの指標と考えられます。その視点で、過去からのセンター試験問題を眺めた
      場合、大分数学の水準が下がっているな〜というのが率直な感想です。


 通りすがりさんからのコメントです。(平成27年4月10日付け)

 Webサイト「受験の月」に、なぜ受験生は難しいと感じたかという観点からの解説が掲載
されていますので参考まで。


(コメント) 通りすがりさん、大変参考になりました。結局の所、出題者の意図に反して、受
      験生側の力量不足というところでしょうか?


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