・ これも整数?                   S.H氏

  の値をすぐ、−2 と言える人を、私は尊敬する。

 ある人は、「よくできる高校生には、ほとんど自明なことである。」と言うが、全然私にとって
は、自明でない。実数であることは自明であるが、その値までは、とてもとても.....。

 ここでは、堅実に、その値を求めてみることにしよう。

 X= において、

           u=  、 v=

とおくと、  u+v=−20  、  u・v=−8   が成り立つ。

 このとき、Xは、次の3次方程式の実数解となる。

     X3=()3=u+v+3()=−20−6X

       すなわち、X3+6X+20=0

 ところで、この方程式は因数分解されて、   (X+2)(X2−2X+10)=0

よって、その解は、 −2  1+3  1−3  (但し、 は虚数単位)

 したがって、
         =−2
となる。

 ところで、3次方程式の解の公式によれば、X3+6X+20=0 の3つの解は、



−1/2(

で与えられる。 3次方程式の解としての、2つの表現を比較して、

=−2    

でなければならない。このことから、

               

となり、3乗根が外せることに気付かされる。上記の計算の意外な副産物である。

(参考文献:ポール・J・ナーイン 著 好田順治 訳 虚数の話(青土社)
       矢ヶ部 巌 著 ガロア理論(現代数学社))


(追記) 平成24年2月19日付け・・・HN「よおすけ」さんからの問題提供です。

 無理方程式は、近年はあまり見かけない方程式と思います。上記の問題の改題です。

問題  (−10+x)1/3+(−10−x)1/3=−2 を解け。

(解) α=(−10+x)1/3、β=(−10−x)1/3 とおく。x>0 としても一般性は失われない。

   α3=−10+x 、β3=−10−x 、α+β=−2 なので、

   α3+β3=(α+β)3−3αβ(α+β)=−8+6αβ=−20 より、αβ=−2

   このとき、α、βは、2次方程式 t2+2t−2=0 の2解となり、 t=−1±

    x>0 なので、 α>β で、 α= 、β=

   よって、 x=α3+10=−10+6+10=6

   x<0 としても同様の議論ができるので、求める x の値は、±6  (終)


 空舟さんが上記の問題を考察されました。(平成24年2月19日付け)

 (−10+x)1/3=−1+k 、(−10−x)1/3=−1−k とおくと、

  −10+x=−1+3k−3k2+k3 、−10−x=−1−3k−3k2−k3

 このとき、辺々加えて、 −20=−2−6k2 より、 −10=−1−3k2

 よって、 k2=3 より、 k=±

 辺々引いて、 2x=6k+2k3 より、 x=3k+k3

  この式に k=± を代入して、 x=±6


(*) ところで、「−10」の部分を変数にした方程式

    (y+6)1/3+(y−6)1/3=−2


を考えると、「y=−10」以外に解があります。両辺を3乗して整理すると、

 (8−y)2(−1−y)=27・108 より、 (y−8)2(y+1)=182・(−9)

 この3次方程式は、y=−10 を解に持つので、

  y3−15y2+48y+2980 は、y+10 で割り切れる。そのときの商は、

 y2−25y+298 で、y2−25y+298=0 の解は、y=(25±9√(−7))/2


 よおすけさんから解答を頂きました。(平成24年2月19日付け)

(解) (−10+x)1/3+(−10−x)1/3=−2 の両辺を3乗して整理すると、

 −20+3(−10+x)1/3(−10−x)1/3{(−10+x)1/3+(−10−x)1/3}=−8

 {  }内の式は、−2 で、さらに、−20 を右辺に移項して、

   (−2)・3(−10+x)1/3(−10−x)1/3=12

 より、 (−10+x)1/3(−10−x)1/3=−2

  ここで再び両辺を3乗して、 (−10+x)(−10−x)=−8 より、 x2=108

 よって、求める x の値は、108の平方根なので、±6  (終)


 S(H)さんが、上記の問題を考察されました。(平成24年2月20日付け)

 f[x]=x4 + 2x3 - 6x2 + 20x + 100 とする。

  に於ける f の値を求め、f[-2] も求めて下さい。

 f[x] = 0 の解をαとするとき、他の「も解」達を、σj[α]∈Q[α]で表してください。
        (次数は、3次以下に制限する)

 σ1[α]=α、 σ2[α]= 、 σ3[α]= 、 σ4[α]=

 無論、σ33[α]]=σ[α] やσ43[α]]=σj[α] 等も調べること。

 α= をガウス平面上に図示し、他のσj[α]も図示して
下さい。


 空舟さんが上記の問題を考察されました。(平成24年2月20日付け)

 計算により、 σ1[y]=y 、σ2[y]=-y3/15+y2/5-3y/5-10/3 、σ3[y]=y3/6-y+10/3

         σ4[y]=-y3/10-y2/5+3y/5-2

 このとき、σ1[-2]=-2、σ2[-2]=-4/5、σ3[-2]=4、 σ4[-2]=-16/5、

      σ33[α]]=σ1[α]、 σ43[α]]=σ2[α]


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年2月20日付け)

 次を色々なところに挿入し(依頼し)てください。

{-(1/2) + (3*Sqrt[3])/2 + I*Sqrt[3/2*(2 + Sqrt[3])],
                       (-10 - 6*Sqrt[3])^(1/3) + (-10 + 6*Sqrt[3])^(1/3)}

 引き算: A=-(1/2) + 3/2 + I・√{(3/2)(2 + )}] 、
       B=(-10 - 6)1/3 + (-10 + 6)1/3

 A-B を必ず願います。

 AのQ上の最小多項式 mA[X] 、BのQ上の最小多項式 mB[X] をそれぞれ求め、mA[X]= 0
の解をαとするとき、他の「も解」達を、σj[α]∈Q[α] で表してください。(次数は3次以下に制限

 σ1[α]=α、 σ2[α]= 、 σ3[α]= 、 σ4[α]=

 無論、σ33[α]]=σ[α] やσ43[α]]=σj[α] 等も調べること

(→ 参考:「最小多項式の性質」)


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年2月20日付け)

 f()の値は未だ明示されていない。

 空舟 氏に導出いただいた、例えば、σ4について、

  α--σ4-->σ4[α]=-α3/10-α2/5+3α/5-2 --σ4-->σ44[α]]

σ44[α]]=α9/10000 + 3α8/5000 - 3α7/5000 - 3α6/1250 + 49α5/2500 - 13α4/1250 - 86α3/625
          + 13α2/125 + 3α/25 - 16/5


となることを確認し、σ4n[α] (n∈N) を求め、何時かはもとのαに戻ることを示せ。
  (元に戻らないと、4次方程式に無限に異なる解が存在するという前代未聞の事態に陥る)

 ガウスに倣い、f[x]=0 の解を αとするとき、他の「も解」達を、ρj[α]∈Q(α) (有理式!)
で表してください。(出来れば、空舟氏が導出されたσj[α] を用いず、独立した発想で導出
過程を明記願います。)

   ρ1[α]=α、ρ2[α]=(_____)/(_____) 、ρ3[α]=(_____)/(_____)、ρ4[α]=(_____)/(_____)

(ガウスのように、分母、分子が高次の多項式になるなら、具現願います。)

 より易しい乗積表を作成し、方程式のガロア群の構造を言葉で表現願います。
無論、Id=ρ1 の段から完全な表を!
(→ 参考:「Cayley Tables for Small Groups and Moufang Loops

 「ガロア理論」に倣い解に番号をつけ各ρj がどのように解を動かすかを図示も願います。

 上は、勝手連的に飯高先生の次年度以降の體論の講義後の考査のハードルをとてもひく
めに設定されたリハーサル問題を想定しつつ為したものです。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年2月21日付け)

 f[x]=x4 + 2x3 - 6x2 + 20x + 100 とする。

 b= とするとき、f(b)の値を求める。

 上記と同様にして、 b3=−20+3(−2)b より、 b3+6b+20=0 なので、

 f(b)=b4+2b3−6b2+20b+100
    =(b3+6b+20)(b+2)−12b2−12b+60=−12b2−12b+60

 b=−2 なので、 f(−2)=−48+24+60=36

    (補足) この場合は、もちろん直接計算で、次のように計算しても良い。
       f[-2]=(-2)4+2(-2)3-6(-2)2+20(-2)+100=16-16-24-40+100=36

 f[x]=0 の解αは、1の原始12乗根、即ち、円分多項式 Φ(w)=w4-w2+1=0 の解によって

 α = w2 + 3w - 1 となる。wに代わり、 w7=-w 、w5=-1/w 、w11=1/w としても解なので、

[部分巡回*2]

A = w2 + 3w - 1 、B = w2 - 3w - 1 、C = (1 - 3w - w2)/w2 = - (w2 + 3w - 1)(w2 - 1)
D = (1 + 3w - w2)/w2 = - (w2 - 3w - 1)(w2 - 1) も解

 B、C、Dを、Aの式で表す所は仕方ないですが、連立方程式(B=aA3+bA2+cA+d の係数比
較)が単純だと思います。有理式表示は分母分子に適当なものを掛けて...。

σ1[y]=y 、σ2[y]=-y3/15+y2/5-3y/5-10/3 = -5(y+2)/(y+5)
σ3[y]=y3/6-y+10/3 = -2(y+5)/(y+2) 、σ4[y]=-y3/10-y2/5+3y/5-2 = 10/y



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