・ドン・ザギエ GAI 氏
フェルマーは自ら証明は与えなかったが、1640年、4を法として1に合同な素数pが2個の
平方和で表される(x2+y2=p (≡1 mod 4) x、y∈N)という記述を残す。これに対する証明
は、その後1749年(100年以上経過している。)Eulerが5段階に分けて初めて完成させた。
その後1775年、Lagrangeが二次形式を用いて証明、さらにDedekindがガウス整数を利用
することでKummerなどの成果を利用し2通りの証明を与える(1894年)など、歴史に残る錚
々たるメンバーが関わってきた。
そして、20世紀(1990年)、Don Zagier(ドン・ザギエ)が A One-Sentence Proof という題
であっけなく証明した。その方法が、
有限集合S={(x,y,z)∈N^3|x^2+4yz=4n+1}上の対合
{cases A=if x<y-z then (x+2z,z,y-x-z)}
(x,y,z)→ {cases B=if y-z<x<2y then (2y-x,y,x-y+z)}
{cases
C=if 2y<x then (x-2y,x-y+z,y)}
は必ず一個の不動点を持つから、集合Sの元の個数は奇数であり、対合(x,y,z)→(x,z,y)も不
動点を持つ。対合とは∀a∈S,Φ(Φ(a))=a となる写像Φのことである。
この式を見ても何の事やら解らなかったので以下調べてみました。
素数p(≦197)に対して、p=x2+4yz を満たす(x,y,z)の組をx,y,z が20以下の数に限って調査
しました。(→ 調査結果)
言われている通り、集合Sの元は奇数個であり、必ず一個の不動点とは、各pに対して
(1,1,n)==>(1,1,n)の元が存在している。
(調査範囲を、x、y、z≦20 としているので、大きいpに対してはデータが入ってきていないが
小さめのpで判断、後の調査ではp≦197までなら調査範囲を49まで広げると全てのデータが
揃えられることがわかった。)
この唯一の不動点を除き他の元は対合により対になっていくので、元の個数は奇数にな
っている。
いまだになぜこれで証明が成立しているのかが釈然とはしないのですが、ザギエが構成し
た式が、こんな現象を起こすものであることだけは納得しました。
もっと詳しく解説してもらえる方がおられましたらよろしくお願いします。
DD++さんからのコメントです。(平成26年12月1日付け)
その現象が起こるということが理解できればすぐですよ。そこまでが何を言っているかとい
うと、「x2+4yz=p を満たす自然数の組 (x,y,z) は奇数個である」ということです。で、それらは
y と z を入れ替えたものも絶対に解に含んでいるわけなので、個数が奇数ということは、 y
と z が等しいものが少なくとも 1 つあるわけですね。
「x2+4yz=p かつ y=z を満たす自然数の組 (x,y,z) が少なくとも 1 つ存在する」ことが何を意
味するかはすぐにおわかりでしょう。
Seiichi Manyama さんからのコメントです。(平成28年11月27日付け)
詳しい証明を知りたいとあるので、探してみた。
短め:「二個の平方数の和」
長め:「格子からみえる数学」の定理6.5に、分量として2ページ程度の証明があります。たぶ
ん、これくらいで意味が分かる分量だと思うのですが、天才はやはり理解力が違いま
すね。